この作品は、短編集となっております。それぞれ
書かれた時期がけっこうバラバラで、テーマも
違っているので、(こういう一冊です)と説明は
できないのですが、いろいろな料理を味わえる
ビュッフェに来たような。
ある大名家の奥女中でのゴタゴタ、いや、話は
(毒殺計画)というのですからゴタゴタなんて
レベルではありません。
側室の娘の嫁ぎ先が正室の娘の嫁ぎ先よりも格上
ということで正室は側室の娘を毒殺する計画を
自分のお付きにさせようと・・・という「激情」。
十兵衛という侍は、田中源四郎という侍を探して
います。というのも、ふたりは同じ藩で、この藩
の殿さまが源四郎の婚約者を妾にしたいといって
きますが婚約者は自害。怒った源四郎は殿さまを
ぶん殴って、藩を逃走。
殿さまは藩内で剣の実力者の十兵衛に「源四郎を
探して討て!」と命令しますが・・・という表題作
の「上意討ち」。
奉公人、音松に手紙が。近所の娘(おその)からで、
「親の決めた縁談は嫌なので私を連れて一緒に逃げて」
というもの。ところがこれ、音松と同じ店で奉公してる
先輩のイタズラだったのです。
ですが、(おその)にずっと想いを抱いてきた音吉は、
なんと店の金を持って、手紙に書かれていた待ち合わせ
場所へ・・・という「恋文」。
こちらもイタズラの恋文ですが、とある藩士の娘(千代)
が恋文をもらいます。千代は大柄で剣の腕もあるという
ことで嫁に行きそびれています。で、千代はこの恋文を
本気にしますが、ウソと分かって、なんと自害し・・・
という「刃傷」。
東海道中の宿場でうどん屋をやっている彦太郎と源七。
ある男の客が来ますが、源七はこの客を(もしや・・・?)
と警戒。彦太郎と源七、かつては侠客で、その客を
自分たちの追っ手とにらんだのですが・・・という
「雨の杖つき坂」。
こちらは、戦国時代の剣豪、塚原卜伝の話「卜伝最後
の旅」。
常陸の国、鹿島神宮の祠官の家に生まれた塚原卜伝。
無敗の剣士として名を馳せ、室町将軍や諸大名などに
剣を教えます。
武田信玄の領国、甲斐に訪れた卜伝は七十三歳。
(川中島の戦い)にて、かの有名な、上杉謙信が単身
で信玄の本陣に突入し、馬上から斬りかかってきて、
信玄が軍配で刀を止めるというあのシーン、あそこに
卜伝がいて、卜伝のおかげで信玄が命拾いし・・・
他にも室町将軍、足利義輝との話もあります。
「剣友 渡辺昇」は、幕末の肥前(今の長崎、佐賀)
・大村藩士、渡辺昇の話。
江戸の剣道場(練兵館)に修行に来ていた渡辺は、
剣の腕こそ道場内で塾頭と互角の実力ですが、江戸
で(酒と女)をおぼえてしまい、堕落な日々。
この渡辺、牛込にある小さな道場に道場破り、他流
試合が来ると(助っ人)に駆けつけるのです。
この小さな道場、(近藤道場)といい、主は近藤勇。
時は幕末で、渡辺は帰郷し、そして京都へ。
近藤道場の人たちも幕府の(浪士隊募集)に入り
京都へ・・・
練兵館と長州はつながりがあり(前の塾頭は桂小五郎)、
渡辺は京に来ていた長州藩士や坂本龍馬らと交流。
そんな中、新選組に「肥前の渡辺昇を暗殺せよ」
との密命があり・・・
「色」は、新選組副長、土方歳三の話。
無口で真面目、隊内の規律を徹底する「鬼の副長」と
呼ばれたほどですが、ある日、刺客に襲われた土方は
これを返り討ちにします。ところが刺客にとどめを
刺そうとしたところ、女が割って入ってきます。
刺客を殺さず、その場を去る土方。
この女、(お房)という未亡人でしたが、土方はその
後も(お房)のことが気になり・・・
「龍尾の剣」は、新選組の隊員、永倉新八の話。
もとは松前藩士の息子で、剣の修業に出て、なんだ
