半導体はスマホの性能を左右する=ロイター
【広州=藤野逸郎】
中国スマートフォン大手の小米(シャオミ)は高性能半導体の開発を加速する。地元政府の関係者がこのほど、同社がスマホ用で最先端の回路線幅3ナノ(ナノは10億分の1)メートルのチップ開発に成功したと明らかにした。
競争力を左右する半導体の技術力を自力で高める。
小米が本社を置く北京市の経済情報化局の幹部が会合で明らかにし、地元テレビ局が伝えた。別の中国メディアによると、チップは小米の旗艦スマホ「小米15」に搭載する米クアルコムの「スナップドラゴン」と同等の性能を持つ可能性があるという。
CPU(中央演算処理装置)かどうかなど詳細は不明だ。日本経済新聞が小米に問い合わせたところ、回答は得られなかった。
米ブルームバーグ通信は小米が2025年から独自の半導体を内製する計画だと伝えた。3ナノ品かなどの言及はなく、クアルコムなどへの依存度を減らす目的という。
小米は以前から半導体の開発に取り組んできた。17年に初の独自品「澎湃S1」を搭載したスマホを発売した。バッテリーの消耗が激しいなどの問題が発覚し、同機種は数カ月で販売を打ち切り、失敗に終わった。
しかしその後も開発を諦めず、専門の研究開発会社を上海市や北京市に立ち上げるなど、投資を粘り強く続けてきた。
仮に小米が3ナノ品など先端半導体を量産する場合、海外企業に生産を委託する見通し。中国内には3ナノ品に必要な微細化技術を持つ半導体製造企業はないためだ。スナップドラゴンは半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)が生産している。
中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)は米国政府による輸出規制を受け、高性能半導体が調達できなくなりスマホの機能が落ち販売が低迷した。現在は独自開発の半導体を国内で生産しているが、歩留まりの問題などでコストがかさんでいる。
小米はトランプ前米政権下で中国人民解放軍の関連企業リストに一時掲載された。米裁判所に訴え出て認められ、リストから外された経緯がある。米政府が半導体関連の締め付けを強める中、自力で高性能半導体をつくる能力の重要さは増している。