ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや訪問カウンセリングなどをやっています。

椎名誠『さらばあやしい探検隊-台湾ニワトリ島乱入』2019・角川文庫-「あやたん」ファイナル!

2024年07月13日 | 随筆を読む

 2019年のブログです

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 シーナさんの『さらばあやしい探検隊-台湾ニワトリ島乱入』(2019・角川文庫)を読みました。

 「あやたん」ファイナル!ということで、歴史のある「あやしい探検隊」もこれがファイナル、さみしいです(グスン)。

 最初の『わしらはあやしい探検隊』(角川文庫)は1882年発行ですから、37年前。

 それから延々と続いていて、いずれもハチャメチャの探検ものですが、とても面白い読み物に間違いありません。

 じーじの予想では、おそらく、岳シリーズやじいじいシリーズとともに、新宿赤マントやナマコシリーズと並んでシーナさんの代表作になるのではないかと思います。

 日本が高度成長期に入って、自然破壊が進む中で、「あやたん」はなんとか継続し、おやじ軍団の面白さを存分に発揮してくれて、読者を楽しませてくれました。

 ハチャメチャの中にも日本の正しいおやじの姿があったように思います(?)。

 それが読めなくなるのはさみしいです(グスグス)。

 しかし、まだ、「あやしい雑魚釣り隊」が残っています。

 こちらの活躍、ハチャメチャぶりを楽しみにしていきたいと思います。

 まだまだ頑張れ!シーナさん!     (2019. 10 記)

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 2021年秋の追記です

 2年ぶりに再読しました。じーじにしては異例の早さ。専門書もこれくらい早く再読できるといいのですが…(グスン)。

 前回、書き忘れましたが、単行本は2016年の発行。2015年の台湾での探検(?)を本にしています。

 今から6年前、シーナさん71歳の時です。

 しかし、シーナさんは地元の小学生との野球大会でヒットを打ったりと大活躍、すごいじいじいです。

 今後の活躍も楽しみです。     (2021.9 記)

 

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椎名誠『おれたちを齧(かじ)るな-わしらは怪しい雑魚釣り隊』2022・小学館文庫

2024年07月09日 | 随筆を読む

 2022年7月のブログです

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 シーナさんの『おれたちを齧(かじ)るな-わしらは怪しい雑魚釣り隊』(2022・小学館文庫)を読む。

 この本も夏休みにゆっくり読もうと楽しみにしていた本。

 旭川の本屋さんで購入。

 大人気シリーズ第7弾、とあって、文庫本はだいたい読んでいるつもりだったが、もうそんなに出ているんだ、と改めてびっくりする。

 本の帯に、ブリだってボラだって出世するのに、どうしておれたちはいつまでも賢くならないのだろうか…、とあるが、シーナさんとその仲間たちの釣りとキャンプとお酒の旅はいつ読んでもおかしい。

 みんな社会人としてはなかなかの仕事をしている人たちばかりだが、シーナさんと遊ぶ時には子どものように無邪気になるところが面白い。

 たとえば、海仁さん。

 シーナさんが昔、初めて小笠原に旅行をした時に、編集者として同行した若者。

 酒を呑まず、笑わせるのに苦労するという真面目で博学な編集者だが、その後、怪しい雑魚釣り隊に加入、エースとして活躍する。

 ところが、大物を釣りあげると興奮をして怪我を頻発するという癖があることが判明、そういう次第を綴るシーナさんの筆が優しい。

 そして、ドレイのみなさん。

 今の世にドレイ(?)が存在するというところに、この集団の特異さと面白さがある。

 下手をするとユーモアを解さない人たちに非難されかねない前近代的制度だが、このドレイのみなさんたちへのシーナさんのさり気ない優しさがまたいい。

 毎回、同じようなできごとが続くが、しかし、変化も確かにあり、ここら辺がこのシリーズの魅力なのかもしれない。

 どこを読んでも決して飽きない面白さがあるというのは、やはりシーナさんの才能なのだろうと思う。

 電車の中で読むには少し危険な本だが、ずっと続いていってほしいと思う。      (2022.7 記)

