宮沢賢治全集十字屋書店版 別卷 初版の編纂人から、宮澤清六が抜けていた。
第二版の二十三年版は、中身は初版と同じである。
同じ二版発行でも二十七年版は、編纂人には宮澤清六も入り八人になっている。(19日 編纂人写真参照)
それ以外は変更がない。
別卷には付録として、
宮沢賢治年譜…………………宮澤清六篇
全集第六巻並に別卷解説……森 惣一
の資料が掲載されている。
初版本は箱入り豪華本である。第二版二十三年版は戦後の物資不足でもあったせいか、箱無しで、表紙も厚紙で白紙であった。検印は宮沢印である。
私のところにある同じ第二版の二十七年版は、箱入り豪華本である。検印は藤原印である。検印のことに触れる前に、別卷の宮沢賢治年譜にある出版日を示して置く。初版でしかも実弟清六氏の年譜である。
昭和十四年
六月三十日、「宮澤賢治全集」(校定版第三巻)「童話集前編」十字屋書店より出版。
昭和十五年
一月十日、十字屋書店より「宮澤賢治全集」(校定版第二回配本第一巻)「詩集乾卷」出版せらる。
三月十八日、十字屋書店より、「宮沢賢治全集」(校定版、第三回配本、第四巻)「童話集中編」出版せらる。
九月卅日、十字屋書店より「宮澤賢治全集」「校定版第四回配本第二巻)一詩集坤巻」出版せらる。
十二月三十日、十字屋書店より(校定版、宮澤賢治全集、第五巻)「童話集下」出版。
昭和十八年
十月三十日、十字屋書店より「宮澤賢治全集」(校訂版第六巻配本第六巻)「雑編」発行。
大山さんは、これらについても検討をされて居られた。
表にして上記に示したのは、戦争中とはいえ「校本全集」とのあまりにも違いがある「校訂」なので参考にもと蛇足を記した。
①小生が諸氏にお聞きした範囲では、宮沢家が「当時開墾等の苦境を察して幾らかでも援助になれば」との事と聞いています。
②③正確には私は分かりません。ブログのバックナンバー2008・2010年の一部をご覧いただけると幸いです。
岩手県立図書館 蔵書15冊中 5冊
盛岡市立図書館 〃10冊中 3冊
〃 都南図書館 7冊中 2冊
花巻市立図書館 26冊中 1冊
私と周辺 22冊中 7冊
計 80冊 18冊(22.5%)
花巻市立図書館は県内一の26冊の蔵書を有しながら1冊のみ、実に世上に出回っている23%強が「藤原」印ということになります。全集は初版以来15年間にわたり第3版4回ほどの発行になっていますのでこの割合は妥当かも知れません。私には特に27、28年版のシリーズ(定価@580円)は全て「藤原」印(第5巻26年版が最終を除いて)のように思われます。この時期は28年冷害の嘉藤治の苦境の時期より少し早すぎる。一体ヴァイオリンを米に換え、チェロを静六に売り渡した時期は何時なのか(Web かとうじ物語参照)。
管見によればこれまでの賢治研究文献上にもWeb上にもこれを論じた記事はなく、賢治の関連記事に「検印」の文字が散見されるだけです。「検印」は本来著作権者のもので印税に関連する重要事項な筈です。この「藤原」の検印の経緯については林風舎の宮沢和樹氏に問い合わせても返事がない。(現況はここまで・・・)。