ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

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宮本常一『民俗学の旅』1993・講談社学術文庫-良心的な学者の姿勢に学ぶ

2024年07月05日 | 北海道を読む

 2019年のブログです

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 天陽くんこと神田日勝さんも出てくる石井次雄さんの『拓北農兵隊』を読んでいたら、宮本常一さんの名著『民俗学の旅』(1993・講談社学術文庫)が引用されていた。

 宮本さんの民俗学は、庶民の立場から、庶民の目線で、庶民の生活がとらえられていて、親しみのある学問である。

 その宮本さんが、拓北農兵隊に関係していて、びっくりだった。

 敗戦直前、宮本さんは大阪府のお役人さんで、拓北農兵隊(宮本さんは、帰農隊、と書いている)の大阪隊を引率したという。

 そして、敗戦後の秋にも、帰農隊を北海道まで引率したが、最終地までは同行できずに、そのことを反省している。

 その帰り道、夏に引率をした拓北農兵隊の開拓地を訪れ、その悲惨な状況を見て、反省を深めるという記述がなされる。

 良心的な学者だけに、ご自分の関係された事業の失敗に心が痛んだ様子がひしひしと伝わってくる。

 もっとも、それを、きちんと報告し、書き残したのは、やはり一流の民俗学者の仕事であろうと思う。

 先達の苦悩と哀しみを無駄にしないよう生きていきたいと思う。      (2019.9 記)

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 2021年11月の追記です

 宮本さんの反省と学者としての良心には本当に感心させられる。

 一方で、国や企業のためにだけ都合のいいことをいう御用学者もいつの世にもいる。

 歴史による判断がその正否を明らかにするのは間違いないが、その前に自ら襟を正すことを願う。      (2021.11 記)

 


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