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成田善弘『精神療法家のひとりごと』2019・金剛出版-じーじのひとりごととはだいぶ違います

2024年12月15日 | 精神療法に学ぶ

 2019年のブログです 

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 成田善弘さんの『精神療法家のひとりごと』(2019・金剛出版)を読みました。

 新刊です。すごいですね(!)。

 しかも、じーじのひとりごととは違って、中身が充実しています。

 本書は雑誌「精神療法」に連載されたエッセイなどをまとめたもので、精神療法についてのお話が読みやすい形で書かれています。

 読みやすいのですが、内容はかなり深いので、読んだ後にも余韻が残って、いろんなことを考えさせられます。

 印象に残ったことを一つ、二つ。

 まずは、患者さんの問題行動を病理の現われとして見るのではなく、患者さんなりの現実への対処と見るという視点。

 患者さんの努力はぎこちなく、不適切で、逆効果になりやすいですが、彼らなりの努力であると見ることで、問題行動を捉える見方が違ってくると述べます。

 鋭いですし、一方で、温かい理解だと思います。

 次に、先日の神田橋さんの本にも出てきましたが、患者さんの近未来の動きを予想することの大切さ。

 そのことで治療者の仮説が検証でき、また、一方で、予想が当たらない時には患者さんなりの努力が見えると述べられます。

 当たらないことで、今まで治療者に見えていなかった患者さんの一面が見えて、理解が深まるようです。

 さらに、治療者の質問は、なぜなんだろう、とひとりごとのように言うのがいいということ。

 自然に生じてきたような質問がいいと思う、と述べられていて、参考になります。

 そして、患者さんがそれまで考えてこなかったようなこと、思ってもみなかったようなことに出合うこと、患者さんにとって新しい発見になるような面接が望ましいと述べられています。

 やさしい言葉で、深いことが述べられていて、すぐにでも実践にいかしていきたいと思うことがらが多くありました。

 さらに勉強と努力を積み重ねていこうと思いました。           (2019.4 記)

 


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