2017年のブログです
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どさんこの小説家である小檜山博さんのエッセイ集『人生讃歌』(2016・河出文庫)を読みました。
2016年の本ですが、なぜか読みそびれていて(小檜山さん、ごめんなさい)、今回、旭川の本屋さんで偶然見かけて読みました。
いい本です。
JR北海道の車内誌に連載中とのことで、軽く読めるエッセイですが、中身は小檜山さんの小説のように、時には重く、時には哀しく、しかし、愚直で、誠実な生き様がすごいです。
素敵な人たちがたくさん出てきます。
女の子が母に頼まれて持っていた闇米を事情を知って見逃してくれるお巡りさん、小檜山さんと知らずに小檜山さんの小説を読んで生きてこられたと話す靴磨きの老婆、アル中の患者に代金は持ってこないかもしれないぞと言われて、それでも待っているぞと怒鳴る貧乏医師、などなど。
すごい人たちばかりですし、彼らと巡り合い、それをお話にできる小檜山さんの力量もすごいです。
小檜山さんは大雪山の東側の滝上町の育ち、じーじは西側の旭川の育ちで、くしくも大雪山をはさんで、両側から同じ山を眺めながら育ったことになります。
だから、小檜山さんの描く大雪山の描写には、とても懐かしい気がしますし、癒されます。
また、小檜山さんのご両親は東北の飯豊山の東側の会津の出身、じーじは今、飯豊山の西側に位置する新潟で暮らし、散歩の時は飯豊山を眺めながら歩くのが楽しみなので、小檜山さんの描く飯豊山の描写にも癒されます。
ふるさとを同じにするすてきな小説家と同じ時代を生きられる喜びをつくづくと感じます。 (2017.8 記)
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2023年3月の追記です
北海道滝上町に高橋武市さんという人が作られた陽殖園という自然庭園があります。
この自然庭園をさとうち藍・著、関戸勇・写真『武市の夢の庭』(2007・小学館)という本が紹介しています。
写真の美しい、素敵な本です。 (2023.3 記)