魔法が解けたそのあとで

結婚、出産、育児、介護、お仕事。来た球を打ち返す、毎日のつれづれをつづりました。

気持ちのカタチ

2007-10-13 18:22:22 | 結婚できるかな編
彼から加入者同士は通話料無料、という電話を受け取りました。

あわや破談になりかけましたが、彼も覚悟を決めてくれました。

それでわたしの仕事の関係ですぐには一緒に住むということもできませんので、電話を買って、それで連絡を取り合おう、ということになりました。

通話料が…跳ね上がりましたから、やっぱり

そしたら端末を購入して、送ってくれました。これでたくさん話せます。

「指輪を買ってあげたいんだけど」

あれですか?エンゲージリングですか

「もったいないよ~」

「でも僕の気持ちだから、受け取ってほしいんだ」

この時点で、わたしは今まで婚約指輪がどういうもので、いくらするのかとか、もらったことがないので知りませんでした。

次の休みにふたりで銀座に行きました。

ティファニー本店。
ブライダル関係は二階です。

すごい~~~煌いています、ダイヤモンド。

…ええ指輪、こんなにするの
こんなの買ってくれるんですか
結婚って…。

いろいろ選んでもらいました。

意外とわたし、指細かったのね。7号でした。指輪のサイズも知らないんだからさ

いろいろ付けて見ました。

カラットって大きさじゃなくて、重さなんですね~。
それで石は削ってあるので、その重さとカットの石はふたつとないものなんですね。知らなかった…

だからこれも「出会い」なんだ、と彼は言います。
「いくら見ても選べない時もあるから」

そうなんだ。

そして「これ!」というものがありました。
カットも、重さもとても良いもの。
お値段は…わたしは無理だ…男の人は大変なんだ~

いいのかな?こんなもの買ってもらって…。

「これは俺の気持ちだから。それが形になったものだと思って」

彼の気持の形は、わたしの左手薬指で、とてもキラキラ輝いていました。

ふたりで銀座の街を手をつなぎながら歩き、帰りました。

こんな日が来るなんて、不思議だね。
そう、ふたりで言いながら。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

理解欲。

2007-10-09 19:29:41 | 結婚できるかな編
わたしは当日、昼には東京に戻って出社しなければならなかった。
タイムアップ、時間切れだ。

玄関に行って靴をはいた。

彼は見送りに来た。

とても心もとない顔をしていた。

電車の時間が迫っている。

「多分今、ここで帰ったら、ここには来ない」

そうはっきり思った。

「リツコ…」
彼は、とてもとても寂しそうな、悲しそうな顔をしていた。

わたしは靴を脱いだ。
「話そう?」
もう一度居間に戻った。

いつもだったら、今まで付き合った人たちだったら、「もういい」で終わっていたと思う。
でも、わたしは彼に理解してもらいたいと思ったし、彼を理解したいと思った。
だから靴を脱いで、トランクを置いた。今話さないとだめだと思った。仕事はいい。遅れてもいい。
電車を遅らせた一時間、でもこれは重要な一時間だと思った。

二人で向かい合って座った。

「あのね、やめるか、って言われたとき、すごくショックだった。

わたしはいろいろなことを置いて、あなたのそばに来ようと決めた。

東京にいた4年間はたくさんの人とあって、たくさんのことがあって、そういう積み重ねとつながりを全部切って来ることなんだよ。

やめるか、なんて言うなら、最初から『ずっと一緒にいてくれ』なんて言わないで。」

酷なことかもしれない。だって、あの母じゃ、だれだって引く。

「…ごめんな、簡単に言って。悪かった。もう言わない」

「涙が出たのは、やめるかと言われたことと、お母様たちに迷惑をおかけすることがとてもつらいと思ったから。嫌な思いをさせてしまうだろうと思ったら、もうここには来られない、そう考えていたら涙が止まらなかったの」

脳裏に優しそうなお母様の顔が浮かんだ。不思議なことに、このお母様の顔が曇ることがとてもつらかった。

「だけどね、もうやめるなんて言うのはやめよう。
あんな母だから、破談にしてくれと言われても仕方ないと思う。
でもわたしの幸せはあなたのそばにあることしかないの。
だけどあなたがやめようと言うなら仕方ない。よく考えてほしい。」

