2018年のブログです
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松木邦裕さんと藤山直樹さんの『精神分析の本質と方法』(2015・創元社)を再読しました。
2015年の本ですから、のんびり屋のじーじとしては、めずらしく早めの(と、言っても3年ぶりですが…)再読です。
松木さんと藤山さんのそれぞれの講義と討論からなっていますが、なかなか充実した内容で、奥が深いですし、やはり難しいです。
特にじーじは、藤山さんの講義に感心させられましたし、刺激を受けましたが、自分の経験が少ないために、どれくらい理解ができているかとなると、かなり心もとない感じがします。
それでも、勉強になったことを、一つ、二つ。
一つめは、今、フロイトさんを読む意義。
藤山さんは、精神分析を学ぶには、フロイトさんを読んで、フロイトさんと語り合うことが大切だ、といいます。
フロイトさんの学説だけでなく、フロイトさんの迷いや不安を体感することから精神分析に近づくことができるのではないか、と述べます。
藤山さんのような大家でも、何度も何度も読み返すそうですから、初学者のじーじなどはさらに読み込まなければなりません。
二つめは、精神分析の面接の特異性。
精神分析では、普通の心理療法と違って、親しい人間関係を目指すのではなく、あくまでも両者の間に起こる転移関係を「生きる」ことが大切、といいます。
親しさを優先しない点で、精神分析は対面法の心理療法と大きく異なった技法のように感じられます。
改めて、両者の違いに気づかされるとともに、より良き精神分析的心理療法の形を考えていく必要があるな、と考えさせられました。
討論では、率直な藤山さんとあくまでも学術的な松木さんの好対照な姿勢が印象に残りました。
しかし、お二人とも、個人開業の中で苦労しながらも精神分析を深められてきた先達であり、共通点も数多く、また、仲の良さや信頼しあっている様子がうかがわれて、本を読んでいてもとても心地よい雰囲気を感じることができました。
いい本を再読できて、有意義なひとときを過ごしました。 (2018 記)