弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【知財記事(著作権)】漫画のタダ読み被害 に思う。

2024年02月09日 07時49分45秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
トンネルの中@上野付近 です。
今日は🚅新幹線で移動中。

金曜日。何とか今日を乗り越える…!

さてさて、今日はこんな記事。

(日経電子版より引用)
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海賊版の漫画ただ読み被害3818億円 2023年、民間調査

出版社などでつくる一般社団法人ABJ(東京・文京)は6日、海賊版サイトによって漫画が「ただ読み」された被害額が2023年に約3818億円に上ったとする推計結果を明らかにした。22年(約5069億円)から2割以上減ったものの、新型コロナウイルス禍直後の20年(約2100億円)を上回った。

文化庁の海賊版対策に関する会議で公表した。ただ読み被害はコロナ禍の巣ごもりを機に拡大し、21年にはピークとなる約1兆19億円に上った。その後、大手サイトが相次ぎ摘発されたことで縮小傾向にある。
(以下略)
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(引用終わり)

コロナとともに一気に被害額が増え、大手サイトの摘発+コロナ禍の収束とともに“巣ごもり需要”の著作権侵害も減少…ということですかね。
それでもなお3800億の被害…この被害額推計ってどんな基準額によるんだろう?
記事では日本語版よりも外国語に翻訳されたものが多い、とされている。
侵害の発生地はどこなのだろう?
ちょっとそのあたりの情報が曖昧だなぁ、という印象の記事。

ともあれ、クリエイターとユーザー、保護と利用のバランスを通信技術が揺るがしている一例でもあるわけで。
こういうサイトの摘発にこそAI活用すればよいのでは?と思ってしまう。
というのと、電子書籍の価格設定ってやっぱりよくわからん。
自分でも一冊出しているけど、KDP(Kindle Direct Publishing)なので幾らにするかは出版サイド=私の裁量だった。

書籍というものの本来的な性質として、読んでみないとその価値が判らないわけで。
買い手が購入するかどうかは、厳密な意味で「費用対効果」をそこまで考えて買うわけではない。
いわば購入タイミングの「ムード」。

利益配分も、出版される書籍や出版社によってまちまちで。
先日もとある書籍の出版企画の打ち合わせに出席したけど、いわゆる「印税」の水準が本当にまちまちだな、と思ったし。
出版形態が昔と変わっているのなら、クリエイターと中間業者(出版社、電子書籍の運営会社)の利益配分は見直して然るべきじゃないかな、と思う。

文化的所産に関する売買なので、価値の感じ方も人それぞれ。
値付けは売り手がするもの、というのは商売の基本の基本なわけですが、
その基本が成り立つのは買い手側からみてその値付けに一応の信頼感があるからで。

一般の商材流通にあっては卸売の存在感が薄くなって久しいのだけど、
出版分野はそうでもないのかな。
まあ、有名な出版社さんから専門書を出す、ということ自体がひとつのブランディングになる、
という側面もどうやらあるようだし。
けど、「出版させてあげますよ。お金は取りますよ。」なんてオファーも過去にはあったりして、さすがに鼻持ちならないな、と思ったことも。

…本筋からだいぶ議論が逸れた。
何が言いたいかというと、
この記事からは、「漫画家が血のにじむ努力の果てに生み出した魂の結晶をただで読むなんてけしからん!」
という気持ちになるのだけど、
そう話は単純ではなくて、海賊版を撲滅したら漫画家さんが潤う、という話でもないんじゃないかなと。
そもそも論としてクリエイター側がもう少し手厚く保護を受ける方法ってないのかな、と感じた次第。

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