彼は下を向いていたが、顔を上げた。

「俺はリツコと結婚できなかったら、ずっとひとりでいるよ。
だって、もう考えられないもん。リツコがいてくれないなら、ずっと独身でいる」

手を取ってくれた。
「ほんとにごめんな。こんなに泣かせて。」
そう言って抱きしめてくれた。
「絶対一緒になろうな」

それから私は東京に帰った。
駅まで送ってくれた彼は、お母様に電話して、リツコのことをとても気に入っているということを聞かせてくれた。直接お話しをさせてくれて、ご挨拶をした。

彼は考えられるいろいろな方法で、わたしを信じさせようとしてくれている。
そう感じた。

天国から地獄へ落とされたような一日だった。
でも、彼とわたしは次の段階に進んだ。そんな感じがした。

当人同士から、家族の理解を得るステージへ。

不思議と寂しくなかった。

前に好きだったとき、わたしは彼を知りたい、理解したいと思っていた。
これほど人を理解したいと思ったことはなかった。いつも彼の話を真剣に、逃すまいとして聞いていた。
なんでこの人を、そんなに理解したいと思ったのだろう?
自分でもよく分からない。
今、彼も私を知りたいと、理解したいと、分かりたいと言ってくれるし、そう行動してくれる。
お互いがそう思える確率は、どのくらいなのだろうか?

これからも彼を理解したい、分かりたいと思う。その欲望は、出会ってから9年になるが、尽きることはない。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

涙。

2007-10-07 17:44:45 | 結婚できるかな編
ホテルをチェックアウトして、彼の車の駐車場まで歩いた。

わたしのトランクを引いている彼。うしろを歩いて行くけど、追いつかない。

あまりうしろを気にしない彼。
彼の出勤時間も迫っている。

車に乗って彼の部屋に帰った。

忘れた物を詰めた。

彼は支度をしている。

もうここには来ないかもしれない。

彼の両親の顔を曇らせるかもしれないことを思うと、それがつらかった。
なぜだか、それが一番したくないことだった。

ご飯を作ろう。そう思って、お味噌汁を作り始めた。
涙が、次々に出てきた。
今自分ができることは、ご飯を作ることだと思った。

泣きながら、作った。
何かが変わってしまった。そう感じた。

本当に、次々に涙がこぼれた。
この人にしてあげられることは、今はお味噌汁を作るしかない。

ご飯をよそって、おかずを出して、お味噌汁をよそった。

「ご飯食べよう」と声をかけて、ご飯を食べた。でも涙が止まらない。

彼はようやく気付いた。どうしたの?と聞かれた。

涙が止まらないの。
ご飯食べよう。

何で泣いてるの?

「ちょっと考えたい」と私がいったら、彼は下を向いて溜息をついた。

「なんでこうなっちゃうんだろうな。俺が結婚したいと思った人に、いつもそう言われてしまうんだ」

おーーーい、自分のことかい

とも思ったのだが、わたしは「考えたい」ということに、結婚自体を考えたいということも含まれていたのだが、とっさに彼を悲しませたくないと思って言った。

「結婚を考えたい、というのじゃなくて、ちょっと今混乱しているから、考えたい、ということだよ」

やっと彼は顔を上げた。
彼とわたしは似た者同士なのだ。
だから片方が落ちると、もう片方も落ちてしまう。

正直、彼をはげましたりするのに疲れていた。
もともとわたしはそうポジティブ思考の人ではないから。

でも落ち込む彼の姿を見たとき、彼を悲しませたくなかった。
一緒にいたかった。

強くならなければ。

彼が好きだから。彼のことを、ずっと好きだったから。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スープ

2007-10-07 17:17:25 | 結婚できるかな編
ホテルに戻った。

彼は寝ている。全然起きねーし…
わたしが出かけたことも気づいてない。

ちょっとばたばたしていたら、目を覚ました。

「ねえ」

寝ぼけている彼に話しかけた。

「どうするの?」

「俺寝ちゃった、ごめんな」

「ねえ、決めて」

「?」

「やめる?する?どっちかに決めて」

そこでやっと彼はことの重大さに気付いたようだ。

しばらく考えて、言った。

「正直言って、すごく驚いた。あんな風に言うのって信じられなかった。

だから、交通事故に遭った時みたいに、心臓がドキドキして、消化できなかった。だから寝ちゃったんだ、もう対処できなくて。食事も終わってからしようと思っていたから、食べてなかった。だから体調も悪くなってしまった。

あんな風にいつも言われるの?」

わたしは小さい頃からずっと、どういうように言われたか、されたか、詳しく話した。
うちの母は特別だとは思わない。頑張って父と一緒に三人きょうだいを育ててくれたと思う。
ただ、あまり普通でない生い立ちがあり、とても偏ったところが時たま顔を出すのだ。

「リツコ、可哀想だったなあ」

まあ、慣れてますから。

「分かった。今回はたしかに俺が悪かった。俺のミスだと思う。これからのことを考えよう」

それから彼はわたしを抱きしめた。

この人に付いて行けるんだろうか?
やめよう、と言ってしまったこの人を、四度目に信じられるだろうか?

昨日の昼からなにも食べていない彼に、何か食べさせようと思って、またコンビニに行った。スープを買ってきて、お湯を沸かした。自分もお風呂に入った。明日は仕事だ。東京に戻らなければならない。

身支度を整えて、少し眠った。30分くらい。
帰る前に一度、彼の部屋に行って忘れた物を取ってこないといけない。
もしかしたら、もう行かないかもしれないから。
少し眠ったら彼が起きた。
スープを飲むように言って、少し寝た。

とても、とても疲れていた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

怒り

2007-10-06 15:41:36 | 結婚できるかな編
彼のご両親にご挨拶したあと、わたしは今まで感じたことのない幸せを感じていた。
本当に、幸せだった。
こんな日が、自分に来るなんて思っていなかった。
2時間前、わたしは世界一幸せだったのに。

彼の部屋にいくつか致命的な忘れ物をしてきたことに気づいた。

お化粧を落とすものがない。

それを買いにも行こうとも思った。

彼は寝ていた。

大体、男性は一度寝るとなかなか起きない。

少し肌寒かった。

大通りはタクシーしか走ってない。人影もほとんどない。

怒りが、心を占めていた。

なんでそんな風に振り回されなくてはいけないのか。

母の感情で、なんでここまで振り回されないといけないのか。

30過ぎの娘に対して、なんでそこまで執着するのか。

母にたいして、憎しみを抱いた。
いつまでもいつまでも、自分から生まれたからって、自分のものだと思っている、人格なんてないと思っている。いつまでも自分の思う通りにしようと思っている母。
わたしが一人でずっと働いて、自分のそばにいればいいと思っている母。
実際、わたしは仕事が大変で、体を壊しかけている現在でも「転職しないとね」と平気で言うのだ。退職、ではなく、転職。
ずっとわたしが働いていけばいいと思っている。心の底では。
母は生い立ちが複雑な人なので、心が物事をまっすぐに受け取ることができない人だ。
しかし子供たちにたいする愛情はとても深く、それは深すぎて異常なところもある。
彼女の、子供を取られる、と思ってしまう心の抵抗なのだ。
でも、もうそれに振り回されたくない。

彼にも腹が立った。
そんなことで「やめるか」なんて言うなら、最初から言わないでほしい。
こっちは仕事も不動産もこちらにしっかりあるのだ。
打ち込んできた仕事も辞めて、住まいも変えて、もう戻るまいと思ってたところに、また帰る決心をしたのだ。

もう振り回されるのは、いやだ。

わたしの人生はわたしのものだ。

誰のものでもないのだ。わたしがしたいようにするのだ。

怒りにまかせて歩いていたら、結婚式場の前に来た。
新しい結婚式場。
ここで結婚式をした彼の同期は、若いお嫁さんともう離婚の危機だそうだ。

結婚式を挙げた時は、離婚するなんて思いもしないんだろう。
結婚ってなんだろう。
結婚したいのかな、わたしは。
彼と、一緒にいたいのかな。

逆の道を行くと、わたしと彼が同じ職場だった会社がある。
見に行こうかな、最後にと思った。

でも。
それは最後にしよう、と思った。
決断するのはいつでも出来る。決めたら最後だ。その時にしよう。
そう感じた。


コンビニに寄って、ホテルへ戻った。


わたしは、わたしが、したいようにするのだ。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

はだん?

2007-10-06 15:19:40 | 結婚できるかな編
無事、彼のご家族との顔合わせをすませた私。

しかしその日の最終で東京に戻ることになっていたのだが、もうぐったり疲れて、また彼と一緒にいたくて、帰れなかった。

そのことを報告しようと母に連絡したところ。

めっちゃ怒られました

母はすっごいお天気やな人なのですが、この間彼が父に「最終で帰しますので」と言っていたことを指して「約束を破った」と激怒。

そして彼の携帯に電話して「約束を破ったんですから、最初からこうじゃ信用できない」となじった。

彼は平謝りである。

そして父にも謝った。父は「別にもう仕方ないから、ホテルをとったら連絡してください」と彼に言ってくれた。

ホテルを取る。

うちの両親、とくに母親が、結婚前に関係を持つことに対して、異常に反対しているのです。

父はしようがないなー、それについては見て見ぬふりっていう感じなのですが。
母が異常に反応する。

だから彼の部屋には泊まれないわけです。

そのあと、リツコに代わってくれ、と母が言ったわけです。
何を言われるか心配した彼が、ハンズフリーで聞いていた。

そこで母がいつもの調子でわたしを罵倒したわけです。

自分の言うことを聞かないからだ、連絡が遅い、お前はだらしないから(←そんなことないのですよ~)気をつけないといけない、などなど・・・。

うちの母は、その場で思ったことを全部口に出さないと気が済まない人で、自分の夫・子供に対して何を言ってもいいと思っている人なのですね。
子供の頃から母が怒りに支配されてひどいことを言うのが常、しかも言ったら忘れてしまう、ということが繰り返されていました。
だから、ある時からもう母の言うことは聞かないようになったんです。
いちいち子供の頃は傷ついていたなあ。
就職活動している時に「お前なんてどこにも就職できるわけない」とか言うんですよ…

わたしは、またか…と思って途中から聞いてなかったんですが。

彼はそれを聞いて、本当に、ショックを受けてしまったんですね…

「自分の子に、あんなこと言うの…」
「いつもあんなこと言われてるの?」
「信じられない…」

まあたしかにびっくりしたでしょう。だって彼のお母さんはとても優しそうな、お嬢さん育ちなかんじの方でしたから。

「いつもああだから、気にしないで」と言ってみたものの…いつもって…フォローになってないじゃん…

とりあえずホテルに電話して、予約をした。そしてチェックインしてから、家に電話した。

父は「もういいから」と言ったが、また母がわたしに対してひどいことを言う。
「妊娠したりしたら絶対許さない」とまで言われた。

何が悪いことなんだろう?
わたしにはいつも分からなかった。
以前付き合っていた彼と部屋にいたとき、母に踏み込まれたことがあった。
彼に掴みかかって母は泣き崩れた。
異常だった。
何がいけないんだろうか?わたしはもう30過ぎているのだ。

そのあと彼が来て、あまりのショックに茫然としていた。

わたしは「うちの母はああいう人なの。結婚前に関係を持つことを異常に嫌っていて、姉の時も大変だったの。それに思ったことを口にしないと気が済まない人なの。だからこれからもああいうことがあると思う。」

彼は「いつもあんな感じなのか…リツコ、可哀想だったな」と言ってくれた。
でも「俺はいいけど、うちの親にされたら困るな」と、言った。

ああそうだ。
あの優しそうなご両親に、わたしの親がそんな親だなんて知られたら…悲しい。
そんな親に育てられたのだと思われたら。
そう思ったら本当に悲しくなってしまった。

「これからもこういうことがあって、嫌な思いをするよ。
やめるなら今のうちだよ」

そう言った。

彼はずっと悩んでいた。

「もっと普通の親御さんで、喜んでくれて、うるさいことを言わないお嬢さんがたくさんいるよ。」
悲しかったけど、そう言った。実際、彼には上司のお嬢さんなどたくさんの縁談があるのを聞いていた。

「…やめるか」

と、彼が、言った。

わたしは信じられない気持だった。
他の人もいるよ、と自分で言ったけど、また、わたしはこの人に捨てられるのか。

そのあと、少し話していたが、眠くなった彼は眠りに落ちてしまった。

わたしは一人で起きていた。

そして部屋を出た。

頭にきた。
親にも、彼にも。
母に振り回されるのも、彼に振り回されるのも、もうたくさんだと思った。

一緒の部屋に、いたくなかった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする