晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

宇江佐真理 『幻の声 髪結い伊三次捕物余話』

2015-02-18 | 日本人作家 あ
なんか時代小説が読みたくて本屋へ行き、でも買おうとしてた目当ての
作家の本が無くて、でも手ぶらで買えるのもなんだなということで、ど
うせならまだ読んだことの無い人の作品でも、と買ってみました。

裏表紙の解説に「選考委員満場一致でオール読物新人賞を受賞した・・・」
とあり、おお、これは面白そうだと期待大。

主人公の伊三次は幼くして両親を亡くし、実姉の嫁ぎ先にお世話になり
ます。その姉の夫というのが髪結いで、伊三次は義兄の弟子に。
しかしきつい修行に耐えられず家を飛び出し、当時はご法度だった
「忍び髪結い」をやって捕まります。
そこで同心の不破友之進に助けられ、それから不破の手伝い、下っ引き
のようなことをやりつつ、流しの髪結いをやって、いつの日か自分の店
持ちたい、というキャラ設定。

伊三次にはお文という深川芸者の恋人がいます。しかし今の伊三次には
お文に芸者を辞めさせて夫婦になるだけの金がありません。
「もうちょっと待ってくれ、いつか店を構えたらその時は・・・」
という状態。

表題作「幻の声」は、ある呉服屋の娘を誘拐、身代金を要求した犯人
の男が捕まります。しかし、真犯人は私だと男の情婦が罪を被ろうと
します。その女は元芸者の駒吉。
伊三次はお文に駒吉のことを聞きます。するとかつて深川で「小染」
という名前で芸者をしていて、あまり評判は良くなかったとのこと。
駒吉が男を庇って嘘をついているのは明らかなのですが、そこまで
するほどの男とは思えず伊三次も不破もそこが分かりません。
その理由とは・・・

「暁の雲」は、日本橋の塩魚問屋「魚花」の主人が酔って舟から落ちて
溺死します。それを聞いたお文は驚きます。
というのもその主人のお内儀というのが、かつてお文のお世話になった
先輩の芸者だったのです。
伊三次と不破の話を聞くと、お内儀が主人を川に突き落としたのでは、
というのですが・・・

「赤い闇」は、不破の隣の家に住む、役人の村雨弥十郎から話しかけられ
ます。村雨家とは挨拶をする程度で、弥十郎とは小さい頃から知って
いますが格別親しいわけでもありません。そんな弥十郎から相談があると・・・

「備後表」は、伊三次が小さい頃にお世話になった畳職人のお婆さんが、
自分の拵えた畳表を見てみたいといいます。が、高級品の備後表の
の納入先が大名の奥座敷など、とても「見せて」と言えるようなものでは
ありません。そこで伊三次は・・・

「星の降る夜」は、伊三次が家に帰ると、何者かに荒らされた形跡が。
なんと三十両が無くなってます。その大金は、自分の店を構えるために
コツコツ貯めていた金だったのです。さらに着物も獲られて、伊三次は
質屋を廻り着物を探します。すると、不破の岡っ引き、留蔵の手下が
着物を質屋に持ち込んだと・・・
十両以上を盗めば当時は死罪。不破からも留蔵からも許してやってくれと
頼まれます。そこで伊三次は・・・

この作品はシリーズ化していて、1巻を読み終わってすぐに2,3巻を
買いに行きました。つまり、面白かったです。
読み終わって調べて知ったのですが、テレビドラマ化もされたんですね。
見たかったなあ。



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北村薫 『ひとがた流し』

2015-02-10 | 日本人作家 か
更新にずいぶん間が開いたちょっとした言い訳。
入院期間中に早寝早起きの習慣がついてしまったため、
「さて寝ようか・・・」とベッドに入るとすぐに
寝てしまうので、今までの読書時間である就寝前の1時間
に本が読めない!という生活。
なので、起きてる時間帯のちょっとヒマを見つけては
読んでます。

北村薫といえば、「鷺と雪」が直木賞を受賞したとき、
「あれ、けっこうベテランでも直木賞あげるんだ・・・」
なんて思ったものでした。

アナウンサーの千波、千波と小学校からの知り合いの牧子、
そしてふたりの友人、日高美々。

おおまかにいえば主役は千波、でも読み終わった感想としては
主役は3人。

ある日、牧子から千波に電話が。牧子は離婚してひとり娘の
さきと2人で暮らしています。
千波は独身。で、さきが気になるミュージシャンのライブが
東京の青山であり、それに行きたい、と。
でも牧子としては娘がひとりで行くのは不安、そこで、テレビ局
勤務で世慣れてそうな千波の意見を聞くために電話をかけてきたの
です。
最終的に千波、牧子とさき、そして美々とその娘の玲の5人でライブ
に行く事に。

そのライブで、千波のことをずっと見つめてる男がいるのをさきは
見つけますが、さきにとって千波は小さいころから知ってる「おばさん」
ですが、千波はテレビに出ているアナウンサー。そりゃ周りも「おっ」
となるだろうとその場は気にとめなかったのですが、後日、牧子と千波が
病院で人間ドックに行ったあとに寄ったファミレスに件の男が。
ファミレスの客の名前を書くところに、その男はスズキと・・・
しかしそこに千波はいません。というのも、検診が終わった後、千波だけが
看護師に呼ばれます。それから3人で食事に行く予定でしたが、千波は
キャンセルします。

ここで別の章に変わり、日高家の話に。
美々は娘の玲、夫で写真家の類と3人暮らし。そんな類が銀座で個展をひらいて
いて、そこに、千波がやってきます。
どうも様子がおかしいと類は牧子に電話をかけるのですが・・・

千波はどうしたのか。日高家で玲の知ってしまった事実とは。
そして千波のストーカー?疑惑の「スズキ」とは誰なのか。

やはり、北村薫は文章が巧い。読み終わって、そんな感想。

タイトルの「ひとがた流し」とは、川に人の形に切った紙を流す行事。
千波は小さい頃にそれをやって、紙に願い事を書いた記憶があるのですが、
大人になって調べたら、厄払いのように災いを人の形の紙に移して川に
流すというもので、七夕のように願い事を書く例もあるそうです。

そんな思い出を千波は思い出します。このシーンがさらっと書かれている
ようで、印象深い。
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