2022年12月のブログです
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児童精神科医の小林隆児さんの『あまのじゃくと精神療法』(2015・弘文堂)を数年ぶりに再読する。
本棚を見るたびに気になっていた本だが、なかなか読めずにいた。
じーじもかなり「あまのじゃく」なほうだと思う(?)が、そういうところがじゃまをしていたのかもしれない。
本書は、土居健郎さんの「甘え」理論を下敷きに、主に子どもの心理やこころの病気を論じたもの。
「甘え」理論で重視されるアンビヴァレントなこころの状態をさらに展開し、「あまのじゃく」という概念に結びつけていて、なかなか興味深い。
とはいえ、けっこう難しい本でもあって、じーじなどは何割理解できたのかあやしい。
もっとも、数多くの症例が示されていて、それを読むだけでも勉強になる。
不安性障碍、不登校、摂食障碍、抜毛症、パニック障碍、その他もろもろ。
子どものこころのいろいろな症状の底に、甘えたいのに甘えられない、という「あまのじゃく」の状態を見て取るのがすごい。
難しい症例が多いが、小林さんはほんの少しの精神療法でもって、ほんの少しだけの改善をめざしている、ように見える。
そこには、少しの改善がやがて大きな改善に繋がるような人間への信頼がある、ように見える。
精神療法におけるエヴィデンスの問題にも触れられていて、言語化やそれへの共有化を進めることがエヴィデンスに繋がると明快に述べる。
それへの一例が「あまのじゃく」という概念なのだろう。
まだまだ理解不足で、誤解もあろうかと思うが、さらに勉強を深めたいと思う。 (2022.12 記)