27日未明、レバノンで南部へ向かう自動車。避難住民が自宅に戻り始めているもようだ=ロイター
【イスタンブール=渡辺夏奈】
イスラエルとイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラは27日、レバノンでの戦闘を一時停戦した。
米国とフランスが仲介し、イスラエルとレバノンの両政府が合意した。現地時間27日午前4時(日本時間同11時)に発効し、停戦に入った。
イスラエル軍は今後60日の間に段階的にレバノンから撤退する。ヒズボラもレバノン南部を流れるリタニ川以北に撤収し、イスラエルとの国境付近に非武装地帯を設ける。
レバノン軍と国連レバノン暫定軍(UNIFIL)が両国の国境地帯に展開し、停戦が守られているか監視する。米国とフランスがレバノン軍を支援する。米軍は派遣しない。
レバノン軍は27日、南部に展開する準備を進めていると発表した。レバノンのハビブ外相は少なくとも5千人を南部に配備する用意があると明らかにした。
中東の衛星放送局アルジャズィーラは同日朝、避難していたレバノン南部の住民が数千人規模で自宅に戻り始めていると伝えた。
イスラエル軍はまだ撤退が完了しておらず、これまでに出した避難勧告が継続していると表明した。住民らに対し対象地域には立ち入らないよう求めた。
米仏は今回の合意を恒久停戦につなげたい考えだ。バイデン米大統領は「恒久的な敵対行為の停止を目的としたものだ」と訴えた。
ヒズボラがどの程度応じるかは見通せない。27日朝時点でヒズボラは声明を出していない。
ヒズボラがイスラエルへの攻撃を続ければイスラエルも反撃に出る構えだ。イスラエルのネタニヤフ首相は合意に違反があった場合「攻撃する」と明言した。
バイデン氏は「(レバノン南部に)ヒズボラやその他のテロ組織が残存することは許されない」とヒズボラをけん制した。
イスラエルが攻撃を受けた場合、同国には軍事力を行使する権利があるとも認めた。
イスラエルとヒズボラの戦闘はパレスチナ自治区ガザを拠点とするイスラム組織ハマスによる2023年10月のイスラエル奇襲をきっかけに始まった。
ハマスに共鳴するヒズボラがイスラエルを攻撃し、応酬が拡大した。
イスラエルはハマスが弱体化すると、対ヒズボラに注力し始めた。レバノン南部や首都ベイルートのヒズボラ拠点を集中的に空爆し、9月末には地上作戦を開始した。
1年超の戦闘により、レバノンでは3800人を超える死者が出ている。
イスラエル軍は2024年10月1日、レバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラに対し、イスラエルと国境を接するレバノン南部で「限定的」な地上攻撃を始めたと発表しました。
その後、イスラエル軍は、イランがイスラエルに向けて同日にミサイルを発射したと発表しました。最新ニュースと解説記事をまとめました。
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