通貨制度の歴史を見ればクリプト・カレンシーの未来が必然的に分かります。 通貨史を塗り変えるからです。
人類史において、通貨制度はどのようにうまれてきたのでしょうか?
通貨制度は人類の歴史とともに始まっていると言っても過言ではありません。
農耕が始まる以前の狩猟採集時代、人類は自分の住んでいる地域の産物や獲物と、他の地域に住んでいる住民の特産物を交換し、自分の住んでいる地域にないものを入手する物々交換を行っていました。
例えば山に住んでいる民はイノシシをとり、それを海辺に住んでいる民が取った魚介類と交換数する。 これが物々交換です。
物々交換が成り立つためには、現実に肉と魚を交換する必要があります。そのためには、どちらかが交換物を運んでいき、交換物を持って帰ってこなければなりません。
しかも日時と場所を示し合わせて、どこかで会わないと物々交換は成立しません。つまり、自分の好きな時に肉や魚を手に入れることはできません。 これはかなり不便です。時計もない時代です。
そこで、物々交換で知り合った者同士で、「いつでもお互いの家に来ていただければ交換しましょう」と約束する。 これで山の民は魚介類を海の民は肉を、好きな時に交換することになりました。
しかしこれでも不便はあります。日時と場所を示し合わせて落ち合う必要はなくなりましたが、相手の家まで出かけなければなりません。 自転車・自動車や電車もない時代です。
約束を交わした相手であるということが分からなければ、交換できない不便があります。
病気で長く寝込んだとき、代わりの人間が行って交換したいという時、どうすればよいのか?
そこで「通貨」に似たものがつられていくようになります。 その起源は分かりませんが、紀元前8世紀のメソポタミアでは「代用貨幣」が使われいたようです。
これは平べったい金属をコイン状にして、小麦の模様を打ち込んだものだったり、陶器製の牛の模様が描かれたりしたものでした。いずれも手の中に入るくらいの小さなものでした。
通貨というにはまだ原始的ですが、これを小麦農家と牛農家に持っていけば、誰でも小麦と牛に交換できることが保証されていました。信用が個人から貨幣に移行したのです。
そうすると小麦農家の主人が病気になっているときにでも、使用人に「代用貨幣」をもって行かせれば、牛と交換できます。もちろん逆も成立します。
牛農家の主人が病気になっているとき、誰かに「代用貨幣」をもって行かせれば、小麦と交換できました。
牛と小麦に代わる代用物、それも手の平サイズの代用物で交換するシステムが成立しました。これが現在の貨幣制度の」始まりになってゆきました。
12世紀、イギリスで生まれた原始ブロックチェーン
12世紀のイギリスでは、すでに「ブロックチェーンを使ったクリプト・カレンシー」の原型ともいえる通貨が生まれています。
これが原始ブロックチェーンというべき「割符(Tally)制度」、特にスプリット・タリー(割符)というものです。
国王ヘンリー1世が1100年頃に始めたと言われ、19世紀まで700年間にわたって制度が続いてきました。
割符とは簡単に言ってしまえば木の棒です。 王室が庶民から税金を徴収するに際し、将来納める税金の金額と納める日を棒の一つの面に刻み込み、それをきれいに真ん中から二つに割ります。
これをスプリット・タリー(割符)といいます。 刻まれた文字は、棒を二つ合わせるとピッタリ符合する形になります。 一つは納税者に渡され、もう一つはイギリス王室がもっています。
現代のブロックチェーンを使ったクリプト・カレンシーは、コンピューターを使って二つどころか、何百万、何千万のこの割符を割るという違いがあるだけで、ブロックチェーンという訳の分からない難しい用語を使わずに言うと、「コンピューター製割符通貨」 の事です。
イギリスの原始ブロックチェーンともいうべき割符に話を戻します。イギリス王室も財政難で、予算のやりくりをしなければなりません。
そこで、王室が食糧や城の修理代など、支払う金がない場合は、持っている棒の一つを金(カネ)の代わりとして業者に渡しました。
片割れを伊ギルス王室から受け取った業者は、もう一つの片我を持っている納税者のところに行って、その人物からイギリス王室に成り代わって英金を徴収します。このおカネで王室から受け取るべきおカネを回収するのです。
この「割符制度」は国民同士の間にも津会い方が広まりました。 たとえばパン屋がギリスのある町にいるとします。
パン屋はパンを焼くための小麦粉を、粉屋から買わなければなりません。 そこで粉屋に粉代お毎回支払う代わりに「1年分の仕入れる粉代金1年後に支払います」という割符を渡すのです。
木の板にといっても非常に薄く小指ほどの木の板に、支払い年月日と支払い金額をナイフで刻み入れ、そしてその木を上から薄く真っ二つに切り割きます。この板を自分で持ち、もう一枚を粉屋に渡すのです。
