弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【知財記事(商標)】商標出願急増の裏にAmazon

2022年10月03日 09時00分38秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
今日はやや雲が空に漂う@湘南地方です。

さて、本格的に10月スタート。
2022年も第四コーナーに差し掛かる。
そろそろ追い込みをかけていかないといけません。

そんな中、今日はこんな記事

(日経電子版より引用)
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商標出願急増の裏にAmazon 知財制度の啓発効果 (西野杏菜)

横浜市のみなとみらい特許事務所で「アマゾンのため」の商標出願が増えている。足元で寄せられる出願依頼の1割程度を占めるという。「1社のサービスだけで商標登録の出願数が急増するのは異例」と同事務所の弁理士は驚きを隠せない。

米アマゾン・ドット・コムは出品者が自身のブランドを登録できる制度を設け、利用を呼びかけている。模倣品の販売など出品者の権利侵害が起きるのを防ぐのが狙いだ。登録すると一部の目立つ広告が出せるようになったり、権利侵害があった場合の対応を求めやすくなったりするメリットがある。

この制度は日本では2017年に始まった。開始時から必須の条件としてきたのが公的なブランド保護の仕組みである商標の登録だ。
(以下略)
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(引用終わり)

ECサイトに出品する業者さまからのご依頼が増えたなぁ、と肌感覚で感じた時期は、上記記事と一致する。
出願依頼の1割、とはいかないけど、年間数件レベルの上積みはあるかな。

まあ、ECサイトに限らず小売業者が店頭に置く商品については、知財も含め種々のチェック項目があるわけで。
むしろECサイトにおいて模倣品が横行してきてサイト自体のイメージが棄損されてしまうことを未然に防止する、
という意味ではあって然るべき対処。

こういう出願は、一時的には弁理士業界にとってもプラスに作用するとは思う。
ただ一方で、カジュアルな(ここでは"どういう指定商品を保護すればよいかが分かりやすい")出願については、代理人を介さず行うようになる日は、
そう遠くなく来るだろう、と思う。
決して悲観的なスタンスではなく、なんなら当職の師匠が20年以上前からそういっていた。

じゃあ代理人はどこで機能するのか?
というと、「事業計画との整合性が取れた出願行動のアドバイス」なのだと思う。
現在の事業、将来の事業。
現在のブランディング、将来のブランディング。

単に目先、今使っているマークを今売っている商品についてだけ保護する。
それでよいなら、それでよい。
ただ、それで事業が継続する可能性は、残念ながら低いのではないかと思う(事業分野にもよるが、ECでモノを売る商売ならばそう)。
自社の事業計画を言語化できて、それを既存のフレーム(ここでは「商標の審査基準」が該当するだろう)に当てはめられる能力がある人は、自力でできると思う。
しかし、だいたいのケースでは、そこは外部化してしまった方が、一時的にコスト負担が発生しても、トータルで効率が良いことが多い。
往々にして、自己の考えの言語化には壁打ちの相手が必要。その相手が専門的知識を有していることで、適切な結論に至る。
専門性は、そこで初めて価値を発揮する。

我々としても、事業成長をサポートするケースを如何に積み重ねるか、が、生き残りのための命綱となっていく。
その危機感は感じている。
単に統計上の出願件数が増えた減ったで一喜一憂している場合ではないな、と思う。

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