Que ma vie est belle!

私とは、美しいもの、美味しいもの、楽しいものの集合体。

指揮者の仕事-ヤニック・ネゼ=セガン@ロイヤルフェスティバルホール、ロンドン

2010-04-10 22:30:00 | コンサート

今夜はセガン指揮ロンドンフィルハーモニックオーケストラ(LPO)でヘンデル「王宮の花火の音楽」、プロコフィエフVn協奏曲第1番、ストラヴィンスキーの「花火」そしてベト7、と盛り沢山な演奏会を聴いた。

ヘンデルは大きさといい、少々デッドな音響といい、このホール向きではないと思う。もう少し小さなホールで演奏することをお薦めしたい。対して後半のストラヴィンスキーは、これだけオケの編成が非常に大きい。パーカッションや金管はこのためだけに出勤した人が多いと見る-固定給ならば気の毒だ。この2曲は「花火」つながりなのかもしれないが、今日の演奏会に通低するテーマって一体何なのだろう?

プロコフィエフのVn協奏曲はLisa Batiashvili。なかなか端正な演奏。プロコフィエフの演奏を「端正」というのもおかしいかも知れないが、ストラド(日本音楽財団が貸与している「エングルマン」)の音とも相俟ってそんな風に思える。上手いが、幸か不幸か追っかけをしたくなるほどの「何か」は感じられなかった。

そして、ベト7。最近の方には「のだめ」の曲なのだろう。私も第1楽章でマングースが出てきて困った。しかし、私の年代にとってこの曲は「時計仕掛けのオレンジ」ではないだろうか。従って第2楽章はちょっと思い入れがある。今日は、コントラバスもチェロも客席から見て左側に配置されていたので、ヴァイオリン演奏を見るために中央少し左よりに席を取っている私の位置では低音が心地よく音楽を支えていた。

また、最初から少しテンポが速めだったのだが、第4楽章にいたっては、Simon Boliver Youth Orchestar of Venezuera?と思うような速さであった。弦楽器はまだしも、管楽器、特にこの曲で大活躍のフルートには辛そうだ。フルートトップのおじさん、お疲れ様、Well done!でした。演奏後、彼と少し話ができた時、「二度とこの速さでは演奏できない」といっていた。

セガンに言いたいことがある。指揮は上手いと思う。情熱的だし、動きも運動神経の良さが見て取れる美しさがあって、それは素晴らしかった。しかし、演奏終了後、本当に活躍場所の多かった奏者をきちんと褒め称えることはとても重要な指揮者の仕事の一部と思うがどうだろう。一番最後に木管、金管、パーカッションとセクションは立たせたけれど、あれほど曲全体で顕著に活躍したフルートのおじさんを何故一人で立たせなかったのだろう?勿論、完璧な出来ではなかったけれど、演奏家を称えるのは、出来の良し悪しを指揮者が評価するためではなく、Good jobに感謝するためだと思うのだが。