Que ma vie est belle!

私とは、美しいもの、美味しいもの、楽しいものの集合体。

そうだったのね:ドゥダメル with LAフィル@ロサンゼルス、ウォルト・ディズニーホール(番外編)

2009-11-09 01:00:00 | Gustavo Dudamel

土曜日の演奏会では、実はいくつかのハプニングがあった。その内実がLA Timesの記事に対するコメント欄で明らかに!

Markiejoeというペンネームの方に詳しくある。

http://latimesblogs.latimes.com/culturemonster/2009/11/dudamel-tackles-verdis-requiem.html

一つ目は、曲の途中で、ドスンと大きな物が落ちるような音がした後、男性の声が何かを叫んだのである。私は一瞬、事件か?(テキサスの乱射の直後、ということもあり)と身構えた。投書に寄れば、バルコニーのトランペット奏者が金属様のものを落としたらしい。私の席からはどちらかといえば大きなダンボールのようなものを落としたような鈍い音に聴こえていたが。

二つ目の携帯電話は、本当に絶妙のタイミングで-皆が拍手のタイミングを見計らおうと、消え行く残響音とドゥダメルの指揮の後ろ姿を固唾を呑んで見守っている最中に-鳴ってくれたものだった。先日、パリでカプソン兄弟の室内楽を聴いた時は、演奏に入る直前だったので、仕切りなおしが出来たが、流石に90分の最後にこれだからといって、最初からやり直すわけには行かない。

ちなみに、この日の私の席はドゥダメルの顔を横から眺められる席だったが、少なくとも私の目に、彼の表情は微動だにしなかった。他の場面の騒音に対してもそうだった。演奏を聴いている我々とは全く違ったレベルの集中をしているということだろう。

それにしても、最近は日本の聴衆が一番マナーも良いのではないかと思う。いろいろな本を読むと、ヨーロッパの聴衆をほめる記事を良く見るが、最近あちらこちらへ出没する限りでは、そうともいえないのでは、と思っている。


座席と響き:ドゥダメル with LA@ロサンゼルス、ウォルト・ディズニーホール(その3)

2009-11-08 19:00:00 | Gustavo Dudamel

あっという間にLAでの3回目のコンサートを迎えた。今日の席は毎日LAフィルに電話をして入手したリターンチケットで、日本で言えばA席に当たる1階正面の一番奥の席。再び壁際というところは残念であるが、これまでの中では一番音響的には良いはずの席である。

Dsc05038

そう思って聴くからなのだろうか、音の聴こえが違うように思われる。大音量になるところなど、全身に音が降ってくるようで素晴らしいし、残響もこれまでの中で一番良く聴こえる。ベルリンのフィルハーモニーには及ばないものの、なかなかいい。このホールはどこに座るかでかなり聴こえが違うような気がする。ベルリンのフィルハーモニーは例えば舞台横の席でもとても良い残響を聴くことができたが。

昨日までのウィーケストリンク、フルートは、演奏会の開始前舞台上で1st2ndが合わせの練習をしている。良い心がけだ。それでも気になる部分は残っているのだが、練習していた合わせの部分は綺麗なハーモニーを聴くことができた。

合唱は、立ち上がるタイミングについて疑問に思っている。ドゥダメルが決めるのか合唱指揮者が決めるのか知らないが、立ち上がりながら既に声を出さなければいけないタイミングはいかがなものか、と思う。その前の切りの良いタイミングだと何もしないで立っている時間が長すぎる、ということなのだろうか。

1日目で挙げたDie Irae91小節目からのAllegro Sostenutoは勿論、Dies Irae冒頭からもドゥダメルの得意な場所(同じテーマは後にも2回ほど出てくる)で、指揮台の上でジャンプしたり、両手を大きく広げて大の字になったり、観ていて楽しい。ジャンプのタイミング、滞空時間、勿論きっちり音楽に合っている。運動神経が良いのだろうな。これこそDVDを作るべきではないか。それで世界中のドゥダメルファンが老若男女この振りを真似る。何と平和的(健康的)なことか!

