おはようございます。
今日は空気がきりっと冷えた湘南地方です。
さて、いよいよこんな季節になりました。
年末恒例「2015ユーキャン新語・流行語大賞」の候補50語、発表されました。
今年も候補となっている言葉の中から、商標的に面白いネタになる言葉を取り上げていきます。
例年に比べて、今年は豊作です! なので、何回かに分けていきたいと思います。
★ちなみに、過去の本シリーズの記事:
2012年→これ
2013年→これ
2014年→これ
(1)普通名称化・品質表示化する前に登録することが大事
(「おにぎらず」)
さて、1発目は「おにぎらず」。
握らないおにぎり、というなんとも矛盾に満ちたネーミング。
うまいこと言うな~、と思っていたら、
実はあのロングセラー漫画「クッキングパパ」の第22巻が“発祥”のようですね(第213話「超簡単おにぎり おにぎらず」)
(→cookpadニュースの この記事 他複数の情報に基づく。)
それにしても現在122巻まで発行されている「クッキングパパ」の第22巻って…
調べてみたら単行本22巻は1991年5月に発行されていました。
実に四半世紀も前のもの…流行って、いつ火が付くのかわからないものです。
さて、そんな「おにぎらず」ですが、出願状況はこんな感じ。
① 商願2014-88884「おにぎらず」(指定商品:第29類 干しのり,焼きのり,味付けのり)
→拒絶査定
② 商願2014-92625「おにぎらず」(指定商品:第30類 おにぎり) →拒絶査定
③ 商願2014-110738「Onigirazu Case\おにぎらずケース」
(指定商品:第21類 台所用品) →拒絶査定
④ 商願2014-98605「チューブdeおにぎらず」(指定商品:第30類 調味料 他)」→登録査定
拒絶になったものの理由はいずれも第3条=独占性なし。
ポイントは、独占性の有無も含め、登録に足るか否かの判断時点は
原則的に査定・審決時 ということ。
だから、 “あ、この言葉流行りだしたな、権利とっとこー!” では、基本遅いです、ということ。
…そもそも動機が不純ですけどね。そーいう方向性なら、流行りそうだなー、の段階でとっておくべきでしょう。
なお、①の出願経過を見てみると…「刊行物提出書」が実に6件も提出されている!
※刊行物提出書=その出願が登録要件を満たさない旨を審査官に対し情報提供する書類。
すごく平たく言えば、“チクり”或いは“ちょっと待った!”(古いか) 、
他人の出願した商標が登録されてしまったら困るとき、拒絶理由を示すことができるのであれば
刊行物提出書の提出を行って登録を阻止することができる、ということも知っておくことが大事ですね。
また、③は「おにぎらず」が一般的な言葉になってしまったという認定だから、
「おにぎらずケース」も単なる品質表示の範疇、という判断。
一方④は全体としての造語性があるから登録、という判断。
このあたりのネーミングの境界線も意識しておきたいところです。
一寸長くなってしまったので、続きは明日!
今日は空気がきりっと冷えた湘南地方です。
さて、いよいよこんな季節になりました。
年末恒例「2015ユーキャン新語・流行語大賞」の候補50語、発表されました。
今年も候補となっている言葉の中から、商標的に面白いネタになる言葉を取り上げていきます。
例年に比べて、今年は豊作です! なので、何回かに分けていきたいと思います。
★ちなみに、過去の本シリーズの記事:
2012年→これ
2013年→これ
2014年→これ
(1)普通名称化・品質表示化する前に登録することが大事
(「おにぎらず」)
さて、1発目は「おにぎらず」。
握らないおにぎり、というなんとも矛盾に満ちたネーミング。
うまいこと言うな~、と思っていたら、
実はあのロングセラー漫画「クッキングパパ」の第22巻が“発祥”のようですね(第213話「超簡単おにぎり おにぎらず」)
(→cookpadニュースの この記事 他複数の情報に基づく。)
それにしても現在122巻まで発行されている「クッキングパパ」の第22巻って…
調べてみたら単行本22巻は1991年5月に発行されていました。
実に四半世紀も前のもの…流行って、いつ火が付くのかわからないものです。
さて、そんな「おにぎらず」ですが、出願状況はこんな感じ。
① 商願2014-88884「おにぎらず」(指定商品:第29類 干しのり,焼きのり,味付けのり)
→拒絶査定
② 商願2014-92625「おにぎらず」(指定商品:第30類 おにぎり) →拒絶査定
③ 商願2014-110738「Onigirazu Case\おにぎらずケース」
(指定商品:第21類 台所用品) →拒絶査定
④ 商願2014-98605「チューブdeおにぎらず」(指定商品:第30類 調味料 他)」→登録査定
拒絶になったものの理由はいずれも第3条=独占性なし。
ポイントは、独占性の有無も含め、登録に足るか否かの判断時点は
原則的に査定・審決時 ということ。
だから、 “あ、この言葉流行りだしたな、権利とっとこー!” では、基本遅いです、ということ。
…そもそも動機が不純ですけどね。そーいう方向性なら、流行りそうだなー、の段階でとっておくべきでしょう。
なお、①の出願経過を見てみると…「刊行物提出書」が実に6件も提出されている!
※刊行物提出書=その出願が登録要件を満たさない旨を審査官に対し情報提供する書類。
すごく平たく言えば、“チクり”或いは“ちょっと待った!”(古いか) 、
他人の出願した商標が登録されてしまったら困るとき、拒絶理由を示すことができるのであれば
刊行物提出書の提出を行って登録を阻止することができる、ということも知っておくことが大事ですね。
また、③は「おにぎらず」が一般的な言葉になってしまったという認定だから、
「おにぎらずケース」も単なる品質表示の範疇、という判断。
一方④は全体としての造語性があるから登録、という判断。
このあたりのネーミングの境界線も意識しておきたいところです。
一寸長くなってしまったので、続きは明日!