ロゴス古書

 年年歳歳 花相似たり
 歳歳年年 人同じからず 

「日本稲作講義」と「春と修羅」1

2013年09月30日 | 自然科学

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 川瀬の「肥料学」と永井の「日本稲作講義」は、『本当の百姓になる』決意をした賢治を観るときに、とりあげられて然るべき本であるが、「化学本論」や土壌学の本ほどには、研究者の対称にされていない。千葉明氏の「盛岡高農・関豊太郎教授から岩手大学農学部・吉田稔教授まで」は参考になる論文である。(ただし賢治の大正11年 「岩手県稗貫郡土性調査報告」の参考文献著書は、関豊太郎著「土壌学講義」の出版されたのが大正15年であるから、大工原銀太郎著「土壌学講義」・発行所褒華房その他であろう。)永井威三郎の「日本稲作講義」との連関は「『春と修羅』の『第三集』」の稲作にいくつかが詠まれているので、目次だけでも覗き観るくらいはされたいものだと思う。(「近代デジタルライブラリー」で著者名か本の題名を入力し検索をして、著書名{右側}か{目次・番号}かをクリックすると見られます。)詳細省略。追記尚「肥料学」に付いては「宮澤賢治イーハトヴ学事典」[ライフワークの発進2・3]等を参照されたい。

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農学校の教師を辞めてからの宮澤賢治ー購入された本代

2013年09月24日 | 随想・日記

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 上記書は 「宮沢賢治の読んだ本ー所蔵図書目録補訂ー 奥田 弘」の初頭にある蔵書番号(27)(28)。孰れも豪華本である。「肥料学」は定価9・50円 日本稲作講義の定価7・50円で、この本の初版は大正15年2月である。(この「日本稲作義」は賢治詩集の「第三集の時代」に購入された。羅須地人協会時代の解明に最も重要な書である。大工原著「土壌学講義」とあわせて後に触れたい)

 宮沢賢治は大正10年以降に買い求めた定価5円以上の書籍は上記の二冊と (44)河野著「代数的解析論」  5・00円昭和3  (106)「漢文大系」12巻×6.00円=72円大正14 (126)亀谷著「華厳哲学研究」5・00円大正11  計99円である。他に ① 5円以下計28・6円。② (64)全集世界地理風俗大系34巻×2・8円 計95・2円 昭和5 (80)東西素描大成16巻×3円計48円昭和4 (82)日本風俗大成10巻×3・5円計35円昭和4 (83)世界裸体美術全集6巻×3計18円昭和6 (84)現代漫画大観16円昭和3 その他全集物計400円を超える。

 宮澤家としての購入図書もあろうが、図書購入費としては大変な金額である。大正15年なかば以降の図書購入額はなんと690円を超えている


竜巻のこと

2013年09月06日 | 随想・日記

     

 竜巻のニュースを見ていたら、番組の解説者のなかには「日本では竜巻見られなかった」等の発言があった。

小川顕道著 「塵塚談」上之巻に、上野の不忍池で竜巻があったことが記されている。

同所竜巻のこと」として概略いかのように。

  同不忍池より天明年間(1781~1789 当時の解説あり)竜巻ありけり。佐渡、越後、越中の海中には、夏の日、竜騰ること度々ありと、その節は虚空より黒雲下り来れば、海中の潮水、滝を逆に掛けしごとくに逆巻きのぼり、黒雲中に入る、ー途中略ー その如く不忍池より黒雲逆巻きのぼり竜騰りしと見え、近辺家屋を損じ、火の見櫓など倒せしなり。ー略ー かく書きぬれど竜は雷にひとしく奇なる物、吾党のさらに測り知るところの非ず。  

 現今のようにではなかろうが、「津波」も「竜巻」も昔にもあった。無かったのは「原発」のようなものである。