たぶん2014年ころのブログです
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精神科医の中井久夫さんの『世に棲む患者』(2011・ちくま学芸文庫)を再読しました。
中井さんはじーじがもっとも尊敬と信頼をする精神科医のお一人。
一度だけ研究会で講演をお聞きしたことがありますが、流行のパワーポイントを使わずに、黒板に板書をしてお話をされたのが、新鮮な記憶として残っています。
本書を読むのは、単行本だった『病者と社会-中井久夫著作集第5巻』(1991・岩崎学術出版社)の時も含めると4~5回目だと思うのですが、今回も勉強になりました。
中井さんは統合失調症の治療で有名で、また、風景構成法などでは世界的に高名な精神科医ですが、その文章はまったく偉ぶったところがなく、やさしい語り口で、しかし、その内容は深く、広く、目配りの行き届いた文章です。
中井さんの精神科治療もおそらくは同じようにやさしくて、配慮の行き届いた治療なのだろうと想像させられます。
今回は、統合失調症だけでなく、境界例や強迫症などにも言及をされていて、とても勉強になりました。
特に、あらためて驚いたのは、二人の家裁調査官の先輩の研究に言及されているところ。
一人は(名前は明記されていませんが、内容から想像をすると)以前にもご紹介をしたことのある山野保さん。
(おそらくは)山野さんの『「未練」の心理-男女の別れと日本的心性』(1987・創元社)などを中心に未練や境界性人格障害について触れています。
そういえば、じーじが裁判所に入った時に、配属された家事事件の部屋で、山野さんを中心としたメンバーが未練や嫉妬について勉強をされていて、よくそんな話題が部屋の中で話されていたことを思い出します。
もうお一人は佐竹洋人さん。
佐竹さんとも一緒に仕事をさせていただいたことがありますが、佐竹さんと中井さんは佐竹・中井共編『意地の心理』(1987・創元社)というとてもいい本を出されていて、この本を読むと、未練と意地の関係について考えさせられるところが多いです。
しかし、当時、まだまだ若造にすぎなかったじーじは、まだあまりこれらの研究のすごさが実感できない新米で、ずいぶんもったいないことをしたなと反省をしています。
その後、仕事の中で、うらみの重要性や困難さなどを経験して、いかにこのような研究が重要であったかを、今頃になって実感しています。
今からでも、もっともっと勉強をしていかなければなりません。 (2014?記)
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2021年12月の追記です
中井さんらが指摘をされた、甘え、うらみ、未練、意地、などの言葉は、その後、土居健郎さんの本などをさらに読みこむことで、じーじの臨床でも大切な言葉になっています。
奥が深い世界なので、さらに勉強をしていこうと思います。 (2021.12 記)
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ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介
経歴 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ
1977年、ある四流私立大学文学部社会学科を卒業、浦和、新潟家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として司法臨床に従事する
2014年、定年退職間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士)を修了
2017年、臨床心理士になる
仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています
学会 精神分析学会、遊戯療法学会会員
論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか
住所 新潟市西区・北海道東川町(夏期)
mail yuwa0421family@gmail.com