かんだで江戸の近藤道場に落ち着きます。そこで、
門人の藤堂平助と出会うのですが、どうもウマが
合わないといいますか、浪士隊募集で京都へ行き
新選組になりますが、そこで新八お気に入りの
女が藤堂に惚れていると知った新八は、(池田屋
事件)での斬り込みのさい、怪我を負った藤堂を
見て、助けに行こうとしますが、一瞬(こやつが
死ねば)と見殺しにしよう思った新八ですが・・・
北国の某藩の江戸留守居役、大原宋兵衛は、ここの
ところ毎朝、胃痛で目が覚めます。昨夜も何者かに
暗殺されかけます。宋兵衛の領国の(殿さま)は、
藩の財政など知ったことかと濫費にあけくれ、急死
します。厄介な問題として、跡継ぎがまだ四歳と若
く、幕府としては前領主の(素行の悪さ)を問題視
していて、これを機に「跡継ぎが若すぎるから藩は
取り潰し」と決定されかねず、宋兵衛は、幕府の役人
にお願いしたいのですが、こういうケースでの相場
は二百両ほど必要なのですが、藩の金庫はスッカラ
カン。さらに藩内では前の(ばか殿)の贔屓だった
家臣が相次いで殺されていて、宋兵衛の命も狙われて
いるのです・・・という「疼痛二百両」。
幕府の(御奏者番)、筒井土岐守は、内藤家の中屋敷
に招待されます。内藤家の中屋敷といえば現在の新宿
御苑で、この屋敷内には田畑があり百姓も住んでいた
そうです。で、土岐守は酔い覚ましに庭園を歩いてい
ると、百姓の女房が身体を洗っていて、それを見た
土岐守は女房に襲いかかってしまい、なんと、それを
止めようとした女房の亭主を斬ってしまいます。
この醜聞はあっという間に拡がって、将軍や老中の
耳にも入り、土岐守は東北の山国に国替えさせられ、
石高も減らされ・・・という「晩春の夕暮れに」。
どの話も途中までしか、4コマ漫画でいうところの
2コマ目ぐらいまでしかあらすじを書いてないので、
なんだか絶望的な話に思われてしまいますが、中には
ぶっちゃけ夢も希望も無いオチという話もありますが、
(めでたしめでたし)的なのもあります、一応。
書かれた時期がけっこうバラバラで、テーマも
違っているので、(こういう一冊です)と説明は
できないのですが、いろいろな料理を味わえる
ビュッフェに来たような。
ある大名家の奥女中でのゴタゴタ、いや、話は
(毒殺計画)というのですからゴタゴタなんて
レベルではありません。
側室の娘の嫁ぎ先が正室の娘の嫁ぎ先よりも格上
ということで正室は側室の娘を毒殺する計画を
自分のお付きにさせようと・・・という「激情」。
十兵衛という侍は、田中源四郎という侍を探して
います。というのも、ふたりは同じ藩で、この藩
の殿さまが源四郎の婚約者を妾にしたいといって
きますが婚約者は自害。怒った源四郎は殿さまを
ぶん殴って、藩を逃走。
殿さまは藩内で剣の実力者の十兵衛に「源四郎を
探して討て!」と命令しますが・・・という表題作
の「上意討ち」。
奉公人、音松に手紙が。近所の娘(おその)からで、
「親の決めた縁談は嫌なので私を連れて一緒に逃げて」
というもの。ところがこれ、音松と同じ店で奉公してる
先輩のイタズラだったのです。
ですが、(おその)にずっと想いを抱いてきた音吉は、
なんと店の金を持って、手紙に書かれていた待ち合わせ
場所へ・・・という「恋文」。
こちらもイタズラの恋文ですが、とある藩士の娘(千代)
が恋文をもらいます。千代は大柄で剣の腕もあるという
ことで嫁に行きそびれています。で、千代はこの恋文を
本気にしますが、ウソと分かって、なんと自害し・・・
という「刃傷」。
東海道中の宿場でうどん屋をやっている彦太郎と源七。
ある男の客が来ますが、源七はこの客を(もしや・・・?)
