小学生の頃、「シートン動物記」が好きで、漫画版を何回も読んでいた。
そのなかでとても賢い狐の夫婦の話があった。
でもシートンの知恵によってオス狐はしとめられ、メス狐をわなにかけるために子狐を捕らえた。
夜になって、メス狐は子どもを助けに来る。
子狐は首輪と鎖で囚われている。
その鎖を、母狐は土に埋める。鎖は土中に隠れて見えなくなる。
「さあ、これでなくなった。ぼうや、逃げましょう」
と走り出すのだが、もちろん鎖はつながったまま。ぼうやもつながれたまま。
何回、何日か同じことを繰り返した母狐は、ついにある晩、美味しそうな肉を持って子狐を訪れる。
喜んで食べる子狐。
しかしそのあとすぐ、悲鳴を上げて、子狐は絶命する。
母狐は「もう逃げられない」と分かった子狐を、死をもって自由にした・・・という話。
わたしは「賢いと言われる狐も、目に見えなくなったらなくなったと思うんだ」と思った。
「目の前から消えれば、それがなくなったと思う」のは狐だけではなくて・・・。
夫がシェービングクリームの空き缶や、コーヒーの空き瓶を、出勤の時に近くの自動販売機のゴミ箱に捨てているのを知った時、わたしはこのシートンの狐の話を思い出した。
夫は月一回の資源ごみの日まで、ゴミを置いておきたくなくて、勝手に自分で持ち出して置いてくる。
もちろん、いけないことだ。
でも、夫は結構「見ていなければ、ばれなければ、ちょっとくらいいいだろう」というモラルの持ち主だ。
浪人時代に、友達の原付を無免許で運転していて、警察に補導されたことがある。それも2回。
(ちなみに、これも結婚してから聞いた)
子供が産まれてから「そういうことは子供によくないからやめてくれ」と頼んで、今はあまりしなくなった。
でもたまに出勤時のバッグからそれらのゴミがのぞいている時がある。
そういう時は取り出しておく。
さて、サークルがある日の朝、ちょっと早く起きたら夫が起きて、チキンラーメンを作って食べていた。
夫は夕飯のあとや朝にインスタントラーメンを食べる。切らしたことがない。好きなのだ。
だから、「ああまた勝手に食べてるな」と思っていた。
そしたら、洗面所にシェービングクリームの缶が置いてある。
これを捨てるには中身を使い切ってガスを出し切ってから、缶切りで穴を開けてゴミにださないといけない。
そうしないと発火の原因になったりするからだ。
それがちょっと面倒くさい。
いつもシェービングクリームが使い切っておらず、以前は穴をあけたらそこら中にクリームが飛び散ったことがあった
「これ、もう終わったやつ?ちゃんと使い切ってよ」
と夫に言ったらいきなり
「いちいちうるさい静かにしろ」
と言われた。
この間も、寝る前に夫とベッドルームに行った娘が大泣きしていて、急いで食洗機に食器を片付けてセットして寝かしつけに行ったのだが、寝かしつけている時にがちゃがちゃ食洗機ををいじる音がして、うるさくて寝られないから静かにして、と言い、寝たあとにキッチンに行ったら夫が食洗機のなかのものを洗っていたので、「なんでセットしたのにやってんの?」と言ったら「うるさい、家事やってるのにごちゃごちゃ言うな」と怒鳴られた。
なんかこの「やってるんだからいろいろ言うな」が最近多い。
なんかさ~、別にやってくれとか頼んでないし、他にやることいっぱいあるし・・・そっちをやればいいじゃない?
おれだって試験勉強や仕事があるのに、こんな環境じゃできない。落ち着いてやりたいけどできないんだよ!などなど・・・。
でも夫はその前日と前々日、只野仁ファイナルを夜中にばっちり観ていましたけど・・・
夫に、お正月上司から年賀状が届いた。
そこには
「もう営業にも慣れた事でしょう。これから本領発揮してください」
というメッセージ。夫は「ひでーな」と言っていたけど・・・。
夫が異動になって、もう一年半。夫は何をやっているんだろう?こんなこと書かれるって・・・
来年、査定が下がってボーナスが5万減ることは聞いた。
「新規の取引先とか開拓してないの?」
と聞いたら
「こんな会社で頑張っても仕方ない」
みたいなことを言い、取り合わない。
だめだ、こりゃ・・・。
夫の会社は、わたしから見たら公務員並みの(いろいろと・・・)会社で、失敗したとしても大きく響くようなことはない。むしろ「あいつは頑張ってる」みたいに言われるような会社だ。
そこで評価されないってのは・・・夫は多分・・・
最近は
「俺には家族がいる。家族が一番大事だ。仕事でどういう評価をされてもいいや。」
みたいなことばかり言っている。
先日、独身の中学の同級生に会った時に
「尊敬できるところがある人がいいよ、外見じゃないよ」
と話したけど、本当にそう思う。
本当に申し訳ないけど、夫のことは尊敬できない。
今は「なんでこの人と結婚したんだろう」と思わない日はない。
「どこがよくて結婚したの?顔ですハハ~」と自虐ネタをひとりでつぶやいてみる。
本当に・・・なんでこんな人と結婚したんだろう、というか、よく考えなかったんだろう。
そう、それはわたしが馬鹿だったからです
だからここにいるんです・・・。
それにしても夫の親との付き合いは、しょっぱいかぎりだ。
「もうこの人とは良好な関係は築かれることはないだろうな」とお互い分かっている人と付き合わないければならない、というストレスはすごい。
今までそこまで言われた人とだったらすぐに疎遠という道を選んで来れたのに、それができないつらさよ。
いやだ、いやだ、と思って過ごす毎日が、わたしの身体にどのくらいの影響を及ぼすのか。
ほんと、自分で自分を実験観察みたいな気持ちの毎日だ。
ああ、頭が痛い。
もう寝ます・・・。