獏の食わず嫌い

プロ野球を好きになってほんの45年です。阪神のせいでネガティブ根性が骨まで染み付いております。

球児が見せた熱く脆く儚く冷たい輝き

2020-08-31 21:56:48 | 野球


球児のストレートは「火の玉ストレート」と称される
これは清原が藤川との対決で(三振した後)つけた名前だ。
清原らしい命名だけど、ちょっと違うな・・と感じていた
あのストレートは火の玉の様なマッチョなイメージではなかった

先発投手として伸び悩んでいた藤川球児が急激に台頭したのは2004年の後半、もう優勝がほぼ決まっていた時期だったと記憶している。

2004年は阪神の歴史としては珍しく中継ぎ抑えに苦労した年だった。
打つ方も優勝の翌年で戦力はあったのだが
中心選手の怪我や不調、ルーキーの鳥谷がショートにほぼ固定されるもプロのレベルにはまだ遠く、
戦力がまだ上手く配置されず整っていない部分では今と似ているのかもしれない

そんな中現れた鋭い氷粒が飛ぶようなストレート
糸を引くとよく言われるが、藤川の球の軌道には色がついて見えた
私は実は共感覚といわれる、音やにおいや振動や形などに色を感じる感覚を持つのだけど(印刷物の色指定くらいしか役に立たない)球児のストレートにも色があった

球児のストレートの色はガスの炎の一番端っこの様な青白い光の色で、星でいうとシリウスやプロキオンの様な色温度が高い(色温度は炎の色の温度と同じ)冷たさすら感じる鋭く儚い色光だった。
雪の女王が放った氷の粒の様なイメージ

球児のストレートの色は年々オレンジになったり黄色くなったり赤になったりした。
打たれる時はたいていオレンジみの赤い色だった。
2008年
2010年
ここぞというときに打たれた球の色は赤かった。

球児のあの冷たい脆く儚い球は20代のしなやかな弓の様な体からピュンっと鋭く放たれる

なのでどんなに鍛えてももうあの鋭い尖った光は戻らず、蘇るのだとしたら他の投手のように老練な投球術を身に着けて蘇ると思っていた。

メジャーに行った時はもう戻ってこないと思っていたので
戻ってきた時は石井一久みたいな老練な投球に変わると思っていた。
そうしないと手術した後の40代を目前にした投手の復活などあり得ないと思ったから

2016年に戻ってきた時は彼は先発だった
失敗続きだったけど、彼のリスタートには先発として一度はやってみる必要があったのではないかと感じていたので大して反感も無かった
ほどなく調整しなおして中継ぎに徹した。

金本監督になった当初、ブルペンはうまく稼働していいなかったのだけど、再調整した球児がブルペンに入ってからブルペン陣がまとまりだしたと私は確信している。
金本さんの三年間から去年の一年間ブルペン陣を12球団1に仕上げたのは藤川球児の「阪神のブルペンのプライド」のなせる業だと私は考えている。

昨シーズン、矢野阪神一年目
藤川球児は春先はずっと不安定だった。

どの試合だったかもう年なので覚えてないのだけど、(覚えてる人教えてください)
僅差リードで迎えた終盤、球児は自ら制球を乱し満塁のピンチを迎えていた
普通はここで交代・・・なんだけど
ベンチで腕組みをして仁王立ち。びくとも動かずマウンドを凝視する矢野監督
満塁で押し出しになると同点とかそういう場面だったんだけど、3-2になっても動かない
ワンアウト、動かない
ツーアウト、動かない
マウンドにも行かない
「球児の事は俺が一番わかってるんやから」

結果切り抜けた球児はそのままもっと不安定だったドリスに代わって守護神として復活したわけだが・・
(矢野さん、その溢れる愛と信頼を他の中谷とか中谷とか中谷にも分けてやってくれませんか?(;'∀'))