と警戒。彦太郎と源七、かつては侠客で、その客を
自分たちの追っ手とにらんだのですが・・・という
「雨の杖つき坂」。
こちらは、戦国時代の剣豪、塚原卜伝の話「卜伝最後
の旅」。
常陸の国、鹿島神宮の祠官の家に生まれた塚原卜伝。
無敗の剣士として名を馳せ、室町将軍や諸大名などに
剣を教えます。
武田信玄の領国、甲斐に訪れた卜伝は七十三歳。
(川中島の戦い)にて、かの有名な、上杉謙信が単身
で信玄の本陣に突入し、馬上から斬りかかってきて、
信玄が軍配で刀を止めるというあのシーン、あそこに
卜伝がいて、卜伝のおかげで信玄が命拾いし・・・
他にも室町将軍、足利義輝との話もあります。
「剣友 渡辺昇」は、幕末の肥前(今の長崎、佐賀)
・大村藩士、渡辺昇の話。
江戸の剣道場(練兵館)に修行に来ていた渡辺は、
剣の腕こそ道場内で塾頭と互角の実力ですが、江戸
で(酒と女)をおぼえてしまい、堕落な日々。
この渡辺、牛込にある小さな道場に道場破り、他流
試合が来ると(助っ人)に駆けつけるのです。
この小さな道場、(近藤道場)といい、主は近藤勇。
時は幕末で、渡辺は帰郷し、そして京都へ。
近藤道場の人たちも幕府の(浪士隊募集)に入り
京都へ・・・
練兵館と長州はつながりがあり(前の塾頭は桂小五郎)、
渡辺は京に来ていた長州藩士や坂本龍馬らと交流。
そんな中、新選組に「肥前の渡辺昇を暗殺せよ」
との密命があり・・・
「色」は、新選組副長、土方歳三の話。
無口で真面目、隊内の規律を徹底する「鬼の副長」と
呼ばれたほどですが、ある日、刺客に襲われた土方は
これを返り討ちにします。ところが刺客にとどめを
刺そうとしたところ、女が割って入ってきます。
刺客を殺さず、その場を去る土方。
この女、(お房)という未亡人でしたが、土方はその
後も(お房)のことが気になり・・・
「龍尾の剣」は、新選組の隊員、永倉新八の話。
もとは松前藩士の息子で、剣の修業に出て、なんだ
かんだで江戸の近藤道場に落ち着きます。そこで、
門人の藤堂平助と出会うのですが、どうもウマが
合わないといいますか、浪士隊募集で京都へ行き
新選組になりますが、そこで新八お気に入りの
女が藤堂に惚れていると知った新八は、(池田屋
事件)での斬り込みのさい、怪我を負った藤堂を
見て、助けに行こうとしますが、一瞬(こやつが
死ねば)と見殺しにしよう思った新八ですが・・・
北国の某藩の江戸留守居役、大原宋兵衛は、ここの
ところ毎朝、胃痛で目が覚めます。昨夜も何者かに
暗殺されかけます。宋兵衛の領国の(殿さま)は、
藩の財政など知ったことかと濫費にあけくれ、急死
します。厄介な問題として、跡継ぎがまだ四歳と若
く、幕府としては前領主の(素行の悪さ)を問題視
していて、これを機に「跡継ぎが若すぎるから藩は
取り潰し」と決定されかねず、宋兵衛は、幕府の役人
にお願いしたいのですが、こういうケースでの相場
は二百両ほど必要なのですが、藩の金庫はスッカラ
カン。さらに藩内では前の(ばか殿)の贔屓だった
家臣が相次いで殺されていて、宋兵衛の命も狙われて
いるのです・・・という「疼痛二百両」。
幕府の(御奏者番)、筒井土岐守は、内藤家の中屋敷
に招待されます。内藤家の中屋敷といえば現在の新宿
御苑で、この屋敷内には田畑があり百姓も住んでいた
そうです。で、土岐守は酔い覚ましに庭園を歩いてい
ると、百姓の女房が身体を洗っていて、それを見た
土岐守は女房に襲いかかってしまい、なんと、それを
止めようとした女房の亭主を斬ってしまいます。
この醜聞はあっという間に拡がって、将軍や老中の
耳にも入り、土岐守は東北の山国に国替えさせられ、
石高も減らされ・・・という「晩春の夕暮れに」。
どの話も途中までしか、4コマ漫画でいうところの
2コマ目ぐらいまでしかあらすじを書いてないので、
なんだか絶望的な話に思われてしまいますが、中には
ぶっちゃけ夢も希望も無いオチという話もありますが、
(めでたしめでたし)的なのもあります、一応。