これが今年最後の投稿。
2019年は21冊しか投稿できませんでした。とはいっても投稿してない分の再読を含めたら本じたいはヒマさえあれば読んでた気はします。
あと、今までは本を買うのは基本的に書店でして、ですが来年はオンラインショッピングで買ってみようかと。ただそうすると書店に行って買いたい本が無かったときに普段読まなそうな、聞いたことのない作家さんの本を手に取ってみて読んだら「大当たり!」という新しい出会いみたいなのができなくなっちゃうのかという寂しさもあります、もちろんその逆、つまり読んだら全く自分の趣味に合わなくて後悔、というケースもありますが。
池波さんの三大シリーズものといえば「鬼平犯科帳」「剣客商売」そして「仕掛人・藤枝梅安」。藤枝梅安といえば殺し屋。その梅安のもとに(殺しの依頼)を持ってくる人がいて、その人たちは表向きは料理屋などをしていて、裏では、江戸の(後ろ暗い裏世界)の顔で、汚れ仕事も引き受ける「香具師の元締」なのですが、あとがき解説によれば香具師の元締は影の権力はあったもののさすがに(殺し)まではやっていなかっただろう、とのこと。
そんな香具師の元締から、金で殺しを請け負う殺し屋、はたまた一般の人で殺人を犯してしまった、そんな人々が主人公の短編集です。
藤枝梅安シリーズだけでなくその他の作品にもちょくちょく名前が出てくる「羽沢の嘉兵衛」も登場します。
(青堀の小平次)という殺し屋が、香具師の元締(羽沢の嘉兵衛)の依頼である大店の主人の妾を殺したのですが、それを妾宅で奉公していた小娘に見られてしまい・・・
という「おみよは見た」。
三人の武士を簡単に倒した凄腕の浪人に親の敵の殺害を依頼する夏目半五郎。しかし半金は渡したもののいつまでたっても敵は殺されず・・・
という「だれも知らない」。
浪人の下男、寅松は(知恵遅れ)の若者。そんな寅松がある日、二人組の男に襲われてる女性を助けようとしてひとりの男の頭を石で殴り・・・
という「白痴(こけ)」。
(黒股の弥市)という(羽沢の嘉兵衛)の右腕だか左腕が、(おきよ)という商売女のもとに今日もやって来ます。が、おきよは嫌で嫌でたまらず、とうとう寝ていた弥市の首を絞め・・・
という「男の毒」。
(聖天の元締)の娘(お長)と夫婦になってくれと頼まれた手下の伊三次。元締の義理の息子となるわけですが、聖天には(船形の由蔵)という筆頭の手下がおり・・・
という「女毒」。
殺し屋の市五郎という浪人は、井筒屋徳兵衛という男の殺しを依頼されるのですが、この徳兵衛、かつては盗賊で・・・
という「殺(ころし)」。
(三の松の平十)という江戸のアンダーグラウンドの大物が病死します。平十後継に、ふたりの男が名乗りを上げますが、平十のふところ刀だった(岩淵の又蔵)という殺し屋は(船戸の権)という、これもまた別の殺し屋につきまとわれ・・・
という「縄張り」。
玉屋平兵衛という老人の女房になった元・娼婦のおきん。ところがおきん、若い恋人がいて平兵衛が邪魔になり殺し屋に依頼。ところが平兵衛、じつは元武士で・・・
という「罪」。
このような江戸時代を舞台にした悪漢・悪者小説、暗黒小説を読むと、現代のように科学も発展していないので捜査も難しかったでしょうし、江戸の人口は膨れ上がる一方なのに当時の警視庁であった町奉行の人数は変わらず、江戸って治安悪かったのかなと思いますが、武士が実権を握っていた「軍事政権」であったので、幕末は別にして、ある意味治安は良かったらしいです。
この短編集は初期の作品ですが、のちに出された長編のもととなっているのがいくつかあって、順番はバラバラではありますが、それを見つける楽しみというのも、池波さんの作品を読むときの、まあ「一興」といいましょうか。
これで今年最後の投稿。ありがとうございました。良いお年を。
