宮沢賢治の詩に「葱緑」がたびたび出てきます。浜垣氏の「宮沢賢治の詩の世界」によると七例あるとの事です。(検索が出ましたならばお手数ですが葱緑の文字をお入れしてご覧ください)
昨年この「葱緑」について、「イーハトーブ・ガーデン」さんのブログにメールを致しましたことでもあり、その関連で少し補足を致したいと思います。
倉石武四郎著「岩波 中国語辞典」(1963・9・16発行)89頁に
cónglűē 葱緑 {名} あざやかな黄緑色。
とあります。
藤堂明保編 「学研 漢和大字典」(昭和53年4月1日初版発行)1118頁に
葱 【名】 ねぎ
【形】 青い
とあります。(上記写真)
岩波に出した書簡214a に、作品「鳥の遷移」(春と修羅第二集)の謄写刷りを同封したとあるそうですから、葱緑は賢治造語でも、また、「新 宮沢賢治 語彙辞典」で示されている英語やドイツ語等からではなく、この語は漢字からの得られたものではないかと考えられます。(新 宮沢賢治 語彙辞典は1999年の発行・藤堂の漢和大字典は1978年。何れも語彙辞典よりも古い。)