晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

宇江佐真理 『堪忍旦那為後勘八郎 銀の雨』

2016-01-23 | 日本人作家 あ
今年にはいってこれが初投稿。今さら「あけましておめでとうございます」もないですが。

年末の大掃除で、本棚そ整理をしていたら、タイトルを見れば読んだ記憶はあるのですが肝心のどんな話かを思い出せないというのがいっぱい出てきまして、それらの本を年末年始と読みふけっておりまして、このブログのことをすっかり忘れてしまっておりました。

まあそんな言い訳はさておきまして、『銀の雨』です。この「銀」ってのが、いいですよね。
金は誰が見ても価値がありますが、ときに威圧感すら与えます。銀は、一見価値のなさそうなものに価値を見出すといいましょうか。それこそ中島みゆきの「地上の星」が銀的な存在ですね。

さて、主人公の為後勘八郎は北町奉行所の同心。周りからは「堪忍旦那」と呼ばれています。罪を憎んで人を憎まず。お目こぼしが多いのでこう呼ばれるようになったわけですが、それで市民からは人気がある一方、「為後さんのやり方は生ぬるい」と同僚から思われたりも。

そんな為後が、ある日、岡っ引きの半吉を連れて市中見廻りをしていると、通油町という絵草紙問屋の並ぶ界隈で、ある一軒の絵草紙屋から若い女性が出てくるのを見ます。
それだけなら別にどうってこともないのですが、この娘、どうやら店の男と意味深な会話のやりとりが。見た目は十三四の娘がもう逢引・・・?

念のためつけてみると、娘は日本橋数寄屋町の一膳飯屋「よし川」に入っていきます。そこでようやく為後と半吉はあの娘が「よし川」の娘おみちだとわかります。
「よし川」はけっこう繁盛していて、おみちは店の手伝いもする、近所でも評判のいい子なのですが、そんな子が絵草紙屋の男と・・・?

おみちと絵草紙の男との関係は・・・そして為後も問題解決に奔走する「その角を曲がって」という短編からはじまります。

最近、市中で野良犬に噛まれるという事件がたびたび起きて、この黒い犬はどうやら誰かの飼い犬という話が・・・という話の「犬嫌い」、
ある女性が川に魚を投げているところを為後は目撃します。自分が買った魚を川に投げ捨てるのは別に犯罪ではありませんが、どいうにもおかしい・・・という「魚棄てる女」、
為後の同僚、岡部主水の妻が病気と聞いて、為後の妻の雪江は見舞いに出かけます。そこで、岡部の家に離れが建てられていて、あれは何かと訊ねると、なんと主水の妾を住まわすのだと・・・という「松風」、
そして「松風」で、岡部家は焼けてしまい、岡部主水は亡くなり、息子で同心見習いの主馬は為後の家に住むことに。はじめは主馬は為後の養子に入る予定でしたが、じつは為後の娘、小夜は前から主馬に想いを寄せていて、主馬は小夜と夫婦になることで義息子になることで養子よりも手続き上いいじゃないかと話しが進みますが、当の小夜が主馬との結婚はいやだと言い出し・・・という表題作の「銀の雨」。

やっぱりこの人のハートウォーミングな時代小説は、本当にいいですねえ。
コメント
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