晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

井上靖 『後白河院』

2024-10-29 | 日本人作家 あ

もう十月も終わりですね。今年もあと二ヶ月「しかない」のか「もある」のか、コップの中に水が半分ってやつですね。物事を悲観的に見るのも楽観的に見るのも結局は自分次第なんだってことですか。とはいえ精神的に余裕がないと気持ちの切り替えすらできないというケースもありますので「結局は自分次第」って人によっては重い言葉になってしまいます。気をつけないといけませんね。

以上、はりきっていきましょう。

さて、井上靖さん。今年の大河ドラマが紫式部で、この作品はそのちょっと後になりますね。『後白河院』は歴史だと後白河法皇という名前で出ていることが多いと思いますが、まずその前に天皇が存命中に譲位したら上皇になります。で、上皇になって出家したら法皇になります。法皇が上皇より上というわけではありません。

 

後白河院の六代前の後三条天皇の前までは、貴族の藤原氏が天皇家と縁戚関係になって天皇が幼いときに摂政、大人になると関白となって「摂関政治」と呼ばれ、政治の実権を握るようになります。しかしその栄華も続かず親戚関係が途絶えてしまうと、後三条天皇は藤原氏の権力を天皇の管轄にしていきます。そして後三条天皇の皇子の白河天皇が即位、さらに白河天皇は皇位を譲ったあとに上皇になります。この時代あたりから、摂関政治から「院政」へと政治形態が変わります。

 

そして鳥羽天皇が崇徳天皇に譲位して上皇になり、ここからがものすごく複雑でめんどくさいのですが、長期実権を目論んだ鳥羽上皇はまだ三歳の近衛天皇を即位させて崇徳天皇が譲位して崇徳上皇に、そして鳥羽上皇は鳥羽法皇になります。近衛天皇というのは鳥羽法皇の実子なのですが崇徳上皇にとっては異母弟で、崇徳上皇の養子になります。しかし病弱でわずか十七歳で亡くなると、鳥羽法皇の四男の雅仁親王が後白河天皇になります。こうなると崇徳上皇はいつまでたっても自分に実権が回ってこないので後白河天皇と対立します。これが「保元の乱」で、このときに実際に対決したのは武士で、それまで政治のゴタゴタは時間がかかってドロドロしたものでしたが、武士の対決だとあっという間に勝敗が決まって崇徳上皇側が負けて島流し。勝った後白河天皇側についた平清盛と源義朝は存在感が増していきます。

 

ところが、後白河天皇が守仁親王に譲位して後白河上皇、守仁親王は二条天皇になると今度は後白河派と二条派が対立。これが「平治の乱」で、日本史でおなじみの、平清盛が勝って源義朝が負けて息子の頼朝は伊豆に流され、清盛は太政大臣に出世、自分の娘を天皇に嫁がせてとかつての藤原氏みたいなことになります。例の「平家にあらずんばズンバドゥビドゥバー」でしたっけ、ちなみにこのとき清盛は二条派になって後白河上皇は寺に逼塞します。

しかしここで終わらないのが後白河、二条派の政権が危うくなると清盛がさらに力こそパワーとなりますが、世間ではアンチ平家の機運が高まってきて「鹿ケ谷の陰謀」と呼ばれるクーデターが起きますが首謀者が後白河院で幽閉されてしまい・・・と、まあツラツラと書いていくときりが無いのでここらへんにしますが、この作品はあくまでも後白河院が中心ですので、清盛の死、木曽義仲の都入りや頼朝が東国で力をつけてきて、そして義経が逃げる平氏を追いつめて、その義経が頼朝に追われ・・・というあたりはサラッと紹介しているくらい。

物語の構成は、近くにいた人たちの証言というか回想といった形式になっていて、途中で一人称が変わって「あれ?」となったのですが、証言者が変わったと気付きました。皇室は「禁裏」というくらいですから何重にもベールに覆われて実情みたいなのは知らされていませんし、さらに千年前。徳川家康とかもそうですが、最終的に生き残るのってすごいですよね。

 

 

