魔法が解けたそのあとで

結婚、出産、育児、介護、お仕事。来た球を打ち返す、毎日のつれづれをつづりました。

今日という日。

2012-07-01 23:09:19 | 日々のこと

少しつぶやかせてください。

神戸の震災。

私は兵庫県にいて、被災しました。マンションはめちゃくちゃ、近くの小学校の体育館に避難しました。

しばらくして自衛隊の皆さんが来てくれ、東京に避難した私たちは東京の公団住宅を無料で借りることもできました。

その公団住宅の部屋は、結局2泊ほどしただけで、生活はしませんでしたが、部屋には東京都のマークがついた毛布がありました。

その時、「国って助けてくれるんだなあ」と感じた。

わたしのなかで「国は守ってくれるもの」と思えた。

でも、今夜、どうも違う・・・と311から感じていたことがはっきりした気がしました。

福島の4号機の冷却装置が止まるなか(復旧しました)、大飯原発が再稼動。

私は311の時、すごい恐怖を感じました。

「あの、世界が変わってしまうことがまた起こる」

と。神戸の震災で「明日は来ないかもしれない」と分かってしまった私は、長い年月をかけて、それを押しやって生活してきました。

親族が亡くなったわけでもない、家が潰れてしまったわけでもない、それなのに、ダメージは長く、深かった。

「誰もわかってくれない、震災を経験した人以外は」

という気持ち。世間から震災のニュースが忘れ去られていくのを、見ていました。

東京で働いて、人生を楽しんでいる人たちのなかで、世界のなかの東京で暮らして、このままの生活は続く、東京は大丈夫、そう思っている人たちのなかで暮らして、結婚して、子供が生まれて。

でも311で、また思い出した。

「明日は来ないかもしれない」

「自分だけは大丈夫なんて、違うんだ」

ということ。

ものすごく怖かった。

地震と津波だけでなく、原発事故。

東京にいるきょうだいたちも、東北にいる両親も、たくさんの大切な人たち。

パニックになりかけた。

地震のような自然にではなく、人が造った原発で。

福島の人々は、生活を奪われたまま。

人が、そういう危険なものは、人が止めなきゃいけない。

わたしは、国は守ってくれるものだと思っていた。

危険なものは防止してくれる、と。

でも、水俣病だって、原爆症だって、そうじゃないってことを、証明している。

そして今、また原発が再稼動した。

山岸涼子さんの「パエトーン」という漫画で、大飯原発のことを警告している。

大飯原発が爆発したら、小浜市は100パーセント死亡だと。

チェルノブイリ事故のあと汚染がはげしかったヨーロッパのの女性が「始めは汚染された食べ物を一生懸命とらないようにしていた。でも今年に入ってから汚染度がますます激しくなったのにもかかわらずそれを口にしてしまうのです」と。

最初に読んだ時、わたしは「汚染された食べ物を、分かって食べてしまうのはなんでだろう?」と疑問に思いました。

山岸涼子さんはセリフで「明日食べるものがなければ10年後に癌になろうともそこにある汚染食料を食べてしまうのは人情」と言っています。

そう、今まさにそれが私たちの現状。

福島にそう遠くない県に住む私たちは、恐れながらも口にしています。だってそれしかないから!

でも、わたしは考えてそれを避けるようにします。

できることをやらなければ。

始まったばかりの娘の人生のこの先何十年。責任は親にあります。

「国は守ってくれるものではないかもしれない」

今はそう思います。

311から続く、この物悲しさは、それをなんとなく悟りつつあったことからかもしれない、と今は思います。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする