2週間も更新をサボってしまいましてスミマセン。
読書っていうのも、けっこう気力を使うもので、こう連日暑いと、
寝る前に数ページ読んで「ああもうダメだ」といった感じ。
そんなこんなで時間はかかりましたが、どうにか読み終えた山本一力
『銀しゃり』。タイトルからもわかるように、鮨職人の話。
新吉は、江戸の京橋にある名店「吉野家」で修行し、はれて独立、
深川に「三ツ木鮨」をオープンさせます。
材料にこだわって他店よりも値段が高め、しかも深川の材木商たち
は前からの付き合いもあって、開店当初の売り上げは芳しくありま
せん。
しかしそんな中、近所に住む旗本、小西秋之助と知り合うことになり、
屋敷に植えてある柿を分けてもらい、柿を酢飯に混ぜた「柿鮨」を作っ
たところこれが当たります。
小西には、過去に蕎麦屋に金を貸して逃げられたという過去があり、
はじめこそ新吉に対しても心のどこかで「また裏切られるのでは」という
思いがあったのですが、真面目な新吉の商いぶりに、心安く接する
ように。
ちょうどこの頃、江戸では「棄捐令」という、武士が年貢米を担保に
札差から金を借りていたのですが、その借金をすべて帳消しにすると
いう出来事があり、それまで借金で苦しんでいた武家たちは喜んだの
ですが、これによって札差は豪遊を控えます。
ところが、この「豪遊」こそが江戸の経済の末端を支えてたので、棄捐令
が出てから景気が悪くなります。当然、怒った札差たちは、武家に貸し渋り
をはじめます。武家の中には、強引に金を借りようとゴロツキを雇って、
札差の方も負けじと用心棒を雇うことに。
小西秋之助の肩書きは「勘定方祐筆」、つまり小西が仕えている稲川家の
会計で、札差との折衝にあたります。
自分たちが嫌われていることをわかってない上司、とにかく借りてこいと
命令。武士の体面もあったものではありません。
そんな気苦労の中、実直な新吉との交流が楽しみになります。
さて、新吉ですが、杉作という男の子の母親、おあきと出会います。
おあきの夫はどこかに消えて帰ってこず、父親は病気で寝たきり、貧しい
暮らしをしています。
近所で三ツ木鮨の評判を聞いたおあきは、なけなしの金で鮨を買います。
内情を聞いた新吉は、はじめは同情しますが、やがて・・・
新吉の親友で魚の棒手振(行商)、順平との話の中で「御直買」という
人たちが登場します。
江戸城では1000人の武士が”出社”していて、さらに城内在住の将軍家、
大奥などの毎日の賄いを用意するのも大変で、そこで「御直買」が日本橋
の魚市場に出向いて、大量に魚を仕入れるのです。
ですが、不漁の日などは仲買人が買った魚を「御用だ」といって横取り
するなど、評判は悪かったようです。
この作品で興味深かったのが、小西秋之助と新吉が手助けをしようとしますが
仇となって帰ってくるところ。甘やかすことと人情との線引きは微妙で難しい
ですね。
読書っていうのも、けっこう気力を使うもので、こう連日暑いと、
寝る前に数ページ読んで「ああもうダメだ」といった感じ。
そんなこんなで時間はかかりましたが、どうにか読み終えた山本一力
『銀しゃり』。タイトルからもわかるように、鮨職人の話。
新吉は、江戸の京橋にある名店「吉野家」で修行し、はれて独立、
深川に「三ツ木鮨」をオープンさせます。
材料にこだわって他店よりも値段が高め、しかも深川の材木商たち
は前からの付き合いもあって、開店当初の売り上げは芳しくありま
せん。
しかしそんな中、近所に住む旗本、小西秋之助と知り合うことになり、
屋敷に植えてある柿を分けてもらい、柿を酢飯に混ぜた「柿鮨」を作っ
たところこれが当たります。
小西には、過去に蕎麦屋に金を貸して逃げられたという過去があり、
はじめこそ新吉に対しても心のどこかで「また裏切られるのでは」という
思いがあったのですが、真面目な新吉の商いぶりに、心安く接する
ように。
ちょうどこの頃、江戸では「棄捐令」という、武士が年貢米を担保に
札差から金を借りていたのですが、その借金をすべて帳消しにすると
いう出来事があり、それまで借金で苦しんでいた武家たちは喜んだの
ですが、これによって札差は豪遊を控えます。
ところが、この「豪遊」こそが江戸の経済の末端を支えてたので、棄捐令
が出てから景気が悪くなります。当然、怒った札差たちは、武家に貸し渋り
をはじめます。武家の中には、強引に金を借りようとゴロツキを雇って、
札差の方も負けじと用心棒を雇うことに。
小西秋之助の肩書きは「勘定方祐筆」、つまり小西が仕えている稲川家の
会計で、札差との折衝にあたります。
自分たちが嫌われていることをわかってない上司、とにかく借りてこいと
命令。武士の体面もあったものではありません。
そんな気苦労の中、実直な新吉との交流が楽しみになります。
さて、新吉ですが、杉作という男の子の母親、おあきと出会います。
おあきの夫はどこかに消えて帰ってこず、父親は病気で寝たきり、貧しい
暮らしをしています。
近所で三ツ木鮨の評判を聞いたおあきは、なけなしの金で鮨を買います。
内情を聞いた新吉は、はじめは同情しますが、やがて・・・
新吉の親友で魚の棒手振(行商)、順平との話の中で「御直買」という
人たちが登場します。
江戸城では1000人の武士が”出社”していて、さらに城内在住の将軍家、
大奥などの毎日の賄いを用意するのも大変で、そこで「御直買」が日本橋
の魚市場に出向いて、大量に魚を仕入れるのです。
ですが、不漁の日などは仲買人が買った魚を「御用だ」といって横取り
するなど、評判は悪かったようです。
この作品で興味深かったのが、小西秋之助と新吉が手助けをしようとしますが
仇となって帰ってくるところ。甘やかすことと人情との線引きは微妙で難しい
ですね。