弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【知財記事(特許)】セルフレジ無効審判

2020年08月19日 08時24分04秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
今日はここ数日よりも幾分涼し目な@湘南地方です。

さて、標記の件につき、特許権者である㈱アスタリスクからニュースリリースが出ていました。
本件は6月に書いたこの記事のその後の動き。

まだ審決公報がオープンになっていないのではあるけれど、一連の経緯からは「審決の予告」の内容ほぼそのままであることが予想される。
要は、「特許の一部は無効にされたが一部は残った(先のエントリでいう、【請求項3】)ということ。
ユニクロが実施しているレジがこの請求項3に該当するかは、審判の流れではわからない。

審判請求が2019/5/22だったから、およそ15カ月での審決。
口頭審理もやってこれなら、比較的迅速な方じゃないかな…と思ってしまうのは業界に染まりすぎ?

経過をみていたら、審理終結通知の後に「応対記録」があったのでのぞいてみた。
応対の趣旨は、「審決の予告」に対する被請求人からの問い合わせに関するもの。
先のエントリでも書いたけど「審決の予告」は被請求人に対する“訂正のラストチャンスだよ”という通知の意味合いもある。
「応対記録」には、被請求人は訂正を行わないから、訂正の猶予期間を待たずに早く審決を欲しいと希望。請求人も同意した、との内容が記されている。
確かに、「審決の予告」が発送されたのは6/5だが、そこから60日を経過していない7/14に審理終結通知が出されている。

まあ経過情報を見ていると、今回審決がでた無効2019-800041のほかにも異議が1件(こちらは前記無効審判の結果が出るまで手続中止となっている)、無効が1件出されている。
なかなか激しい攻防戦が繰り広げられている中、今日も全国のユニクロやGUでは既存のセルフレジを使い続けているものと思われる
(まあ、設備改変も大変ではあるだろうけど)。
被請求人=特許権者のリリースによれば「ファーストリテイリング社からは、当社が保有する複数の特許に対して本無効審判を含め5つの無効審判を請求されています」
とあるほか、
「本無効審判の審決において無効と判断された部分につきましても、知的財産高等裁判所に審決取消訴訟を提起する予定です」
「当社は無効部分に対する当該審決の内容を加味した上で、新たな特許(特許第6736244号)を取得したことも併せてお知らせいたします」
とあり、全面戦争の様相を呈している。
当然、ファストリ側も一部認容部分についての審決取消訴訟を提起することになるのだろう。

本件、落着まではまだ当面かかりそうな状況。



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