八王子 印鑑 楽善堂
創業1899年:明治32年。東京:八王子 文字工房楽善堂では良いものを長く、一生お使いいただくのにピッタリの感触をご確認いただきたく、実際に印鑑材料をさわってみて、指との相性を見ていただく事をおすすめしております。
──── 八王子で印鑑を作り続けて110年 ────
こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。
昨日は、砥石(といし)の面を平面に直しました。印刀(いんとう、印材を彫るのに使う刃物)を研ぐのに砥石を使います。砥石にも、荒砥(あらと)、中砥(なかと)、仕上げ砥、とあり、仕上げ砥の面を平面に直しました。
荒砥を10分くらいバケツに漬けておいて十分に水分を含ませてから、屋外でコンクリートの上に置いて、その上に仕上げ砥を下に向けて荒砥とこすり合わせます。頻繁に使うのは仕上げ砥なので、印刀が当たった部分が段々とへこんで来ます。この凹凸を荒砥の切れ味で平面にします。水を掛けながら、また仕上げ砥を上下の向きを変えながらで、両手で仕上げ砥を上下に動かすこと、7~8分、平面にすることができました。
荒砥を水に漬けたので、荒砥で仕上げ刀の角度をやや薄刃に変えました。印刀は荒彫りの作業で使い、仕上げ刀は最後の仕上げの作業で使います。今まで厚刃過ぎたので、仕上げの作業で外枠と文字の間で鋭角に三角になっている箇所に、仕上げ刀の先端が深く入りこめないのを感じていました。
23歳の時、見習い修行で墨田区、両国の印判店に入った時、初めの1週間はずっと印刀の刃物研ぎをしていました。問屋で買ったばかりの印刀はまだ刃が付いていないので、砥石で研いで刃を付けて行きます。刃物研ぎも技術のうちで、習い始めは手首が固定せず、よい刃がつきません。『切れ味のある刃を付けられなければ職人じゃない』とよく師匠が言っておりました。
荒砥(仕上げ砥でこすって研ぎ汁が出た状態)、
荒砥(通常の状態)です。
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