rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

シリアの内戦は何故終わらないのか

2012-09-14 19:17:20 | 政治

昨年来アラブの春が中東・北アフリカを席巻して、リビアやチュニジア、エジプトといった国々の独裁体制が崩壊しました。変わって西欧のような民主国家が誕生したかというと、どこの国も内外の種々の勢力の思惑が入り乱れて争乱状態が続いているというのが真実のようです。エジプトなど宗教対立が激化してイスラム教徒とキリスト教徒が家を焼き討ちにしたり、それぞれに属する信者を拉致監禁したりといった悲惨な事件が頻発しているようです(外国のニュースでは良く報道されています)。

 

激しい戦闘と無差別とも言える殺戮が続くシリアは半年以上内戦が続いていて、子供が爆撃の犠牲になったり、日本人ジャーナリストの山本美香さんが射殺されたこともあり、日本でも多く報道されています。しかしあのような小さな国で誰が何を目標に同国民を殺しているのかを簡明に説明しているテレビ番組はありません。

 

徳川300年の統治機構を変えた明治維新における戊辰戦争は1868年1月鳥羽伏見の戦いから始まり、江戸、東北と戦線が移動して1869年6月に函館戦争が終結して16ヶ月にわたる内戦が終結しました。日本の場合は戦争をしている主体が新政府軍と旧幕府軍と明確なので戦争の経緯が明らかで、何を目標とし、どこが終着点かもはっきりしています。翻ってシリアの場合、アサド政権側はまあ分かりますが、反政府軍というのがどのような構成で誰が指揮を執って何を目標にしているのかがさっぱり分かりません。

 

大抵内戦というのはバックに外国勢力がいて資金援助などをしているもので、戊辰戦争においても政府軍にはイギリスが、幕府群にはフランスがいて戦争で日本が疲弊した暁にはどちらが勝ってもそれぞれのバックが植民地として日本を山分けにしようと企んでいたものと思います(それを見抜いてさっさと内戦を止めて国家の近代化を遂げた先人達は偉い)。シリアにおいては、アサド政権は少数派のイスラム教アラウイ派からなるようですが、実はイランなどのシーア派がバックについていて、レバノンのヒズボラもアサド政権支持に回っているということです。またロシア・中国も密かにアサド政権側を支援していると見られ、そう簡単には政権崩壊には至らないという見方が強いです。一方、シリアの反政府勢力は欧米寄りの世俗的宗派といえるスンニ派が主体で、サウジアラビアを中心とした金持ち国家群が欧米とともに反体制側を支援していると言われます。ヒズボラを蛇蝎の如く嫌うイスラエルも当然反体制派を支援している訳で、武器や戦闘資金が枯渇する事無く供給される裏にはこれら金持ち国家が本気で支援している背景があります。特にサウジアラビアはアラブの春による独裁体制や王制の崩壊を極端に恐れており、東部のシーア派住民の反乱やデモに神経を尖らせている現状があります。ロンドン五輪にも女子選手を初めて出場させるなど専制的なイメージを払拭しようとしていますが、シリアが倒れれば次はサウジと言う展開を恐れるスンニ派陣営としてはここは譲れない所でしょう。

 

結局イラン対サウジの代理戦争状態に近いシリアの内戦です。欧米諸国としてはサウジ側の反体制側に見方したい所でしょうが、アラブの春をなしとげたエジプトなどが却ってシーア派を中心としたムスリム同胞団などが勢力をのばし、ここ数日は死者を出すほどの反米デモ(ムハンマドを侮辱したビデオのせい?)まで起こっている状態ではあまり露骨な介入もできないということでしょう。

 

シリア内戦が終わらないのはサウジアラビアの存立とイランを中心としたシーア派の対立が背景にあるからというのが理由と思われます。


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