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何故、国家は通貨を発行するのか? そしてシークレット・サービス

2023-09-10 05:31:14 | 世界経済と金融

何故、国家は通貨を発行する必要があるのか? また何故、通貨によって税金を徴収する必要があるのでしょうか?



簡単な話です。 人類が戦いを繰り返してきた歴史を見れば自明です。 徴収した税金を使って安全保障のため、軍隊を維持するためです。


軍隊を維持する目的は2つです。
①攻めてくる外国に備えるため 
②国内で政権転覆を企てる者に対処するため



つまり、通貨というのは、その国が税金を集め、軍備を整備するための基本的な手段として定められるものです。 通貨はすべて、ある国を治める政権が、その国民に無理やり押し付けたものだということが分かります。 

これをフィアット・カレンシー(強権通貨、押しつけ通貨)と言います。 中国やロシアが攻めてきて、民間レベルで守れますか?? 絶対無理です。

当たり前ですが、戦争というものは、軍の力が弱いと見られたとき、他国から戦争を仕掛けられるのです。
だから、どこの国でも、自国通貨以外の通貨(偽札)を勝手につくって使用すると、警察に逮捕され刑務所に送られるのです。

 

 

世界が何故、偽札を恐れるのか


偽札が流通すると、その国家および通貨の信用が無くなり、価値が暴落します。 そうすと、もはや軍を維持できなくなります。 

また最近では経済も安全保障上重要ですから、国の通貨が暴落し経済崩壊しても、国民の生命と財産は守れません。

 

だから、世界中どこの国でも、偽札は絶対に許さないのです。

 

 

 

世界で、偽札により国家転覆をはかった例


第二次世界大戦で、ナチスドイツが、大量にイギリス私兵を偽造して、イギリス経済を破壊しようとしました。 ナチスによるイギリス・ポンドの偽札造りは、世界の近大通貨史上における最大規模の偽札事件です。

このイギリス経済を破壊する秘密経済活動のコードネームは「オペレーション・ベルン・ハルト」と言います。 ベルンハルトとは、偽造ポンド製造計画の中心だった、ベルンハルト・クルーガーというドイツ将校の名前からとられています。

 

ポンド偽造集団は秘密裏に組織され、142人の偽造通貨技術者は主にポーランド・アウシュビッツ強制収容所にいたユダヤ人印刷技師が強制的に駆り集められました。

そしてオペレーション・ベントハルトによって偽造されたポンド(£)紙幣は、益900万枚に上りました。金額換算で、当時のイギリス・ポンドの1億3400万ポンドになったと言われています。

 

イギリスに通貨偽造を発見されたことを知ったナチスは・ドイツはポンド偽造をやめて、次は米ドルの偽造に着手しました。

しかし、最初の1枚のドル紙幣偽造に成功した1945年2月、欧州戦線の旗色が徹底的に悪くなり、通貨偽造チームは丸ごとオーストリアのエベンシーに移動を命じられました。

 

ナチスはその移動途中で、主にユダヤ人捕虜からなる通貨偽造集団を載せたトラックを爆破する計画でした。しかし彼らは脱出に成功。


戦後消えてしまった大量のポンドはどこに行ってしまったのか? 1959年ニエベンシー近くのトプリッツ湖の湖底から偽造紙幣が発見され、引き上げられています。

 

 

しかし、この紙幣がまたもや途中で消えてしまい、結局イギリス国内で回っていることが発見されました。 

イギリス政府は国中に出回っている5ポンド紙幣以上をすべて回収し、新札と入れ替える羽目になってしまいました。 

 

 

さすが、ナチスの偽造ポンド紙幣はそれくらい精巧だったのです。 オペレーション・ベルンハルトのために、当時で世界最高の印刷機が集められ、完璧なポンド紙幣を印刷できるまでになりましたが、最も難しかったのが、ポンド紙幣に一つひとつ付けられている番号です。

これがどのような順序で作られているか? そして真札には、どのような番号がふされることになるのか? 解明するには、番号に含まれる暗号を解読する必要があったのですが、これもナチスの偽札部隊がすべて解読していました。

 

 

したがって、作られた偽札はイギリス政府と言えども見分けがつかない、精巧なものでした。 この完璧な偽札をイギリス政府がどうして知ったかといえば、スパイが集めた情報によってでした。

この情報をもとに、偽札が市場に紛れ込んでいると確信したイギリス政府は、ポンド紙幣の1枚1枚をイングランド銀行に記載されている番号と照合しました。

 

 

その結果、すでに回収焼却済の番号のポンド紙幣が見つかりました。 それが偽札であることは間違いないと断定されました。 通貨・国家の信用を維持するためにそこまでしなければいけないのです。


このナチスの偽札造りの一部始終は、アカデミー外国語映画賞に輝いた2007年のオーストリア映画『ヒトラーの偽札(英題:The Computerfeiters)』で映画化されているそうです。

 

 

