2020年2月のブログです
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大原槇子さんの『クマイザサの二十三軒-東京から来た拓北農兵隊』(1998・北海道新聞社)をようやく本棚で見つけて、読みました。
去年の夏、「なつぞら」天陽くんのことから気になっている拓北農兵隊、旭川にも戦後開拓で苦労をした人たちがいたという本書を一度読んだ記憶があったのですが、その本がなかなか見つからずにさがすのに苦労しました。
北海道関係の本棚を半年探しても見つからなかったので、今回、思い切って、全く関係のない本棚を眺めていたところ、なんと歴史書関係の本の間に隠れているのをようやく見つけ出しました。
久しぶりに本を手にして、今回、初めて気がつきましたが、副題に、拓北農兵隊、とあります。やっぱりそうでした。
敗戦直前に、東京から当時の上川郡神居村共栄(今の旭川市神居共栄)に開拓に入った人たち。
家や土地、農機具などが配給されるという政府の話を信じて入植しますが、現実は非情で、たいへんな苦労をさせられます。
当初、23軒あった開拓農家も、開拓の厳しさに耐え切れずにどんどん減ってしまいます。
そういう歴史と政治と自然に翻弄される庶民の苦労が綴られます。
じーじが育った旭川に、そんなに苦労をした人々がいたことを、じーじは小学校でも、中学校でも、高校でも習ったことがありませんでした。
歴史教育の貧困さと偏り、視点のまずさを感じます。
今回、再読ができて、本当に勉強になりました。
今年の夏は旭川市神居共栄の地を訪ねて、開拓者の苦労を感じ取りたいと思います。 (2020.2 記)
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2021年6月の追記です
この時、書き落としてしまったのですが、この開拓農家の人たちの苦闘をモデルにした小説が、開高健さんの『ロビンソンの末裔』です。 (2021.6 記)