CFIUSは米大統領が中止命令を出した日鉄によるUSスチール買収について計画破棄の期限延長を認めた
【ニューヨーク=川上梓】
日本製鉄と米鉄鋼大手USスチールは11日、バイデン米大統領が中止命令を出した日鉄によるUSスチール買収計画について、中止命令後に買収計画を破棄する期限が当初の2月2日から6月18日まで延長されたと発表した。
買収計画を審査する対米外国投資委員会(CFIUS)が期限の延長を認めたとしている。
日鉄による買収計画はバイデン氏が3日付で中止命令を出した。大統領による中止命令が出た場合、日鉄は原則として命令から30日以内に買収計画を破棄する必要があり、期限延長はCFIUSが決めない限りできないことになっていた。
日鉄はCFIUSに対して期限の延長を要請していた。同社は2025年3月までにUSスチールの買収完了を目指しており、6月18日は合併契約の期限となっていた。
日鉄とUSスチールは声明で「CFIUSが買収を永久に放棄する要件を6月18日まで延長することを認めてくれたことをうれしく思う。米国の鉄鋼業界と全ての利害関係者にとって最良の未来を確保する買収完了を楽しみにしている」とコメントした。
CFIUSが期限延長を決めた背景に、日鉄とUSスチールによる提訴があったとみられる。両社は買収計画の中止命令を受け、6日付でCFIUSやバイデン氏らを提訴した。買収を巡る政府介入があったとしている。
さらに日鉄とUSスチールは買収を違法に妨害したとして全米鉄鋼労働組合(USW)会長と競合大手のクリーブランド・クリフスと同社の最高経営責任者(CEO)も提訴していた。
日鉄はこれらの提訴にあたり、米司法省に対し、訴訟をしている間は中止命令の効力を発効できないように差し止め請求する方針を示していた。
バイデン氏による買収阻止を巡っては日本政府や日本の経済界から批判が上がっているほか、米国の共和党議員などからも非難する動きが出ている。
CFIUSは日鉄による買収計画を半年以上かけて審査してきたが、期限だった2024年12月23日までに結論が出せず、バイデン氏に判断を一任していた。
2023年12月18日、日本製鉄が米鉄鋼大手USスチールを買収すると発表しました。買収額は約2兆円で実現すれば日米企業の大型再編となりますが、米国で政治問題となり、バイデン大統領は25年1月3日に買収中止命令を出しました。最新ニュースと解説をまとめました。
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