この『ヒトラーの偽札』はナチスに捕らわれていたサロモン・ソロヴィッチというユダヤ人印刷工を主人公にして作られています。

映画の脚本はユダヤ系スロヴァキア人のアドルフ・ブルガーの記憶に基づいており、事実を忠実に反映した名作にようです。

 

 

 

 

シークレット・サービスは、もともと偽造通貨を取り締まるために組織された機関

 

ナチス。ドイツは悪いやっちゃという一例でしたが、なかなかどうして、イギリスもワルでは負けてません。


彼らもまた歴史の一時期に、他国(アメリカ)に対して通貨偽造戦争を仕掛けた経験があります。

 



それはアメリカの独立戦争開始時の1775年のことです。 このときアメリカ議会は、歴史上初めての全米統一通貨である「コンティネンタル」という通貨を発行しています。

その主たる目的は、独立戦争の資金調達のためです。 独立戦争は、アメリカの支配国であったイギリスから独立するためのアメリカvsイギリスの戦争です。

 



これを知ったイギリスは、アメリカを潰すため、「コンティネンタル」の偽造通貨を大量に作り、アメリカに秘かに持ち込んで大量にばらまきました。

そのため、「コンティネンタル」は通貨としての価値を急激に失い、消滅してしまいました。 アメリカはこの経験から、通貨発行権限を合衆国憲法に盛り込みました。

 

 

つまり、アメリカ連邦政府は憲法で各州の通貨発行を奪い、それを連邦に集中させることにしました。 1787年の事です。

そして1791年に「第一合衆国銀行」が設立され、通貨発行権限を独占しようとしましたが、この試みは迷走しました。 ロスチャイルドは、そんなに甘くありません。

 


大統領の警護で有名な、アメリカの「シークレット・サービス」は、もともと偽造通貨を取り締まるために組織された機関です。

今でもシークレット・サービスの主体業務は偽造通貨取り締まりです。歴史は古く、1865年7月5日にまでさかのぼります。

 



実は1861年に始まった南北戦争の当時、アメリカで流通していた通貨の約3分の1は偽造通貨でした。 何故なら独立以来、アメリカでは1600もの様々な銀行が乱立していて、それぞれの銀行が通貨を発行していたからです。

その通貨の種類は7000にも上っていたと言います。

 

 

このような状態だから、誰かが偽造通貨を作ってしまえば、それを本物と見分けるのは困難でした。 そこで、まだ南北戦争中の1863年、北軍のリンカーン大統領は、合衆国全国統一の紙幣を発行します。

これにより偽造紙幣の取り締まりが、より容易になると考えたからです。 そして偽造通貨取り締まり目的で、1865年にシークレット・サービスが設立されました。

 

 

シークレットサービスは、現在も偽造通貨の取り締まりを業務として遂行しています。 もちろん彼らは、その後付け加えられた業務である大統領警護の任務も負っていますし、情報収集の業務はFBIなどの捜査当局に引き継がれました。

しかし、シークレット・サービスの主たる業務として、コンピューターを使った金融犯罪の取り締まりにも拡大注力しています。

 

 

こうした犯罪は地球規模の及ぶため、その取り締まり網も地球規模に及んでいます。 ちなみにシークレット・サービスは、大量のコンピューター・エンジニアを擁する職員数約700名以上の大所帯です。

たとえば、クレジットカード情報を盗みだしたり、あるいは百貨店のサーバーから顧客情報を盗み出したり、個人のデビットカード情報を盗み出し、銀行から引き出すという犯罪も、シークレット・サービスの取り締まり対象となっています。

 

 

当然ながら、クリプト・カレンシーにかかわる犯罪は、シークレット・サービスが取り締まる金融犯罪の対象尾の一つとなっており、彼らが最も注目している犯罪に一つです。

 

それでもシークレット・サービスの主たる業務は、やはり偽造通貨の撲滅です。 アメリカ中の金融機関は、もし偽造通貨を発見すれば、直ちにシークレット・サービスに通報することが義務付けられてます。

一番初歩的な偽造通貨の作成方法は、スキャナーやプリンターを使う方法です。 幸いなことにプリンター用紙はお札の要地とは全く違うので、これで容易に発見されます。

 

 

しかし、海外の偽造通貨グループは、最も複雑なオフセット印刷技術と独自に製造した紙を使っています。だから偽造通貨をつくるにも、莫大な費用と時間がかかります。

 

アメリカで2014年に摘発された通貨偽造集団は、ニュージャージー州のチェリー・ヒルという町の近くに倉庫を構え、かなり巨大なオフセット印刷機に、裁断機やインク調合機など、完璧な印刷工場と言ってよい施設を備えていました。

摘発されて運び出された機械類の量は、巨大トラック1台に積みきれないほどだったといいます。

 

 

 

偽造通貨撲滅に有効な、ブロックチェーンーン技術


この偽造通貨を撲滅する有効な手段が、クリプト・カレンシーで、ビットコインなどに使われているブロックチェーンという技術なのです。

 

 

 

(関連情報)