 

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中沢新一『虎山に入る』2017・角川書店-じーじの読書日記・セレクト

2024年06月29日 | 随筆を読む

 2018年のブログです

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 中沢新一さんの『虎山に入る』(2017・角川書店)を読みました。

 中沢さんの本を読むのは久しぶり。

 「縄文と現代とを結ぶ思考の稜線」というキャッチフレーズになんとなく魅かれて読み始めたのですが、最後の文章などは、縄文どころか、ホモサピエンスの誕生にまで話が遡るという、中沢さんらしく壮大なものでした。

 主な内容は、河合隼雄さん(臨床心理学)や山口昌男さん(文化人類学)への追悼の文章や折口信夫さん(民俗学)や井筒俊彦さん(宗教哲学)などの仕事についての論文などで、河合隼雄さんへの追悼文を読むと、お二人の絆の深さがうかがわれて、涙が出そうになって困りました(お二人の本については、2015年6月のブログに少しだけ書いています)。

 また、山口昌男さんとのことでは、中沢さんの若き日の学者姿が垣間見られて、とても楽しく読ませていただきました。

 じーじの大好きな井筒俊彦さんとのご関係は、じーじは初めて知ったことで、いろいろな人がいろいろなところでつながってくるな、とその不思議さと楽しさを感じることができて、幸せでした。

 他にも興味深い文章が並んでいて、マルクス主義の限界に論及したり、西洋文明の一面性に論及したりと、ちょっと驚くような、しかし、読んでみれば、納得もできるような刺激的で、真の意味で教養になるような文章が並んでいます。

 いずれまた、読み返して、さらに思索を深めたいと思いました。      (2018.6 記)

 

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沢木耕太郎『勉強はそれからだ-象が空をⅢ』2000・文春文庫-知らないということを知っていること

2024年06月28日 | 随筆を読む

 2019年のブログです

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 このところ、沢木耕太郎さんにはまっていて、本棚を眺めていたら、『勉強はそれからだ-象が空をⅢ』(2000・文春文庫)が目につきましたので、再読しました。

 最近は、作家さんの執筆の順番などは無視して、見つけた順に読んでしまうことが多いのですが、一応、再読なので(といっても、記憶がなくなっているのですが)、それで勘弁してもらっています。

 しかし、それはそれで、また面白味があって、今の興味と年齢と経験が混然一体となって(?)、なかなかスリリングな読書ができる気もしています。

 さて、本書、例によって、今回、印象に残ったことを一つ、二つ。

 一つめは、知らないことを知っていることの大切さ。

 なんだか、ソクラテスの言葉みたいですが、沢木さんはこのことを何度も強調しています。

 へんに知っているつもりになると、知ることへの意欲が減じてしまい、仕事や生きることが中途半端になることを心配されます。

 そして、知らないということを知っていると、語ることに慎重になる、といいます。

 テレビなどで、薄っぺらな言葉が氾濫している現状を見ると、貴重な意見だと思います。

 さらに、知ることで、驚き、喜び、打ちのめされ、感動する、というこころの柔らかさを持っていることが大事、といいます。

 知ることが生きる喜びや生きる充実感になることが理想なのだろうと思います。

 二つめは、ガルシア・マルケスの言葉を引用しているところ。

 「たとえば、象が空を飛んでいるといっても、ひとは信じてくれないだろう。しかし、4257頭の象が空を飛んでいるといえば、信じてもらえるかもしれない」

 言葉の重みをこう述べます。

 意味深長ですが、我流の解釈では、文章は漠然としたものではなく、ていねいでこまやかな文章が人を動かす、ということかな、と思ったりします。

 いい本を再読できたと思います。     (2019.9 記)

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 2023年秋の追記です

 知らないことを知っていることの大切さ、という言葉は、わからないことに耐えることの大切さ、に通じるような気がしますね。

 そのあとの、知らないということを知っていると、語ることに慎重になる、という言葉もすごいです。

 白か黒か、右か左か、と、短絡的、ヒステリー的に決めつけないで、ずっと考え続けることの重要性を教えてくれるようです。     (2023.9 記)

