2020年4月のブログです
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喜多由布子さんの小説『知床の少女』(2007・講談社)をしばらくぶりに読みました。
いい小説です。
涙もろいじーじは、終わりのほうは、涙じわーんで読んでしまいました。
高校受験に失敗をして、浪人中の女の子が主人公。
家庭不和もあって、精神的に余裕がなくなっています。
そんな女の子に、札幌に住むじーじが遊びに来ることをすすめます(いいじーじですね)。
そして、じーじのはからいで知床で水産工場を営む、さくらばあ、というばーばのところに。
そこで、働く人たちとの生活の中で、女の子は本当にだいじなことはなにかを学んでいきます。
飾りはないけど、質素で純朴な人たち。
厳しいけれど、こころ温かい人々とのやりとりの中で、女の子は都会では見失われている大切なものに気づいていきます。
梨木香歩さんの『西の魔女が死んだ』の北海道版みたいな素敵な小説です。
明るいだけでなく、哀しみもあるところが北海道らしいのかもしれません。
喜多さんの文章はシンプルだけど、力強く、そして、美しい日本語で読みやすく、あっという間に読んでしまいました。
いい小説が読めて、今、しあわせな瞬間を味わっています。
明日からまた頑張ろうという勇気をもらえたような気がします。 (2020.4 記)