後半はベルリオーズの幻想交響曲。
3月にロイヤルフェスティバルホールで聴いて、最初の2楽章、なんだか訳がわからない、という体験をしていたので、少々不安になりながら。
しかし、今回はちゃんと第一楽章から幻想交響曲に聴こえた。痴呆症に罹っていたわけではなさそう、とほっと胸をなでおろす。
ウェスト=イースト・ディヴァン管弦楽団を生で聴くのは初めて。1999年設立という若いオーケストラ。団員はイスラエルとアラブ諸国の若い音楽家から成り立っている、とあって、少しSimon Bolivar Youth Orchestra of Venezueraを思わないでもない。ただ、SBYOVとの違いは良く言えば個々人がプロらしく独立している、悪く言えば、ばらばら。
バレンボイムの解釈なのか、オケの若さなのだろうか、「幻想」にしては素直すぎる気が。もっと気持ち悪いほうが気持ち良いと思う。クラリネットはソロをペラペラとした音で奏で、この曲にはお似合いだったが、オケの中で一人だけそれをやってしまったかのような感じで、浮いた印象があり、気の毒だった。
今日の幻想交響曲で一番感銘を受けたのは第五楽章のカリヨンの音。おそらくホールの構造と相俟って、まるで教会の鐘そのものを聴いているようであった(直径1mはありそうな立派なカリヨンを最上階に持ち込んでいた)。今でも頭の中で音を再現できるくらい、記憶に深く刻み込まれた。
バレンボイムが演奏会終了時に鳴り止まない拍手に応えて「アンコールは1時間後に」と言った(が別プログラムで独立したチケット要)プログラムは、オケメンバーによるメンデルスゾーンの八重奏とベルクの室内協奏曲。八重奏曲は。。。ちょっと学芸会。こういう演奏にブラヴォーするイギリス人は私には理解不能。確かにあなたや私が弾くよりはましだろうけれど。
ベルクはダニエルの指揮の下、ヴァイオリンを息子マイケルが演奏。彼のヴァイオリンにも、演奏全体にも、なかなか好感を持った。両親はピアニスト、息子はヴァイオリン-ピアノよりヴァイオリンに才能があったのだろうか。どうやって才能が見極められたのか-興味津々。