ラピダスと協業を進めるテンストレントのジム・ケラーCEO㊨(2月、東京都)
【シリコンバレー=山田遼太郎】
人工知能(AI)向け半導体の設計・開発を手がける米新興企業テンストレントは2日、米アマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス氏やSBIグループ、韓国のサムスン証券などから6億9300万ドル(約1040億円)の出資を受けたと発表した。資金は開発体制の強化にあてる。
テンストレントは2016年設立。米アップルや米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)で半導体設計を手がけた著名技術者のジム・ケラー最高経営責任者(CEO)が率いる。
テンストレントは最先端半導体の量産を目指すラピダスと技術開発や人材育成で協業している。AI半導体市場で9割程度のシェアを持つ米エヌビディアに挑む新興企業の一角として注目される。
日本からSBIグループと投資会社のイノベーション・エンジンが出資した。LG電子や現代自動車グループ、ベンチャーキャピタル(VC)のAFWパートナーズといった韓国企業のほか、英ベイリー・ギフォード、米フィデリティ・マネジメント・アンド・リサーチなどの資産運用会社もテンストレントに出資した。
テンストレントの社員数は約630人。集めた資金で技術者を増やし、半導体でAIの処理を速めるためのソフトウエア基盤を開発する。画像処理半導体(GPU)用のソフト基盤「CUDA」を持つエヌビディアに対抗する。
テンストレントは計算処理を速めるアクセラレーターと、CPU(中央演算処理装置)を組み合わせたAI半導体を設計する。製造を外部に委託するビジネスモデルのため、ラピダスやサムスンといった半導体製造企業と関係を深めている。外部企業が利用・改変できるオープンソースのソフトウエア開発にも力を入れる。
北米のほか日本や韓国、シンガポールに拠点を構えて顧客開拓を進めている。AI技術のライセンス提供など、複数年にまたがる1億5000万ドル規模の受注をこれまでに獲得したという。
パソコンやスマホの半導体や、電気自動車(EV)に使われるパワー半導体とは。TSMCやラピダス、キオクシアなどのメーカーの動向や供給不足、シェア推移など関連業界や市場の最新ニュース・解説をタイムリーに発信します。
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日経記事2024.12.03より引用