2019年は21冊しか投稿できませんでした。とはいっても投稿してない分の再読を含めたら本じたいはヒマさえあれば読んでた気はします。
あと、今までは本を買うのは基本的に書店でして、ですが来年はオンラインショッピングで買ってみようかと。ただそうすると書店に行って買いたい本が無かったときに普段読まなそうな、聞いたことのない作家さんの本を手に取ってみて読んだら「大当たり!」という新しい出会いみたいなのができなくなっちゃうのかという寂しさもあります、もちろんその逆、つまり読んだら全く自分の趣味に合わなくて後悔、というケースもありますが。
池波さんの三大シリーズものといえば「鬼平犯科帳」「剣客商売」そして「仕掛人・藤枝梅安」。藤枝梅安といえば殺し屋。その梅安のもとに(殺しの依頼)を持ってくる人がいて、その人たちは表向きは料理屋などをしていて、裏では、江戸の(後ろ暗い裏世界)の顔で、汚れ仕事も引き受ける「香具師の元締」なのですが、あとがき解説によれば香具師の元締は影の権力はあったもののさすがに(殺し)まではやっていなかっただろう、とのこと。
そんな香具師の元締から、金で殺しを請け負う殺し屋、はたまた一般の人で殺人を犯してしまった、そんな人々が主人公の短編集です。
藤枝梅安シリーズだけでなくその他の作品にもちょくちょく名前が出てくる「羽沢の嘉兵衛」も登場します。
(青堀の小平次)という殺し屋が、香具師の元締(羽沢の嘉兵衛)の依頼である大店の主人の妾を殺したのですが、それを妾宅で奉公していた小娘に見られてしまい・・・
という「おみよは見た」。
三人の武士を簡単に倒した凄腕の浪人に親の敵の殺害を依頼する夏目半五郎。しかし半金は渡したもののいつまでたっても敵は殺されず・・・
という「だれも知らない」。
浪人の下男、寅松は(知恵遅れ)の若者。そんな寅松がある日、二人組の男に襲われてる女性を助けようとしてひとりの男の頭を石で殴り・・・
という「白痴(こけ)」。
(黒股の弥市)という(羽沢の嘉兵衛)の右腕だか左腕が、(おきよ)という商売女のもとに今日もやって来ます。が、おきよは嫌で嫌でたまらず、とうとう寝ていた弥市の首を絞め・・・
という「男の毒」。
(聖天の元締)の娘(お長)と夫婦になってくれと頼まれた手下の伊三次。元締の義理の息子となるわけですが、聖天には(船形の由蔵)という筆頭の手下がおり・・・
という「女毒」。
殺し屋の市五郎という浪人は、井筒屋徳兵衛という男の殺しを依頼されるのですが、この徳兵衛、かつては盗賊で・・・
という「殺(ころし)」。
(三の松の平十)という江戸のアンダーグラウンドの大物が病死します。平十後継に、ふたりの男が名乗りを上げますが、平十のふところ刀だった(岩淵の又蔵)という殺し屋は(船戸の権)という、これもまた別の殺し屋につきまとわれ・・・
という「縄張り」。
玉屋平兵衛という老人の女房になった元・娼婦のおきん。ところがおきん、若い恋人がいて平兵衛が邪魔になり殺し屋に依頼。ところが平兵衛、じつは元武士で・・・
という「罪」。
このような江戸時代を舞台にした悪漢・悪者小説、暗黒小説を読むと、現代のように科学も発展していないので捜査も難しかったでしょうし、江戸の人口は膨れ上がる一方なのに当時の警視庁であった町奉行の人数は変わらず、江戸って治安悪かったのかなと思いますが、武士が実権を握っていた「軍事政権」であったので、幕末は別にして、ある意味治安は良かったらしいです。
この短編集は初期の作品ですが、のちに出された長編のもととなっているのがいくつかあって、順番はバラバラではありますが、それを見つける楽しみというのも、池波さんの作品を読むときの、まあ「一興」といいましょうか。
これで今年最後の投稿。ありがとうございました。良いお年を。