ここを購入したのは結婚してすぐでした。
ベランダから下はすぐ私鉄の駅。
さぞかしうるさいかと思いますが、地方の私鉄の駅なんて、1時間に3本くらいなもんで、夜も最終が11時半に行ってしまうと静かなものです。
このマンションの住人とも、最近は子どもを通じて仲良くなり、先日初めてお部屋に招かれました
マンションの部屋は、いろいろな間取りのタイプがあり、自分の部屋以外の間取りを見るのは興味深いものです。床の色など選べるので、その仕様を見るのも楽しい。
その部屋は横長リビングのお部屋。
広々としていて窓が一面大きくあり、開放感がありました
10ヶ月の男の子がいて、まだはいはいの可愛らしい頃
娘は歩き回っていますが、まだ場所見知りしてわたしの足に抱きついてきます。
お部屋に飾ってある、結婚式の写真を見つけ、
「これ見せてもらっていい?」
とフレームを手渡してもらいました。
紫のドレスを着た奥さんと、タキシードの旦那さん。
彼女はわたしより10歳年下で、旦那さんはわたしよりちょっと上。年の離れたご夫婦です。
「それよりこっちの方が」
と彼女の方から、アルバムを見せてくれました。
結婚式の写真をまとめた小さめなアルバム。
「いいの?見せてもらっちゃいます」
と拝見した。
そこでページをめくる手が止まった。
カップルを囲んで友達が映っている。
そのなかの一人。
なんと、わたしが付き合っていた彼だった
「こ、この人知ってるんだけど
旦那さんのお友達?」
と聞くと、旦那さんはスキーとスノボのインストラクターの資格を持っていて、今も土日に教えに行ったりしているとのこと。
その彼も同じで、そのつながりだった。スピーチもしてもらったとのことだった。
「どういう知り合いなんですか?」
と聞かれて、わたしは
「元彼なんだよ~」
と正直に言った。
下手に「同級生だった」とか「友達だった」と言って、わたしのことを彼に聞いちゃったりしたらと思ったから。
わたしは彼女に、その彼とは結婚する前に付き合っていて、別れ方はあまり良いものではなかったことを話した。
わたしは彼と付き合っていたけど、東京に出たのだ。それでだめになるなら、仕方ない。そう思って。
それで、彼に別の女性の影が見えた。
それは浮気と言うようなものではなかったかもしれない。
でも、わたしは友達が多いひとだから仕方ない、だけど「女性と2人で食事や飲みに行くのは絶対にやめてほしい」と伝えていた。
彼はそれを破っていた。
詳しいことは省くが、その女の人はいろいろな事情を抱えて彼を頼っていた。
いろいろと相談にのっていたようだった。
わたしは
「それならあなたがその人を引き受けてあげればいい。でもわたしはそういうあなたとは付き合えない」
と言って別れた。
彼の荷物を送り返したわたしに、彼は言った。
「君の人生の中で、俺ほど君を愛する男はいない」
その時、これは呪いだろうか、と思った。
夫と別れたあと、付き合った人だった。
両親に反対されて、わたしは親との縁を切った。
でも結婚には至らなかった。
一度、ATMですれ違ったことがあった。でも気づかなかったのでほっとした。
狭い街だから、いつか顔を合わせることがあるかもしれないと思っていた。
きっとわたしは東京にいると思っているだろう。
奥さんの話だと、彼は結婚していないそうだ。
それだけの話です