 

 

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川上弘美『東京日記5 赤いゾンビ、青いゾンビ。』2017・平凡社-電車で読むのは危険な本です

2024年06月26日 | 随筆を読む

 2017年のブログです

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 川上弘美さんの『東京日記5 赤いゾンビ、青いゾンビ。』(2017・平凡社)を読みました。

 すごーくおもしろかったです。

 おもしろすぎて、何度か大笑いしてしまい、この本は電車の中で読むのは危険(!)だな、と思いました。

 シリーズ5作目で、実は去年に出ていたのにチェックし忘れで、今頃読んでしまいました(川上さん、ごめんなさい。でも、文庫本になる前に買ったので許してください。ちなみに、じーじが文庫本や古本以外の新しい本を買うのはきわめてまれなことなのです)。

 さて、本書、今回も本当に面白いです。

 川上さんが読者を笑わせようと構えて書いているわけではなく、ふだんの日常生活を淡々と書いているだけなのに、結構、奇想天外なことが出てきて、すごくおかしいです。

 あるいは、川上さんの周りでは、笑いの神さまがさまざまないたずらをしているのかもしれません。

 それを常人とは違う感性でキャッチして文章にすることも、すぐれた小説家の仕事なのかもしれません。

 内容はあまり書けませんが、じーじが一番おもしろかったのは、川上さんが新潟の小さな本屋さんで自分の本があるかどうかをチェックしたところ、一冊だけあったのですが、周りの本がベストセラーすぎて、かえって心苦しくなった、というエピソード。

 川上さんらしく、控えめな(?)エピソードで、ますます川上ファンになってしまいました(!)。

 他にも、真面目なのに、すごくおもしろいお話が満載です。

 そういえば、真面目な話が多いわりに、なぜか、下着のお話が多いのが、川上さんらしい(?)のかもしれません。

 色っぽい小説をお書きになる売れっ子小説家ゆえのことなのでしょう(?)。

 冗談はさておき、とてもいい日記シリーズです。

 哀しいとき、つらいとき、死にたくなったとき(?)にお読みになれば、また元気が出ること、うけあいです。

 よろしかったら、ご一読ください。      (2017 記)

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 2019年1月の追記です

 「じーじの日記」のお手本(?)になったすてきな日記です。     (2019.1 記)

 

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沢木耕太郎『バーボン・ストリート』1989・新潮文庫-今も色あせない素敵なエッセイたち

2024年06月19日 | 随筆を読む

 2019年のブログです

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 本棚を眺めていたら、懐かしい本を見つけました。

 沢木耕太郎『バーボン・ストリート』(1989・新潮文庫)。

 じーじが30代の頃、沢木さんも若い時の本です。

 講談社エッセイ賞受賞とあります。

 どのエッセイも面白いのですが、今回、特に印象に残ったエッセイを一つ、二つ。

 一つは、北海道日高のコテージで高倉健さんらと語らうエッセイ。

 モハメド・アリさんの貴重な試合のチケットを健さんが沢木さんに譲ったというエピソードなど、健さんの男気のある行動が明かされます。

 健さんがアイヌの人から教えてもらったという、木を見て、方角を知る方法も興味深いです。

 もう一つは、沢木さんが若い時にお世話になっていたという古本屋さんのお話。

 お金のない沢木さんが欲しい本を取りのけておいてもらったというエピソードは、人のよい古本屋さんの人柄を表します。

 もっともっとご主人とお話をしていればよかった、という沢木さんのお気持ちが伝わってきます。

 なお、解説は山口瞳さん。

 じーじは学生時代から山口さんの小説が大好きでしたが、山口さんの描く沢木さんのエピソードは面白くて、かつ、温かくて、後輩想いの山口さんの面目躍如です。

 いい本を久しぶりに読めて幸せでした。      (2019.9 記)

 

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池内紀編『ちいさな桃源郷-山の雑誌アルプ傑作選』2018・中公文庫-素敵な山の雑誌を楽しむ

