今までに読んだ(といっても少ないですが)江戸川乱歩賞受賞作でいちばん
好きなのが、藤原伊織の「テロリストのパラソル」で、もっとも、直木賞を
同時受賞したということで、そのレベルの高さは衆目の一致するところで
あったわけですが、そんな藤原伊織、作家生活があまり長くはなかった
ために作品も少ないので、ほとんど読んでると思ってたんですけど、この
『シリウスの道』は未読でした。
小説の舞台は広告代理店。業界では中堅の東邦広告の副部長、辰村は、会社で
それなりの実績を残してきたものの、一部の上層部と衝突があったりして、
年齢も30代後半、なんとなく微妙な立場。そんな辰村は、現職の国会議員
の息子で元銀行マンの戸塚の”お守り”を任され、年下の、しかし仕事は抜群
にキレる女性上司の立花らと業務を切り盛り。
そんなある日のこと、立花から、国内の電機メーカーのトップ五指に入る大東
電機が新規の広告のコンペがあるという話が出ます。
しかし、東邦広告では大東電機を担当しているのは銀座の第六営業で、この話
の”ワケあり”とされるのは、大東電機から、辰村のいる京橋第十二営業に
名指しで話が来たのです。
当然、銀座六営にとってはメンツが潰される格好で、しかもここの部長は前
から辰村を嫌っている細川。早くも京橋十二営に嫌がらせを企てているなんて
いう話もちらほら。
しかし、辰村はどうにも乗り気ではありません。コンペの説明会に行っても
”彼”に会わずに済んだ、といった様子。大東電機に、会いたくない知り合い
でもいるのか・・・
こんな広告業界の話と交差するように、辰村の子ども時代の話が。彼は大阪に
住んでいて、義理の父は画家志望で、子どもたちに絵画教室を開いています。
その教室に通う辰村と仲良しの、近所に住む勝哉と明子。
3人の家族とも生活は苦しく、長屋住まい。中でも明子の家は、父親が事故を
おこして運転手をクビになり、それ以来働かず酒びたりという荒んだ状況。
そして、どうやら明子は父から暴力を受けているらしく、勝哉と辰村が明子の
家に行くと様子がおかしく、家の中に飛び込むと、そこには首をしめられて
服がはだけた明子の姿が・・・
そこで辰村と勝哉は、明子の父の殺害計画を立てるのです・・・
さて、画家志望の辰村の義父は自殺して、それからなんやかやあって辰村は
東京に出て、広告代理店に就職。明子は、父親が家の近くの墓地で「足を滑ら
して階段から転落し事故死」したあと親戚のもとに。
それからなんと明子はアイドル歌手になります。
しかし芸能人の期間は短く、某大手電機会社の御曹司と結婚し、引退・・・
そして、その明子の夫、大東電機の常務、半沢から辰村に電話がかかって
きます。電話では話せない、会ってほしいということで、ホテルの一室に
向かう辰村。
そこで半沢から一枚の紙を渡されます。そこには、半沢の妻、明子と亡父
との関係をバラすという脅迫のようなことが書かれていて・・・
この手紙を出したのは誰か。辰村ではないと半沢は確証を得ますが、明子
と父親との関係を知っている残りの一人は勝哉しかいないのですが、しかし
勝哉はこんな卑劣なことをする人間ではなく・・・
文中で描かれている広告業界の世界は、さすが作家になる前は電通マンだった
藤原伊織、表の話からウラの話まで、深く説明されていて、この本を読み終わる
ころには”ちょっとした業界ツウ”気分になってしまいました。
そして、前述の「テロリストのパラソル」の話がちらっと出てきます。
おなじみの、酒のツマミがホットドッグだけのバーも。
好きなのが、藤原伊織の「テロリストのパラソル」で、もっとも、直木賞を
同時受賞したということで、そのレベルの高さは衆目の一致するところで
あったわけですが、そんな藤原伊織、作家生活があまり長くはなかった
ために作品も少ないので、ほとんど読んでると思ってたんですけど、この
『シリウスの道』は未読でした。
小説の舞台は広告代理店。業界では中堅の東邦広告の副部長、辰村は、会社で
それなりの実績を残してきたものの、一部の上層部と衝突があったりして、
年齢も30代後半、なんとなく微妙な立場。そんな辰村は、現職の国会議員
の息子で元銀行マンの戸塚の”お守り”を任され、年下の、しかし仕事は抜群
にキレる女性上司の立花らと業務を切り盛り。
そんなある日のこと、立花から、国内の電機メーカーのトップ五指に入る大東
電機が新規の広告のコンペがあるという話が出ます。
しかし、東邦広告では大東電機を担当しているのは銀座の第六営業で、この話
の”ワケあり”とされるのは、大東電機から、辰村のいる京橋第十二営業に
名指しで話が来たのです。
当然、銀座六営にとってはメンツが潰される格好で、しかもここの部長は前
から辰村を嫌っている細川。早くも京橋十二営に嫌がらせを企てているなんて
いう話もちらほら。
しかし、辰村はどうにも乗り気ではありません。コンペの説明会に行っても
”彼”に会わずに済んだ、といった様子。大東電機に、会いたくない知り合い
でもいるのか・・・
こんな広告業界の話と交差するように、辰村の子ども時代の話が。彼は大阪に
住んでいて、義理の父は画家志望で、子どもたちに絵画教室を開いています。
その教室に通う辰村と仲良しの、近所に住む勝哉と明子。
3人の家族とも生活は苦しく、長屋住まい。中でも明子の家は、父親が事故を
おこして運転手をクビになり、それ以来働かず酒びたりという荒んだ状況。
そして、どうやら明子は父から暴力を受けているらしく、勝哉と辰村が明子の
家に行くと様子がおかしく、家の中に飛び込むと、そこには首をしめられて
服がはだけた明子の姿が・・・
そこで辰村と勝哉は、明子の父の殺害計画を立てるのです・・・
さて、画家志望の辰村の義父は自殺して、それからなんやかやあって辰村は
東京に出て、広告代理店に就職。明子は、父親が家の近くの墓地で「足を滑ら
して階段から転落し事故死」したあと親戚のもとに。
それからなんと明子はアイドル歌手になります。
しかし芸能人の期間は短く、某大手電機会社の御曹司と結婚し、引退・・・
そして、その明子の夫、大東電機の常務、半沢から辰村に電話がかかって
きます。電話では話せない、会ってほしいということで、ホテルの一室に
向かう辰村。
そこで半沢から一枚の紙を渡されます。そこには、半沢の妻、明子と亡父
との関係をバラすという脅迫のようなことが書かれていて・・・
この手紙を出したのは誰か。辰村ではないと半沢は確証を得ますが、明子
と父親との関係を知っている残りの一人は勝哉しかいないのですが、しかし
勝哉はこんな卑劣なことをする人間ではなく・・・
文中で描かれている広告業界の世界は、さすが作家になる前は電通マンだった
藤原伊織、表の話からウラの話まで、深く説明されていて、この本を読み終わる
ころには”ちょっとした業界ツウ”気分になってしまいました。
そして、前述の「テロリストのパラソル」の話がちらっと出てきます。
おなじみの、酒のツマミがホットドッグだけのバーも。