おはようございます!
快晴の@湘南地方です。
さて、月曜日。花粉まみれ。今日はなるべく部屋にこもりたい。
そんな週明け一発目はこんな記事。
(RBCより引用)
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第三者が「無断」で商標登録と訴え ポーク缶の「チューリップ」やタコスの「キングタコス」など沖縄の有名商品・企業名 出願した企業は「申請してあげた」
ポーク缶の「チューリップ」やタコス料理店の「キングタコス」など、県民に高い知名度のある商品や店舗の名称について、無断で商標登録を出願されたとする4社が、出願した会社との関連性を否定する文書を発表した。
商品や店舗の名称を無断で商標登録出願されたと発表したのは、ポーク缶の「チューリップ」を販売する「デニッシュクラウンジャパン」や「キングタコス」を運営する「メランジェ」などの4社。 4社の代理人弁護士によると去年10月、販促グッズやノベルティの製作を手掛ける「琉球ワークス」が各社に無断で商標登録の出願をしたという。 4社は琉球ワークスが行った商標登録出願について「当社らとの関連性を明確に否定する」としていて、商標の審査を行う特許庁に対し、経緯についての情報を提供していると明らかにした。 4社は今後記者会見を開き詳しい経緯と対応について説明するとしている。 一方で、第三者である琉球ワークスが商標登録を出願することに違法性はない。
(以下略)
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(引用終わり)
上記記事の続きには琉球ワークス株式会社社長のインタビューが載っているのでご興味のある方はリンクから確認して欲しい。
で、結局出願人は当該出願を取り下げることとなった、というのがこちらの記事(琉球新報)。
記事上で明確にかかれていないのだけど、琉球ワークスの出願の指定商品は、「TULIP」なり「シママース」なりの商品(「ポーク缶」や「塩」)ではない。
例えば「シママース」に関して言うなら「第16類 ステッカー,ボールペン 他」や「第18類 トートバッグ,リュックサック 他」、「第21類 タンブラー,マグカップ 他」だ。
他の商標についても多少違いこそあれ、いわゆる「グッズ関連商品」についての出願だ。
※ご参考までに、例えば商標「シママース」は「株式会社青い海」が指定商品「沖縄産の塩」など調味料関係をばっちり保護している。
当事者同士にどういう話し合いが持たれているかは知る由もないので何とも言いようがないが、
少なくとも琉球ワークスには“沖縄の有名な商品をグッズ化する”という意図があり出願をした、ということなのだろう。
J-Platpat上では既に記事の4件の出願は検索することができない。
またグッズ関係の指定商品について「株式会社青い海」が上記出願の後で別途出願を行っている→商願2024-135513。
商標法の枠組みの中だけの議論をするならば、(以下記載の単純化のために「株式会社青い海」=A社、「琉球ワークス株式会社」=B社 とする)
・A社のものとして調味料として有名な商品について、他のグッズについてB社が出願すること自体は、「違法ではない」。
・A社が権利を取得している「調味料」と、B社が出願している「グッズ関連商品」とは非類似だから、A社の先行商標は障害にならない。
・B社の出願が拒絶理由を有するとすれば、A社と何らか関係性があると誤認される恐れがある場合(4条1項15号)や出願の経緯に社会的相当性を欠く場合(4条1項7号:いわゆる「公序良俗違反」)だが、仮に取り下げをせず実体審査を経ていたとしてどのような扱いになっていたかは未知数(※ただA社が情報提供を行っており、その段階で審査官としては正当な出願であるかについて疑義を抱くことになると思われるから、おそらくいったんは拒絶理由通知を出して出願人の真意を問うことになると思われる)
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なのだけれども…これ、仮に特許庁の審査を経て登録になっていたとしても、
勝手に「グッズ」を販売することは難しい情勢だったのではないかなぁ。
オリジナルへのリスペクトがなければグッズビジネスがうまくいくはずもなく。
このあたりはIPビジネス全般に言えることで。地域の有名商品もIP化していることを実感させられる出来事でもあります。
「適法」≠ビジネスとしての「適切」 というのは実によくある話なので、実務上も気を付けたいものです。