2024年06月18日 | 随筆を読む

 2018年のブログです

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 池内紀さんが編集した『ちいさな桃源郷-山の雑誌アルプ傑作選』(2018・中公文庫)を読みました。

 本の帯に、山河と人と生きものを小声で語りつづけた伝説の山の雑誌「アルプ」、とあります。

 雑誌「アルプ」は登山家でエッセイストの串田孫一さんが中心となって出されていたちょっとおしゃれな山の雑誌で、解説によれば、1958年(昭和33年)から1983年(昭和58年)までの25年間に300号が発刊されています。

 じーじがまだ子どもの頃から若い頃のことで、じーじにはめずらしく勉強一筋の時期であり(?)、ライブで読んだことはなかったのですが、なぜかその後、古書店や文学資料館、郷土資料館などで何回か見た記憶があります。

 本書にも、深田久弥さんや上田哲農さん、更科源蔵さん、宮本常一さん、畦地梅太郎さん、尾崎喜八さんなど、すばらしい登山家、歴史家、詩人さんなどの文章が選ばれています。

 編者の池内さんは、優秀なドイツ文学者で、すばらしい翻訳が数多くありますが、東大の先生らしからぬ、軽妙なエッセイや紀行文で知られ、最近はご存じのように、おしゃれなじーじの本の著者として有名な人です。

 ということで、とても気持ちよく、楽しく、読むことができました。

 じーじが特に気に入ったのは、やはりどさんこの更科源蔵さんや文章が美しく、大好きな深田久弥さん、そして、今回、初めて読んだのですが、北海道東部のヤウシュベツ川のことを書いている吉田元さんという作家さんでした。

 吉田さんの文章はとても美しくて興味深いもので、こういう出会いがあるので読書はやめられません。

 久しぶりに山や川に行ってみたくなりました。     (2018.10 記)

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 2023年夏の追記です

 今日のあるブログでご紹介がありましたが、北海道知床に北のアルプ美術館があります。雑誌アルプがたくさん展示されているという、小とても贅沢な美術館です。

 じーじはこの美術館の前を車で通ったことはあるのですが、いずれも時間がなくて立ち寄れませんでした。

 来年こそは、雑誌アルプの世界にゆうたりと浸りたいなあ、と思います。      (2023.8 記)

 

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加藤周一『私にとっての20世紀』2000・岩波書店-「いま,ここで」起こっていることを冷静に把握すること

2024年06月12日 | 随筆を読む

 2016年のブログです

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 加藤周一さんの『私にとっての20世紀』(2000・岩波書店)を久しぶりに読みました。

 2000年に書かれた本ですが,16年後の今年の状況をほぼ正確に予測しています。

 日米軍事同盟,安保法制,自衛隊の海外派兵,法律の拡大解釈,憲法改悪の動き,沖縄の基地問題の固定化,日の丸・君が代の強制,死刑存続,マスコミ統制,などなど。

 すごい読みだと思います。

 国家と権力の目指すところがよく見えていたのだと思います。

 時代は急速に悪化の方向をたどっているように見えます。

 つぎは徴兵制でしょうか。

 政府は徴兵制は苦役で憲法違反と今はいっていますが,その憲法が危うい状況です。

 ちなみに,じーじが加藤周一さんを初めて読んだのは大学2年の時。

 ある先生から夏休みの課題として加藤さんの『羊の歌』(岩波新書)を読むようにいわれて読みました。

 読んでびっくりしました。

 戦時中に日本の敗戦を確信していたということ。

 その明晰な分析と明晰な文章に感激をしました。

 以来,40数年,加藤さんを読み続けています。

 そういえば,司馬遼太郎さんも戦争中に戦車に乗っていて,指揮官が,国家を守るためには国民をひき殺してもいい,と述べたのを聞いて,国家に絶望をしたと書いています(沖縄戦では泣いている赤ちゃんが敵にみつかるからと殺されました。戦争は本当に人を冷酷に変えてしまいます。殺し合いですものね)。

 お二人とも,敗戦後の日本の中で,国民を戦争に追いやった国家と権力を冷静に分析した文章をお書きになりました。

 お二人とも本当に日本の人たちのことを考えていたのだと思います。

 フロイトさんはご存知のように,状況をきちんと分析をしないと事態を反復する,と述べています。

 今,じーじたちに求められているのは,精神分析が大切にしているように,「今,ここで」何が起こっているのかを冷静に把握し,冷静に理解をし,冷静に対応していくことのように思います。

 さらに勉強を深めたいと思います。     (2016 記)

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 2020年10月の追記です

 学術会議の問題、また、きな臭くなってきました。     (2020.10 記)

 

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吉田類『酒場詩人の流儀』2014・中公新書-類さん,北海道と新潟の魅力を語る!