・フィアット・カレンシー(通貨)とクリプト・カレンシー(通貨)https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/769f1796bc4580021e0f7631c1cc5af4

・ローマ帝国は、チープな「フィアット通貨」によって滅亡したhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/e1945c6195da07dbca1a0e682162abc7

・「和同開珎」のチープ化で奈良期は崩壊した
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/0f1d63ad3aa35fe6fcf8ea8ec73e8931

・1942年、お札が突然、紙屑になった
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/162203542673b07f20b7362d7b56ce8f

 

 

 


大学で広がるデジタル履修証 学歴神話に決別促す

2023-09-10 04:56:32 | 教育(学校、こども、留学・理系・人文系・宗教・思想・人権・差別など)


         長崎大学が発行するデジタル履修証「オープンバッジ」

 

卒業した学校名が就職や出世に影響する「学歴信仰」は日本社会にいまも根強い。だが教育で進むデジタルトランスフォーメーション(DX)が神話に決別を促すかもしれない。

身につけた知識やスキルを電子的に証明し、改ざんが原理的に不可能な「デジタルバッジ(履修証)」がその代表だ。国際標準のひとつ「オープンバッジ」を長崎大学が2020年度に導入したのをはじめ、国内の大学では23年度前期までに80校以上が採用した。

企業がリスキリング(学び直し)講座の修了者に発行する例も増えている。



導入を支援する一般財団法人オープンバッジ・ネットワーク(東京・新宿)は「学歴よりも学習歴が問われる時代」とうたう。

現代社会に必須の人工知能(AI)やデータサイエンス、持続可能な経営といった知識やスキルは「どこで学んだか」より「何を学んだか」が重要になるからだ。

卒業後に取った資格を含め生涯を通じた学習履歴が「見える化」され、学習者もバッジをたくさん集めようと励み、学びの動機づけになる効果も期待される。

米欧での普及は著しい。米グーグルなどテック企業は「大卒」を採用要件にしていない。IT(情報技術)や経営学などの教育プログラムを自ら提供し、修了者にデジタル履修証を発行する。これを単位として認める大学も増えている。

こうした動きは「マイクロクレデンシャル(小さな資格)」と呼ばれる。学部や大学院で数十〜百以上の単位を取ると認められる学位と並行して、コースや単元ごとに履修証を発行し、その積み重ねによって知識やスキルを認定しようという動きだ。

放送大学の青木久美子教授によると、米国では100万を超えるクレデンシャルが発行され、それらの管理や活用を担うプラットフォームが教育産業の一角を担うようになった。

日本はまだよちよち歩きの段階だ。バッジをSNS(交流サイト)で公開する受講者が増えているが、第三者の学校や企業が入試や人事採用で活用する例はまだほとんどない。

本格的に普及するには課題も残る。まず名ばかりのバッジが乱発されないように、発行者の大学などが授業の内容や授与条件など「バッジの質」を保証する仕組みが必要になる。

行政の後押しも要る。大学の学費が高騰する米国では連邦政府が「全学生成功法」を定め、マイクロクレデンシャルの普及を支援している。日本ではこうした動きはこれからだ。

青木教授は「学んだ時間に応じて単位がもらえる今の仕組みの意味は薄れている。知識やスキルを使いこなす能力(コンピテンシー)が重要になり、それを可視化するITの活用は欠かせない」と話す。

学歴神話が過去の遺物になるかはなお未知数だが、デジタルバッジが高等教育、とりわけ理工系人材の育成に一石を投じることは間違いない。

有名大学も看板に頼っていられなくなり、授業の質の向上を迫られる。これが教育改革につながることを期待したい。

 

 

 

日経記事  2023.09.10より引用

 

 


米印・南ア・ブラジルが共同声明 G20「最重要枠組み」

2023-09-10 04:43:06 | 国際政治・財閥


    バイデン米大統領(右端)がインド、ブラジル、南アフリカの首脳と会談した=AP

 

【ニューデリー=坂口幸裕】米政府は9日、バイデン米大統領がインド、ブラジル、南アフリカの首脳と会談したと発表した。

共同声明によると、2023年の20カ国・地域首脳会議(G20サミット)を主催したインドと24年以降に議長国を務める3カ国がG20を「国際経済協力のための最も重要な枠組み」として関与していくと確認した。


9〜10日にインドの首都ニューデリーで開くG20サミットに中国は習近平(シー・ジンピン)国家主席が欠席し、李強(リー・チャン)首相を代理で送った。

ロシアのプーチン大統領も出席を見送った。中ロのG20軽視に焦点を当て、ブラジル、ロシア、インド、中国、南ア(BRICS)の関係にくさびを打つ米国の狙いが透ける。

G20議長国は24年がブラジル、25年が南ア、26年は米国を予定する。

米国が発表した声明では「G20議長国として、我々はインドの議長国としての歴史的な進展を基にグローバルな課題に取り組む」と明記。

「G20を通じた協力で、より良い未来に向けて国民を支援するために何ができるかを明確にする」と訴えた。

 

 

日経記事  2023.09.09より引用