たぶん2015年ころのブログです
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土居健郎さんの『精神療法の臨床と指導』(1967・医学書院)を相当久しぶりに再読しました。
じーじがこの本を購入したのが1981年、家裁調査官研修所を修了する頃。
その後、何回か読んで感動し、付箋やアンダーラインもいっぱいですが、ここしばらくはご無沙汰でした(土居さん、ごめんなさい)。
久しぶりに読んだ本書はやはり刺激的でした。
今はもう大家になっている人たちの若いころのケースを土居さんが指導しているのですが、その「きれ」がすごいです。
そういえば、土居さんは調査官研修所にも指導に来てくださり、同期生のケースを午後半日かけて指導してもらったことがありました。
こわい先生だとお聞きしていたので(土居さん、再びごめんなさい)、ケース提供者だけでなく、周りのじーじたちも緊張をしていたことを思い出します。
土居さんの指導を読んでいると、同じケース資料を聞きながら、どうしてこんなに仮説が浮かび、それを確認する方法を思いつくのだろう?と本当に驚嘆します。
アメリカの精神分析の本場で修業をしてきたからといえばそれまでですが、人間に対する熱意と愛情と研究心が半端ではありません。
人間への尊厳が研究心を深めていくのでしょうか。
少しでも見習えたらと思います。
今回も、付箋やアンダーラインのなかったところで、感動する箇所が何か所もありました。
まだまだケースの読みが浅いなと痛感させられます。
有名な、わかるということは、わからないところがわかることだ、という文章も、すでに本書で出てきています。
ケースにおける転移関係を自覚する重要さもわかりやすく指摘されています。
いまさらながら、よくわかりました。
今後もさらに読み込んでいきたい本だなと思いました。 (2015?記)
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2020年2月の追記です
久しぶりに再読をしました。
デイケアでボランティアをしながら読んでいましたが、土居さんのケースの読みの鋭さがすごい、と思いました。
まるで外科医がメスで切開をするような感じです。
同じケースを読みながら、わかる人にはわかるんだな、と改めて感心させられました。
じーじの古びた小刀もいつの日か、切れ味が良くなるのでしょうか。
まだまだ勉強不足です。 (2020.2 記)
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2021年秋の追記です
1年半ぶりに再読をしました。じーじにしては異例の早さ(えらい!えらい!)。
やはりすごい本です。まるで推理小説を読んでいるかのようです。
政治家にもこういう読みの深い人がいるといいのですが…。 (2021.10 記)