イヴァン・フィッシャーの指揮、ブダペスト祝祭管弦楽団で、ドヴォルザーク交響曲7番を聴いた。
この曲は、チェコ出身の作曲家であるドヴォルザークがロンドン・フィルハーモニック・ソサエティという団体から委嘱されて製作したことは広く知られている。それを旧東欧のオケであるブダペスト祝祭管弦楽団がロンドンで演奏する、というのは相変わらずちょっとやりすぎ(やらせすぎ)のPromsである。
出だしからダイナミックレンジが広く、その後の展開に期待が持てた。多少ホルンの弱音に難点はあったものの、弦楽器の音は澄み切っていて、金管の音は晴れやか。これまで私が聴いた今年のプロムスに出てきたオケの中では一番好きだ。これまでは、弦と管にばらつきを感じていたが、ここのオケからそれは感じられない。やはり、ホールが悪くても、良いオケが弾けば、何とかなるのかもしれない。プロムス後半に期待が持てそうだ。
第三楽章-チェコの民族舞曲フリアントに着想を得たリズムというだけあって、滑るような、加速円運動のような。2拍で刻む楽器と3拍で刻む楽器が同時に流れる、この緊張感と加速度感が病みつきになって、自分も音楽に合わせて回りたくなってしまうが、今日の会場はかなりすし詰め状態でそんなことはできない。
ブダペスト祝祭管弦楽団-澄んだ良い音のオケだ。旧東欧だから、というのではないけれど、スメタナか、もしくは北欧へ行ってシベリウスか、澄んだ音が似合う曲を彼らの演奏で聴いてみたい。
聴衆の熱い拍手に応えて、アンコールは「もうこれ以上シリアスな曲は弾けない」とヨハン・シュトラウスⅡ世の田園ポルカ。オケのメンバーが歌うのが面白い-残念ながらオペラ歌手の発掘には至らなかった。