「花巻ことば集 せぎざぐら 」に、ぐみとしゃごみの解説がありました。(前回の記事一部訂正を致します)
花巻市市政50周年記念として花巻市教育委員会から出でいました。
賢治研究者または賢治愛好者にお薦めしたい本とCDです。
せぎざぐら 146頁 1500円
ー 声で聞く花巻のことば ー CD二枚 1500円
<平成17年三月発行>
花巻市教育委員会事務局 ℡ 0198-45-1311
〒028-3163 花巻市石鳥谷町八幡第4地割161番地
送料は450円 <電話等でご確認の事>
まだ在庫があるそうです。
<お詫び 花巻市教育委員会事務局の電話番号市外局が一部間違っていました。
市外局は0190ではな0198でした。 訂正してお詫びを致します。>6月一日記
先週 「しゃごみはシャグミからの訛りではないかと考えられる」と書きましたら、ある知人からお電話をいただいた。 「ぐみ科のなつぐみなどを、何故しゃごみ或いはシャグミと云うのか」との質問でありました。小生はあまり良くは解りませんが、次のようなことがいえるのではないかと思っていました。
一つには、赤(シャク)とグミが、一つのことばになったのではないかと考えられます。それでシャ(赤)グミがしゃごみ<ごみについては後に説明>と変化したと思われるのです。<此処では地方語{方言等}の発音は省略します>
もう一つには、「東北岩手県地方で舞われる『鬼剣舞』では、二匹の鬼が互いに黒いしゃぐまを振り立てて舞う。しゃぐまは馬の毛で作られる。岩手の民芸品に『しゃぐしゃぐうまっこ』というものがあるが、『しゃぐま』の語源かも知れない。」と言う説があります{逸見芳春「神楽絵考」}。 盛岡で六月に行なわれる大祭に、『しゃぐしゃぐうまっこ』ではなく「チャグチャグ馬コ」と言うお祭りがありますが、似たようなことばであるので、何等かの関連が有るかも知れません。それに赤い実が鈴なりに「ザングザング」と生(ナ)っている状況をも感じさせるのです。
「広辞苑」には「しゃぐま」 <「しゃぐま」岩波古語辞典にも説明あり> や「ぐみ(茱萸)」の記載があります。「ぐみ(茱萸)」のところには、「胡頽子」が記されている。また「植物和漢異名辞林 杉本唯三著」に、「なわしろぐみ(胡頽子)」に、「ごみ しゃしゃぶ しゃしゃび」等が見られます。関連で 「日本類語大辞典」のぐみ(茱萸)の行に 「胡頽子科に属す 胡頽子{コタイシ} 古=くみ。 あきぐみ つるぐみ まるばぐみ なわしろぐみ・・・等」もありました。
私の手持ちの幾つかの「地方史」や「南部ことば」等には、グミの解説記載が見当たらなかったのですが、皆さんの地方でのグミについて、ことばと事物の具体的な呼び名と関連について、もしご存知でしたならば是非お教え下さいますようお願い致します。
先の「広辞苑」の「ぐみ(茱萸)」の最後の行に、「ウグイスカズラ科のウグイスカグラの実をグミともいう」とありました。半世紀も前の事ですが、花巻の農村では、なわしろぐみやなつぐみ・あきぐみ等の実物は見て知っているのですが、その名をグミとは云わずにしゃごみ・しゃぐみといったり、ウグイスカグラの実は、単にぐみと云う名で通用し、親しんでいたのでしたが、正式のなまえにはあんがい無頓着であった感がありました。現在は変わったのでしょう。PCのWebで見ていると、時代の変化を感じさせられます。
<前回の「ぐみ」ブログの、 アンダーラインのある語をクリックして、写真や解説をご参照下さい>
岩手県の花巻地方で、「しゃごみ」と云われていた「なつぐみ」や「とうぐみ」は、「もちぐみ」とも云われていた。屋敷内等で植えられているのが見られたもの。
「しゃごみ」に似たような小さな赤い実を実らせる、この地方で「ぐみ」と呼ばれていて、野山から採ってきて、やはり屋敷の片隅に植えられていた小木がある。
この地方で「ぐみ」と呼ばれていたのは「鶯神楽」(うぐいすかぐら){スイカズラ科・スイカズラ属}の事である。
この「ぐみ」は里山で良く見られたが、「最近はやまでぐみを見れるのが本当に少なくなった」と、北上の知人の話であった。
宮澤賢治の作品に出てくる「やまぐみ」は、「あきぐみ」の事であろうか。
「宮澤賢治の蔵書 (32) 日本植物図鑑 牧野富太郎著」に 「ぐみ科」や「すひかづら科」の記載がある。
パソコンの検索で、ある「しゃごみ」の書き込みを見て、うぅ~とニガわらいをしてしまった。次のような内容である。
※ Kブラザーズさんに答えられている記事である。
2005年6月21日 (火) 10時05分52秒 | ||
[名前] : おじい | ||
[タイトル] : まかせなさい | ||
[コメント] : しゃごみは全国区のようですよ。 薄皮のところがすっぱにがくて、種の周りが甘い実で小さいサクランボのようらしい。 らしいというのは、食したことはないんですな。 残念! 食べるとやみつきになるらしい。 らしい。 しゃごみはともかく、これからベリー系のシーズンですぞ。 今はいちご、ハスカップが食べ時ですな。 このあと、ブルーベリー、ブラックベリー、ラズベリーと続きますぞ。 店頭にはなかなかならばないのが難点ですが。 ハスカップは酸味が強く、ジャムに最適素材ですな。 私はスコーンにもしますがね。 ベリー系はアントシアニンという血管を強くする物質をたっぷりもっていますぞ。 日頃、運動量が多すぎ、活性酸素に痛めつけられ続けている先生方には、最適の食材なのですよ。 体勝負の先生方は食も大切にしてくださいね。 |
なにをかくそう小生も「しゃごみ」の正式な植物の名前等は知らなかったのである。
岩手での子供のときであるが、となりの家の道路に面した裏の垣根に、「しゃごみ」の木が二本あった。ザングリと鈴なりになった真っ赤に熟した実を、その家のタダチャンと木に登り良く食った。 「しゃごみ」とは「なつぐみ」のことであった。
「ところで、生まれも育ちも岩手県なのに、しゃごみを知りませんでした。ショックン・・・。」とも書かれていたのには、こちらもショックでした。
昨年の六月、梅郷の孫のところでも、あまりにも見事な実のりぐあいだったので、「収穫」してジャムと焼酎に漬けた。毎年孫の所では近所の通りすがりの方や、小鳥にショリしてもらっていたのであったが、何かの用事で行ったときの出来事、美味かったので持ち帰ったしだい。
しゃごみは、シャグミからの訛りではと考えられる。「なつぐみ」や「とうぐみ」は実が大きく、屋敷内に植えられていた。秋の「きのこ」採りのころや山栗ひろいの時期に山野で良く見られるグミは、「あきぐみ」である。どちらも初夏に花を咲かせる。