大沢在昌といえば、宮部みゆきファンにとっては同じ事務所の
先輩作家ですね。でもなぜか今まで作品はスルーしてきました。
たいした理由ではないのですが、この『新宿鮫』シリーズはけっ
こう出てまして、なかなか第1弾に出会えなかった、というこ
とで、たまたま本屋にブラッと入っていったら、お目当ての第
1弾があったので、よし、買おう、と。
警視庁の所轄内で1,2を争う過酷な現場、新宿署の刑事、鮫島。
鮫島はひとりで捜査にあたり(通常はふたり一組)、音も立てず
犯人にすっと寄って、サメのごとく食らいつく、いつの間にか、
付いたあだ名が「新宿鮫」。
もともと彼は上級試験に合格して入庁してきた、いわばキャリア組
だったのですが、出世の途中、とある地方県の警察署に出向したと
きに、不正を暴こうとして逆に殺されかけて、さらに、同期で入庁
した人が、警視庁の根幹を揺るがす内部情報を鮫島に託して自殺し
てしまい、幹部クラスにとって都合の悪い情報を鮫島は握ってしま
った、というわけで、キャリアであるにもかかわらず新宿署に飛ば
され、腫れ物を扱うかのように同僚はよりつかず、いつのまにか
遊軍の刑事となってしまったのです。
しかし、検挙率が高く、体よく辞めさせるわけにもいかず、新宿の
犯罪組織から怖れられています。
というバックグラウンドなのですが、第1弾では、新宿で警官が
連続して射殺されるという事件が起こります。犯人は警察に恨みを
持つ何者か。
鮫島は銃の出所を探るためにヤクザに聞きまわるなか、どうやら
銃の密造でつい最近、釈放されたばかりの木津という男が作った
改造銃なのではないかと知り、木津を探します。
そして、この捜査と同時進行で、警察に憧れまくってる男が出てく
るのですが、彼はいわゆるマニアで、ある夜、新宿で殺人事件の現場
に出くわし、興奮して様子を見ています。彼は立ち入り禁止、KEEP
OUTと書かれた黄色いテープの“内側”に入りたいという願望を持っ
ていますが、それなら試験を受けて警察官になればいいのに、でも
なれない理由があるのかどうか。
さらに鮫島の「彼女」、晶というアマチュアバンドのボーカルが
出てくるのですが、三十代後半の鮫島に対し、十歳以上年下で、
年齢の問題を抜きにしても、いみじくも刑事に対して「てめえ」
だの「~すんのかよ」といった口のきき方。この晶も何やかやで
連続警官射殺事件に巻き込まれてしまうのですが・・・
この作品が書かれた時点でシリーズ化されて長く続くことになる
と思っていたのかどうか分かりませんが、顔見せ的に鮫島と周り
の人物の描かれ方が素晴らしく、鮫島を嫌うキャリア官僚、署内
で鮫島の味方になってくれる上司や鑑識などなど。
新宿という雑然に詰め込まれた“箱”も、空気感までが伝わって
くるようです。
もう、はやく第2第3シリーズが読みたくなってきてます。ただ、
こういったシリーズものは回を重ねていくごとに敵もレベルアップ
してきて、最終的に人間じゃないのと闘うようになってしまうとい
うのはありがちですが、まあ新宿に巣食う悪しかり、金や権力の
亡者しかり、もはや“人間”ではないですけど、こういうのと今後、
相対していくんですかね。
先輩作家ですね。でもなぜか今まで作品はスルーしてきました。
たいした理由ではないのですが、この『新宿鮫』シリーズはけっ
こう出てまして、なかなか第1弾に出会えなかった、というこ
とで、たまたま本屋にブラッと入っていったら、お目当ての第
1弾があったので、よし、買おう、と。
警視庁の所轄内で1,2を争う過酷な現場、新宿署の刑事、鮫島。
鮫島はひとりで捜査にあたり(通常はふたり一組)、音も立てず
犯人にすっと寄って、サメのごとく食らいつく、いつの間にか、
付いたあだ名が「新宿鮫」。
もともと彼は上級試験に合格して入庁してきた、いわばキャリア組
だったのですが、出世の途中、とある地方県の警察署に出向したと
きに、不正を暴こうとして逆に殺されかけて、さらに、同期で入庁
した人が、警視庁の根幹を揺るがす内部情報を鮫島に託して自殺し
てしまい、幹部クラスにとって都合の悪い情報を鮫島は握ってしま
った、というわけで、キャリアであるにもかかわらず新宿署に飛ば
され、腫れ物を扱うかのように同僚はよりつかず、いつのまにか
遊軍の刑事となってしまったのです。
しかし、検挙率が高く、体よく辞めさせるわけにもいかず、新宿の
犯罪組織から怖れられています。
というバックグラウンドなのですが、第1弾では、新宿で警官が
連続して射殺されるという事件が起こります。犯人は警察に恨みを
持つ何者か。
鮫島は銃の出所を探るためにヤクザに聞きまわるなか、どうやら
銃の密造でつい最近、釈放されたばかりの木津という男が作った
改造銃なのではないかと知り、木津を探します。
そして、この捜査と同時進行で、警察に憧れまくってる男が出てく
るのですが、彼はいわゆるマニアで、ある夜、新宿で殺人事件の現場
に出くわし、興奮して様子を見ています。彼は立ち入り禁止、KEEP
OUTと書かれた黄色いテープの“内側”に入りたいという願望を持っ
ていますが、それなら試験を受けて警察官になればいいのに、でも
なれない理由があるのかどうか。
さらに鮫島の「彼女」、晶というアマチュアバンドのボーカルが
出てくるのですが、三十代後半の鮫島に対し、十歳以上年下で、
年齢の問題を抜きにしても、いみじくも刑事に対して「てめえ」
だの「~すんのかよ」といった口のきき方。この晶も何やかやで
連続警官射殺事件に巻き込まれてしまうのですが・・・
この作品が書かれた時点でシリーズ化されて長く続くことになる
と思っていたのかどうか分かりませんが、顔見せ的に鮫島と周り
の人物の描かれ方が素晴らしく、鮫島を嫌うキャリア官僚、署内
で鮫島の味方になってくれる上司や鑑識などなど。
新宿という雑然に詰め込まれた“箱”も、空気感までが伝わって
くるようです。
もう、はやく第2第3シリーズが読みたくなってきてます。ただ、
こういったシリーズものは回を重ねていくごとに敵もレベルアップ
してきて、最終的に人間じゃないのと闘うようになってしまうとい
うのはありがちですが、まあ新宿に巣食う悪しかり、金や権力の
亡者しかり、もはや“人間”ではないですけど、こういうのと今後、
相対していくんですかね。