キャロリン・サンプソンのソプラノ、リチャード・エガーの指揮(合奏はエンシェント室内管弦楽団)、ハープシコードでヘンデルとパーセルを聴いた。
とにかく、透明で美しい声。オペラ歌手にありがちな「こぶし回し」がない。まるで教会の少年合唱団のような澄んだ真直ぐな声。小学生の時に全国合唱コンクールを聴いていたことが音楽経験の根っこにある私には、彼女の発声はとても心地よい。また、室内楽用のホールで、残響の長いウィグモアホールに彼女の声はぴったり。オペラを得意とする歌手をここで聴いたらどんなだろう。うるさすぎるのだろうか。
前半のパーセルは歌詞が英語であることもあってか、どうしてもミュージカル的な印象を抱いてしまう。以前、エリザベート王妃国際音楽コンクールで声楽部門の決勝を聴いたときのことを思い出したりもした。
エンシェント室内管弦楽団は曲が作曲された当時の楽器を使っているというが、コンマスの弓とセカンドトップの楽器はその他の奏者とは明らかに違って見えた(尤も今回は2階席のため詳細は不明)。管楽器はまるでリコーダーにオーボエのリードがついたような感じだったり(バロック・オーボエ)、トランペットもナチュラル・トランペットでトリルが難しそうだった。また調律も面白い。普通のオケでは例えばピアノがあればピアノのAを取って、あとは各自が他の弦を合わせるが、ここは4弦分すべての音をハープシコードから取っていた。古楽器だから、ガット弦を使っているのだろうが、却って金属的、というのだろうかキンキンとした音に聴こえた。
後半のヘンデルになって、歌詞がイタリア語になり、声量も増した気がした。"Lassa! ch'io t'ho perduta"(「アタランタ」より)だったと思うが、有名な「リナルド」の"Lascia Ch'io Piagna"のニアミス-とても曲想が似ていたように思われた。この後、アンコールが終わるまで、「私を泣かせてください」を歌ってくださいモードになってしまった。サンプソンの澄明な美声はヘンデルの特にマイナーの曲と素晴らしく調和していた。
次回は、是非、是非、「私を泣かせてください」を聴かせてください。。。