今日は素直にスタンディングオベーション。もしかしたら、昨日も一昨日も同じように、あるいはもっと良く聴こえていたのかもしれない。定点観測が重要なのか。出来ることなら、最高の席で定点観測したいものである。LA市民、羨ましいぞ。


リターンチケット:ドゥダメル with LAフィル@ロサンゼルス、ウォルト・ディズニーホール(その2)

2009-11-08 01:00:00 | Gustavo Dudamel

LAフィルではチケットリターンは原則認めない。原則、というのはDonationという形であればチケットを返却できるのである。しかしDonationでは一般人にはあまりチケット返却のMotivationにならないと思われる。

6日の席に満足できず、7日の席が6日の席の並びであったことから、より良い席を求めて当日券の列に並んだところ、列には開演30分前で20人くらいがいた。幸い6日よりはよいと思われるチケットを入手でき、持っていたチケットも、列で知り合った人に譲ることができたが、果たしてホールに入ってみると、S席にあたる音響的に素晴らしい席やドゥダメルの指揮ぶりを見たい人(私?)にはうってつけの席が10席以上も空席のままであった。

これはチケットリターンの仕組みが悪いとしか思えず、思わずLAフィルにMailを送った私であった。ちなみにBarden-Bardenでは10?の追加料金を購入時に払えばチケット返却権を得られる。またザルツブルク音楽祭ではチケットがSold outになった場合、チケット返却を認めている。こういうシステムならば主催者(LAフィル)が負債を負うことなく、逆に多くの収益を得ることが出来るのではないか(米国のシステムでこういうことが認められないのかなどは分からないが)。

とにかく、一人でも多くの人がドゥダメルの素晴らしい演奏に触れられるよう、LAフィルには配慮してもらいたいものである。彼の音楽は人の人生を変えてしまう力すら持っているのだから。


観るクラシック:ドゥダメルwith LA フィル@ロサンゼルス、ウォルト・ディズニーホール(その1)

2009-11-07 01:00:00 | Gustavo Dudamel

ついに来てしまった(この台詞多し)ロサンゼルス。空港に降り立つと、お天気は快晴、20度と言われる気温にも拘らず、湿度が低いためか、Londonと同じ真冬のコート姿でも汗をかくことがない。

ダウンタウンの外れにあたるのだろうか、リトル東京などの地区との境、殺伐とした(東京、ロンドン、パリと比べるから?)地域にウォルト・ディズニーホールはある。

Dsc05033

音響が素晴らしいと評判のホールである。内装は確かに木を基調にした流線型が美しい。またパイプオルガンとそのパイプをデザインしたオブジェも素敵だ。

しかし、残念ながら今日の席は非常に条件が悪い。2階席なのだが、3階席の下にあたり、後ろも壁。これは音響的には相当「いけていない」席に違いない。チューニングの音はホール全体に響いているのが分かるが、それでもこの席からは「残響2秒」には聴こえない。一方、客席からの雑音までホール中に広がる。さらに、隣の席の人の時計の秒針の音が、夜眠れないときに聴こえる時計の秒針なみに響く(涙)。

さて、演奏が始まる。ヴェルディの「レクイエム」。これは歌手が命であるが、もちろんLAでの演奏会で、ゴージャスな歌手を期待すること自体が間違っている、と最初から諦めモードであったが、それでも、やっぱりちょっとがっかり。ソプラノは、何というか、節回しが田舎っぽい。またバスは風邪を引いているとみた-鼻から口にかけて真っ赤だし、音量を上げると雑音が混じる-残念。個人的にはメゾソプラノが声量は余りないものの、声質という意味で、ビロードのようで気に入った。

ドゥダメルの指揮は、まさに聴く、ではなく「観るクラシック」。Die Irae91小節目からのAllegro Sostenutoは圧巻。舞台上のトランペットと、3階席に配置したトランペットの掛け合いを指揮するドゥダメルの美しいこと。耽美的という言葉が帝王カラヤンに当てはまるならば、「躍動美」こそ、若騎士ドゥダメルにはうってつけ。これはDVDにする価値あり、と思いますが、いかがでしょう、LAフィル広報部?

演奏の終了時、皆お行儀良くドゥダメルが指揮棒を降ろすまで(かなり時間をとった)待っていた。アメリカ人も学習するらしい。しかし、その後、皆スタンディングオベーション。あー、この演奏でそれはないでしょう、と思うが、前がまったく見えないので結局立った。このレベルで演奏家(特にあの歌手軍!)にご褒美をあげてはいけない!犬のしつけと一緒だ、と思うのだけれど。。。?