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久しぶりの自転車で妄想オランダ旅行

2024-10-21 | 自転車
久しぶりの自転車ブログです。
 
愛車のルノーでオランダへ。風車です。
オランダといえばポルダー(干拓地)。
ラベンダーランドに着きました。ローズガーデンも。
 
来る途中でベーカリーに寄ってパンを買って、ミルクティーといっしょにベンチに座ってランチ。ベンチもラベンダー色。
冷たい風が強くなってきて小雨もパラッと降ってきたので、とっとと帰ります。
ついでに風車の裏側。金土日と祝日は風車の中が見学可能なんですって。
・・・はい。妄想オランダ旅行です。おしまい。
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ディーン・クーンツ 『何ものも恐れるな』

2024-10-09 | 海外作家 カ
10月です。関東南部はあっという間に涼しくなってしまいました。朝晩は肌寒いくらい。お鍋や煮物の美味しい季節ですね。オーブン料理もいいですね。暑い時期にはオーブンを加熱してるときに台所にいるのも嫌ですから料理好きには良い季節。梅雨とか夏場は食材が傷んだり腐ったりカビはえたりして管理も大変だし仕事に持っていくお弁当も気を使うし。夏が終わった途端に文句です。ま、冬が終わっても寒いことの文句をタラタラ言うんでしょうけど。

以上、一年中文句。

さて、ディーン・クーンツ。最後に読んだのはいつ以来だろうと当ブログを見てみたらなんと2013年。個人的に好きな海外作家として挙げているのに10年以上も読んでないとは放置プレイにもほどがあります。

ムーンライト・ベイという町に住む28歳のクリスという青年は、愛犬オーソンと寝ていたときに病院から電話で父親がガンで死亡したという知らせを受けます。じつは2年前に母親も事故で亡くなっています。夜中なのですが、クリスは外に出るのにサングラスをかけます。というのも、クリスは紫外線を長時間浴びると皮膚ガンになったり失明するという特異体質で、通常は短命なのですが、20年以上生きるのは(ごくまれ)なのだそう。

葬儀場の職員が来て、クリスは霊安室の外にいると、中から意味のわからない会話が。「この男はいったい誰だ?」「浮浪者だ」「こんなところで・・・」「頼むから始末をつけてくれないか」クリスは気になって中をそっと見たらベッドには父親ではないスキンヘッドの大男が。葬儀場に着いて「父親の顔を見せてください」と頼んでも「いやもう火葬の準備に入ってしまって・・・」というので、これはおかしいと思い、隙をみて遺体の布をめくるとスキンヘッドの大男。クリスは葬儀場から逃げ出します。家に戻ろうとすると怪しい車が自分を追っているのに気づきます。家に戻って留守番電話を聞くと、父の看護師のアンジェラから「話があるの、必ず来て」と伝言が。家の中にオーソンがいないので探すと庭を一心不乱に掘っていて、呼びかけても振り向きません。様子がおかしいと思いつつも出かける支度をしようとクリスの部屋に入るとベッドの上に父の銃が。なぜこんなところに?と不思議がるクリスでしたが銃をポケットに入れてアンジェラの家へ。

そこでアンジェラから夫が自殺した原因、謎の猿が家の中に入ってきて襲われそうになった、などという話を聞きますが、核心部分になると黙ります。ある書類を持ってくるとアンジェラが2階に行くと大きな音が。クリスは2階に行くと、そこには首を切られたアンジェラが・・・

犯人はまだ家の中にいるはずですがなんとか外に出て家に火を付けて逃げます。それからも、親友ボビーの家にも奇妙な猿が来ていたり、葬儀場の職員が教会の神父を殴っていたり、警察署長に呼び止められてピストルを向けられて「中にはいるんだ、クリス」と脅されて・・・

ムーンライト・ベイではなにが起こっているというのか。話を聞いていくと、どうやた母親が生前に研究していたことと米軍の基地になにか関係が。

久しぶりにクーンツを読みましたが、相変わらずなんともいえないB級ホラーのテイスト満載で面白かったです。翻訳は賛否の分かれる「超訳」ですが勢いがあってクーンツの「味」を損なってないように感じました。ただ、ちょっと気になったのが、ネタバレになりますがクリスが警察署長を銃で撃って、それを他の人に言うと「お前は保安官を撃った」と署長ではなく保安官と言い換えたのでクリスは「ああ、俺は保安官を撃った、保安官助手ではないからな、念のため」という会話の部分で、これはボブ・マーリーの曲でエリック・クラプトンのカバーで有名な「アイ・ショット・ザ・シェリフ」の歌詞なのですが、それについて触れてないので、あえて触れずに「分かる人には分かる」という意味なのですかね。
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