2019年の球児のストレートは細く鋭く儚く青白い光を放っていた
そしてその光は強烈にまばゆかった
花火が燃え尽きる直前の光に似ていた。




球児の投球を見るたびに
脆さと儚さを感じていたので
そうで無ければ良いなと考えない様にしていたのだけど・・

考えない様にしていたのだけども・・・
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私は8月6日の巨人戦の何に怒っているのか

2020-08-09 21:53:58 | 野球
8月6日対巨人戦(甲子園)
中谷がグランドスラムを打って11点差がついた後、原辰徳は投手交代を告げ野手の増田大樹をマウンドに上げた。
この時はたいして腹も立たずに、巨人のブルペンが底をついたのかと思っただけだった。

ところがデータを見るとブルペンには4人の投手がいた。
11点差でどう考えても巨人は最終イニング。あと2つのアウトを取るだけだった。

そこまでするほどか?

試合の流れを見ていると9回までは巨人は追いつき勝ち越す気満々だったが中谷のグランドスラムで原辰徳は切り替えたのだろう。

それでも、そこまで怒ってはいなかった。
阪神は9連戦だったので巨人もそうなのかな?とくらいに考えていた(実際はそれどころか6連戦の後2日の休みがある。阪神に比べたらかなり楽な日程だった)

怒りに火が付いたのは上原浩治やダルビッシュがこの采配を絶賛し、批判した堀内恒夫や井原春樹氏を「古臭い意見」と批判しだしたからだ。
「メジャーでは普通」
「巨人の伝統とか古臭いことを言っているからダメなのだ」

だいたいこんな調子


私は堀内恒夫は昔から好きではない。
どのくらい嫌いかというと、球場で後ろから見ると堀内の首筋の大きな黒子が見えるのだが、あの黒子を見るだけでムカムカするくらい嫌いなのだ。
堀内は巨人の監督で失敗しているが、なんでダメだったかというと先発完投にこだわって中継ぎ抑えの勘所を全く分かっていなかったからだ。

それでも彼が言いたかった事の本質みたいなものは何となく通じるところがあった。
現役時代から見てきた堀内恒夫という人はそこまでカチンコチンの古臭い頭の人ではなかったと思う。



そして一番頭に来たのは巨人生え抜きエリートの堀内だけならともかく、伊原春樹氏の意見にまで「古臭い」と堀内と同列に十羽一からげに扱ったからだ。


確かに伊原さんはコーチとしては一流だが監督になると途端に3流になる珍しい野球人だ。
口も悪いし変人である。

だけど・・・
伊原さんがどれほど新しい野球を取り入れたか知ってて言ってるの?
伊原さんほど球界の荒波に飲まれて翻弄された人もいないんじゃないか?

伊原さんはオリックスブルーウェーブの最後の監督です。
厳しくて厳しくて選手に嫌われてると思い込んでいた伊原さんが最後に選手が胴上げをしようと囲んだら手を振って断った、そのくらい自己肯定感がひっくい人(無理やり胴上げされたけど)
苦労人。
あ、思い出したら泣けてきたわ。
パリーグは不人気で不人気で金がなくてあんなことになったんですよね。


今回の野手がマウンドに上がる事の引き合いに出されるのがオールスターのイチローと西武のデストラーデと野村監督時代の新庄か・・・

どれもこれも話題作りのために仕方なくやった。
やりたくてやったわけじゃないシーンである

特にイチローの時の仰木監督は興行面もとても気にする監督だったので(今はどうか知らないけど当時は不人気で監督降ろされたりする事もあったので)不人気で客が入らなくて已むに已まれぬ事情でしょうがなくやったことだった。

馬と走らされた人もいたし・・・・・・



伊原さんにとって野手がマウンドに上がるとはそういう事だったのだ。
プロ野球選手は野球のプレーを見せてお金を稼ぐ仕事。
それが伊原さんの矜持。不人気でもそこは外せない。
だから色んな人とぶつかってきた人
人気とりのためにデストラーデを投げさせる東尾とは仲が悪かった。
パリーグでは常に人気を気にせねばならず、求道者の伊原さんにはそれは苦難の連続でした。他人の顔色見たり客の気を引くようなこと絶対出来ないもん。
だから巨人がそれをやった事が伊原さんには許せなかったんだろう。
やらずに済むシチュエーションなのに



