弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【商標】確定日付では商標登録出願の代わりにならない。

2019年01月30日 08時40分02秒 | 実務関係(商・不)
おはようございます!
空気が非常に乾燥していることを顔から粉を吹いていることで感じる今朝の@湘南地方です。
保湿しなければ。。このままじゃ顔がおじいちゃん。


さて、twitterでこんな説が流れていることを知りました。
2万件前後のリツイートといいねが付いているようで、結構広まってしまっている様子。

この件については、栗原先生も既にコメントしている(というか、呼ばれて書いている…ってすごいな)ように、確定日付をとったところで対策としては殆ど意味がないです。
先使用を主張するための周知性の証拠収集でさえ、商標登録出願よりも遥かに手間もコストもかかるわけで。

繰り返します。
確定日付を取ったところで、商標登録出願の代わりになることはありません。


根本的な勘違いは、商標法は「創作を保護する制度」ではないということ。
先に思いついていたから保護されるべき、という先入観でいるから色々とヘンな話になる。
商標を使用した結果生じた業務上の信用を保護し、競業秩序を維持するための仕組みとして出願登録制度があるのだから、そこに乗っかるのが最適解なわけです。

これとは対照的に、
例えば新規技術やデザインを開発したけど公開を望まず、だけど先行開発の事実を立証する手段を講じておきたい、という場合、
図面等について確定日付やタイムスタンプを取っておくことには意味があります。
(例えば特許庁もこんなパンフで啓蒙しています。)
創作法(特許法/意匠法)においては周知性は先使用権の要件ではないからです。

…まあ形はどうであれ、この分野に世間の関心が注がれること自体は悪い話ではないと思う反面、“であれば正しい情報を発信するのが専門家の義務”とも思うので無粋ながら一言申し述べた次第です。


コメント
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