弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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[01-01]法規範は“and条件”でのクリアが必要

2015年10月14日 07時59分15秒 | 実務関係(商・不)
おはようございます。
日に日に空気が秋らしくなってきましたね。


さて、先日法人設立した方からこんなご相談がありました。

“会社名は登記しているんだから自由に使ってよいんですよね?”


…この質問、本当に良くあるんですが、答えは「NO」です。

そもそも、現状いわゆる「類似商号規制」は廃止されていますので、
他の要件を満たしていれば登記できてしまいます。

往々にして会社名を使うときは「商標の使用」に該当する使用の仕方が多くなると思います。
「商標の使用」とは、そのマーク(ここでは会社名)を商品/サービスの出所表示として認識されるかたちで
表示すること、ととらえてください。


そりゃそうですよね。どこの商品かを示すために会社名を表記するんですから、
殆どが「商標の使用」にあたります。

そして、そのマーク(会社名)について「商標の使用」をして良いかは、専ら商標法に沿って考えることになります。
そして、仮に会社名と同一/類似の商標が先に登録されてしまっていると、原則使用ができません。
それが商号として登記した会社名であっても、です。

もちろん、まだ事業が小さいあいだは権利者に知られる可能性も低く、
権利者が何も言わなければ殊更大きな問題にはならないわけですが、
事業が成長していくにつれ自社の名前も有名になってきます。
そうなると権利者の知るところとなり、権利行使されるに至る…というのは、実にありがちなケースです。

根本的な考え方として、
(1)特に規制されていない限りは、基本何をやっても自由
(2)でも実際にはいろいろな規制がある
   ※上記では「会社法」と「商標法」を例示しましたが、
    例えば商標法的にオッケーでも景品表示法でダメとか、薬事法でダメとかいうケースもあります。
(3)一つの規制に引っかからなかったからオールオッケー! ではない
ということです。
法規範は“and条件”でのクリアが必要という点、しっかり押さえておいてください。


コメント
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