今年はコロナ禍でイニングは10回までである。
そもそもあと2アウトで終わる
巨人は勝ちパターン(とも言えないみたいだけど)の投手4人温存していた。
うち一人大江投手は中三日開いていた。
9連戦の阪神と比べてかなり楽な日程だった。
そもそも戦力の物量では12球団1(でないとおかしいだろ)



にもかかわらず

11点差程度で野手をマウンドに上げる様な禍根を残す事をやってのけた。

舐めてるだろ?と思われてもおかしくない。


繰り返し言うが、私は野手が投げることには異論はない。けれど矢張り最終手段だと思う。
井原春樹氏は「メジャーでは野手を投げさせるケースはあるが、延長戦や投手が足りなくなったケースだ」と明言している。
巨人の伝統がどうのも言ってはいるが、堀内とは意味が違う。

散々他チームからFAで選手を奪っておきながらやることか?

そんなことは戦力が薄い弱者のチームがやることだ。
遠山葛西遠山だって弱者の策だと野村さん自身が自嘲気味に言っている。

新聞は書けないだろうし、
上原もダルも投手だから自分たちの経験を重ねて「11点差で負けてる時は貴重な投手を使わずに余ってる野手にでも投げさせろ」と言っているのに等しいと彼らは自分で気づいていない。
何だって球界で一番補強しているチームが弱者の戦法を大して窮していないときに使うのか?

伊原さんの言う通り
「調子に乗ってどうにかしちゃったとしか思えない」シチュエーションなのだ
伊原さんは言いにくいだろうから私が言うけど「舐めてる」のだ
監督としては他球団11球団の監督は格下だ

頭を押さえる人もいないし、
伊原さんの言う通り「どうにかしちゃった」としか思えない。






でね、

私はこのコロナ禍でプロ野球って「ご厚意でやらせてもらってる」意識を持って欲しいとおもっているのです。
世の中こんなに分断されてライブも演劇も映画も美術も出版も文化娯楽産業は死に体ですよ。

そんな中、たとえ5000人規模とは言え今この時にプロ野球を開催している意義を特に監督と言われる人は感じて欲しいのです。

今ある現有戦力をギリギリ(使い潰すわけではなく)駆使し、
相手チームをリスペクトし尊重して「プロのスポーツを見せる」原点に立ち返ってほしいです。


コロナで全世界が苦しんでいる中、現有戦力を出し惜しみして(私は中谷に打たれてブチ切れたと思っているけど)
相手チームに不快感を与えてまでペナントレースを勝ち抜くことがコロナ禍に苦しむ国民を前にやることですか?

メジャーでは普通にあると言われる野手のマウンドだけど、過密日程とは言えイニングも少なく試合数も少ないコロナ禍の今やる事かね?
メジャーでもやるの?今年やるの?

昨日の広島戦、大瀬良大地投手との接戦はとても面白かった。
広島も阪神も戦力はベストではない。
阪神はミスは出たけど好投する大瀬良大地を追い詰める
投げるだけでなく好守備で切り抜ける大瀬良投手。
戦力ガタガタの両チームのせめぎあい。
こういうものが見たかったんだなあ・・・・となんか涙がにじんで負けたけど大瀬良投手に心洗われる気分でした。


野手の投手起用、あってもいいと思うけど、8月6日の甲子園の8回裏ワンアウトでやるべきではなかったと思ってます。

ダルが「何故けんかしてでも止めなかったか?」と呟いていた
伊原さんコーチ時代にあったと言われるデストラーデ投手起用は東尾監督によるものだけど・・・・
伊原さんは東尾とは無茶苦茶喧嘩してまっせ


しかし
東尾と原辰徳かあ・・・と察したり察しなかったり・・・・(よそうか
コメント (2)
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