2024年06月10日 | 随筆を読む

 2015年のブログです

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 吉田類さんのテレビ番組・酒場放浪記ならぬ新書『酒場詩人の流儀』です。

 類さんのすてきな旅紀行とお酒紀行が満載です。

 読んでいると,なんだか北海道と新潟のお話が多く,どさんこで新潟暮らしのじーじにはとてもうれしい本なのですが,よく読んでみると,新潟の地元の新聞である「新潟日報」と北海道の地元紙である「北海道新聞」に連載された記事をまとめたものとのことで,納得!

 ひいきめなしに,大自然と山と水とお酒のすばらしさがいっぱい述べられており,いい本です。

 もちろん,俳句もすばらしく,

 「グッバイを 鞄に詰めて 冬の旅」

にはしびれました。

 最近,テレビで,類さんが北海道の女子アナや新潟の女子アナと旅をしている番組を時々観ますが,こういう旅行の成果(?)もあるのでしょう。

 うらやましい!

 とにかく,楽しく読めて,読後はすがすがしい気分になれる一冊でした。     (2015.5 記)

 

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深田久弥編『峠』2022・ヤマケイ文庫-なんとも贅沢な峠紀行の名作たち

2024年06月06日 | 随筆を読む

 2022年6月のブログです

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 山と渓谷社から深田久弥さん編集の『峠』(2022・ヤマケイ文庫)が出たので、ゆっくりゆっくり味わいながら読んだ。

 なんとも贅沢な峠紀行の名作たちである。

 執筆者は、田部重治、伊藤秀五郎、若山牧水、藤島敏男、寺田寅彦、小島鳥水、尾崎喜八、中村清太郎、小暮理太郎、藤木久三、冠松次郎、武田久吉、などなど、明治から昭和初期までの山歩きで名高い人々。

 山にはあまり詳しくないじーじでも、思わずため息が出てくるほどの豪華な顔ぶれである。

 そして、その人たちが、山ではなく、人里により近い峠を旅した紀行文が集まっていて、より親しみを感じる。

 例によって、中身にはあまりふれないが、じーじのお気に入りの文章を一つ、二つ。

 一つめは、伊藤秀五郎さんの「北見峠」。

 伊藤さんは北大教授などをされた登山家であるが、ここでは、当時、駅逓が置かれていた北見峠の老夫婦との交流がとても温かい文章で綴られていて、心地よい。

 じーじは以前、この文章を伊藤さんの本で読んで、先年、車で北見峠を訪れたことがあるが、今では車もあまり通らないこの峠の素朴なたたずまいはなかなか感慨深いものがあった。

 二つめは、若山牧水さんの「金精峠」。

 牧水さんは歌人で有名だが、『みなかみ紀行』などの山歩きの文章もたくさん書いていて、じーじが大好きな人。

 じーじと一緒でお酒が大好きで(?)、すぐに呑んでしまうが、山歩きは健脚で、じーじがびっくりするほどの山歩きをしている。

 歌人だけあって、文章がきれいで、読んでいてこころが軽くなるというか、気持ちよくなるような気がして、楽しい。

 総じて、ここに挙げた人たちは、みな文章がうまいし、味わい深い。

 読んでいると、今の日本とはかなり違いがあるような感じがする。

 経済的には貧しかったのかもしれないが、軍国日本になる前の素朴ないい時代だったのかもしれない。

 他にも、よい作品が目白押しである。

 時々、読み返していきたいと思う。     (2022.6 記)

 

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