午前1時。
仕事を終え、大きく伸びをしてギュッと唇を噛みしめた。
酢っぱい味が唇から雪崩れ込んできた。
強烈な酸っぱさ。
刺激の強さでいうと唐辛子以上。
食酢の酸っぱさとは違い、刺すような酸っぱさ。
想像するに、工業的な塩酸のような酸っぱさ。
唇に指を這わす。
指に異物が付く。
何やら黒い粒。
洗面所の明かりで目を凝らす。
蟻。
小さい蟻が潰れていた。
蟻酸はよく耳にするがこれほどの強酸だったとは~
午前1時。
仕事を終え、大きく伸びをしてギュッと唇を噛みしめた。
酢っぱい味が唇から雪崩れ込んできた。
強烈な酸っぱさ。
刺激の強さでいうと唐辛子以上。
食酢の酸っぱさとは違い、刺すような酸っぱさ。
想像するに、工業的な塩酸のような酸っぱさ。
唇に指を這わす。
指に異物が付く。
何やら黒い粒。
洗面所の明かりで目を凝らす。
蟻。
小さい蟻が潰れていた。
蟻酸はよく耳にするがこれほどの強酸だったとは~
原作も読んでいないし、本家仲代達也の『切腹』も観ていないので、もともとの筋書が
どうであったかは知らないが、ところどころに矛盾を感じる箇所があった。
迫力のラストの立ち回りも、気迫や想いは伝わるが、いかなる剣豪であろうとも竹光で
あそこまでの乱闘を起こせるわけがない。
緊急を要する息子の病に対してとった千々岩(瑛太)の行動(狂言切腹)も唐突過ぎる。
それ相応の布石がなくてはならないところ。
単純に津雲半四郎(市川海老蔵)がなぜにあれほど強いのかも説明されていない。
不自然なところは多々あるがそれでも魅せてはくれる。
しょっぱなの強烈なインパクトと、謎を秘めた津雲半四郎の行動。
これだけの発端で残りの二時間を無理なく牽引してくれる。
映像も美しい。
海老蔵の演技も特殊な輝きを放っている。
彼には既成の役者にはない独特の滲むような存在感がある。
水墨画を見るような味わい深さがある。
素行がどうであれ、映画界にとっては稀な存在であるのは確かである。
ただし、この映画では海老蔵はちと若すぎたように思う。
娘(満島ひかり)との歳の差がなさすぎる。
いかにくたびれたようにつくろっても若さは隠せない。
目の輝き、肌の艶やかさは若者のそれである。
10年後の海老蔵だったら筋書に見合った枯れた浪人を演じきれたであろう。
点数は、不自然な部分は大目に見て~
★★★☆
後日談。
ユーチューブで仲代達也の『切腹』を観た。
やはりラストの立ち合いは竹光ではなかった。
誰のアイデアだか知らないがマンガのような発想をするでない!