一方で粉屋は、小麦粉の原料となる小麦を、農家から購入しなければなりません。そこで農家に対し、このパン屋から受け取った割符を渡します。 農家は粉屋ではなく、パン屋に割符を持って行って、支払いを受け取ることができます。
パン屋は友人におカネを貸し付けていたとしましょう。 友人はおカネを返さなければなりませんが、その代わりにパン屋が割り符を渡し、「今、おカネを返さなくてもいいから、この割符を持っていう人間が来たら、そいつに支払ってくれ」という形にします。
つまり、パン屋は粉屋に、友人の住所を伝えるだけでいいのです。 粉屋はその住所を、割符を渡した農家に伝える。 すると最終的な決済は、農家とパン屋の友人との間で割符を突き合わせて行うことになります。
少し詳しく書いたので、余計にややこしく感じたも知れませんが、簡単に言えば債権(手形)をたらい回しにできるというこです。
イギリス中央銀行設立の背景
イギリスの割符制度は、1834年まで約700年の長きにわたって使われました。 そしてよいよイギリスで、これが廃止される日が来ました。
イギリス国会で決議され、イギリス国会議事堂(エストミンスター宮殿)のストーブで、全国から集められた割符を焼却処分することが決まり、実際にストーブで燃やしました。
イギリス王室が発行する割符は「ロイヤル・タリー」と呼ばれてましたが、財政に窮したイギリス王室があまりに大量に発行したため、「王冠の負債」と蔑まれるくらいい価値がなくなったのです。
この状況を改善しなければならないという事で、17世紀末に、世界に先駆けてイギリス中央銀行が設立されたのです。
この頃になると、ロイヤル・タリーは、切り込まれた額面の半分以下の価値しかない状況にまで価値の希釈が起こっていました。
(関連情報)
・フィアット・カレンシー(通貨)とクリプト・カレンシー(通貨)
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/769f1796bc4580021e0f7631c1cc5af4
・ローマ帝国は、チープな「フィアット通貨」によって滅亡したhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/e1945c6195da07dbca1a0e682162abc7
・「和同開珎」のチープ化で奈良期は崩壊したhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/0f1d63ad3aa35fe6fcf8ea8ec73e8931
・1942年、お札が突然、紙屑になったhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/162203542673b07f20b7362d7b56ce8f
Bloomberg ブラックロックCEO、現代金融理論を支持せず-「くず」と一蹴https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/f8723862229429fc9507648b3cfd56e2
アホの一つ覚えのMMT信者
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/edfec0faeef39871e87a42779cd369b4
今こそ冷静に考えたい「アベノミクス」失敗の理由(東洋経済)
~安倍政権によって日本経済はどうなったか~
https://toyokeizai.net/articles/-/620385
(おまけ)
・リンカーン、ケネディ、安倍元首相暗殺の共通点https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/62b46eec87d1a18e8da9195e4d353d64
・ジャパン・ハンドラーズ ジョンズ・ホプキンス大学ー2 ケント・カルダーhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/53e1c4bddaab8814da918705716a9729
↑ 郵政民営化、安倍首相暗殺のフィクサーは、ジャパン・ハンドラーズのケント・カルダー
・ジャパン・ハンドラーズ プリンストン大学
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/16aa55a9c1265c131ed272e952f2f950
↑司馬遼太郎(実名:福田定一:ふくだていいち、産経新聞記者)の『龍馬がゆく』1965年は、ジャパンハンドラーズのマリウス・ジャンセンの『龍馬がゆく』1961年のパクリ。
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