ロゴス古書

 年年歳歳 花相似たり
 歳歳年年 人同じからず 

「大正デモクラシー」群像のある写真

2012年08月28日 | 随想・日記

 

 

   「 農民芸術の興隆 」の面々

 デフオー  ワイルド  モリス  トルストイ  シペングラー  ワグナー  マイネ  セザンヌ  

 エマーソン  ロマンローラン  カーペンター  トロッキー  

  (更に室伏高信・・・・・)

 

         

       写真画像 は  「日本農民詩史 上巻」より

  大正デモクラシーの源流に、憲法発布前の自由民権運動にあるのではなく、社会主義運動にあるとする吉野作造は、社会主義にも種々のグループがあり、その中で彼が接触したのはキリスと教に関連ある阿部磯雄や木下尚江・石川三四郎のグループだという。日露戦争後、幸徳秋水や堺利彦ら社会主義運動主流と決を分かった「新紀元」の派で、彼らこそ日露戦前における日本社会主義運動の先駆者であったとする。社会民主党の宣言は阿部磯雄の筆に成り、そこには土地・資本の公有、階級制度の全廃など社会主義の「基礎綱領」とならんで、当面の実際運動の為の綱領として記されて有った。

 賢治は、石川は「非進化論と人生」を、『この書を土民生活の殉道者 田中正造翁の霊に捧ぐ」としたこの書に大きい影響雄を受けたであろう。坂井や西山拓が記したように賢治はこの時代を活きていた。また中学先輩の石川啄木の「時代閉塞の現状」おも読んでいたろう。 

 松永伍一は「詩を通じた農民の思想史」を詩に賭け、おのれの階級的立場を掴んできた人間の思想のひだに、歴史の動脈を探りたいとして上記の書を遺した。

   (賢治とユートピアについては後日に譲る)

 

 


E・カーペンター

2012年08月23日 | 随想・日記

  

   ※ 坂井健氏の論を読んでいての雑感 ※

 「農民芸術の興隆」との関連で(以下拡大してご覧下さい)

            第三篇 土民生活   第四章 小農土民 

 本文五行下のほうに「多少は鍛冶屋の仕事も出来る。」とある。「カーペンター 少年機械工の例」とは異なるが、小農の民は大工仕事も鍛冶仕事も行ったのではと連想した。古い話であるが、母の生家に行く時に三差路の鍛冶屋を目標に、そこで道を間違えないようにいった。田の仕事の暇を見つけての鍛冶屋さんで有った。裏の井戸で水を貰い仕事を飽きずに見て居た頃を思い出した。

 写真は、大日本文明協会(大正十三年発行)カーペンター著 宮島新三郎訳「吾が日吾が夢」からである。古本で千円程で売られている。賢治はこの書も読んでおられたと想う。とうぜん坂井氏が記されている本もである。(『吾が日吾が夢』は「近代デジタルライブラリー」でも閲覧可)

 坂井氏が(七)で論じられている「宇宙」に付いて。賢治の「農民芸術慨論」核心をなす同質のものとして、「天地」を「宇宙」「銀河」といいかえたならば賢治のことばであるといっても通用しそうだとしている。

 広辞苑では「天地」を「宇宙」ともしているが、石川の「地」や「天」は、賢治の科学に関する宇宙観とは明らかに異なると思う。坂井氏の「宇宙」論がこの論の成立キーポイントであろうか。

 


非進化論と人生・石川三四郎

2012年08月22日 | 随想・日記

   石川三四郎の「土民生活」は、宮沢賢治の羅須地人協会や農民芸術慨論綱要との関連で話題研究の書である。

         

  坂井健氏に就いては前回触れた。「宮沢賢治研究 Annual 14」(2004年3月 宮沢賢治学会イーハトーブセンター発行)

 「理想社会と自給共同体~アナキスト石川三四郎の『土民生活』~」(左側の「えこふあーむにゅーす」をクリックして更に上記論をご覧ください)及び西山拓「石川三四郎の理想社会論ー新興共同体の連帯についてー」(ソシオサイエンスVOL.8 2002・3でダンロード可)等である。

             

 写真・この本は参考文献・註等が大変参考になる書である。一読お勧めである。又Mixiで「だるま舎」を名乗っている平山氏のブログを紹介する。氏は御子息に「三四郎」と命名する程の三四郎フアンである。http://daruma3.cocolog-nifty.com/nh/ 


ルクリユの進歩観

2012年08月21日 | 随想・日記

               写真図は 『地人論』より

 

 「非進化論と人生 第一編 進化及進歩 第十二章 ルクリユの進歩観」冒頭に

   エリゼ・ルクリユは、其大著『地人論』第六巻の最末に『進歩』と題する一章(五十頁の長論文)を設けて居る。参考の為め左に之を摘録する。

 とある。 紛らわしいので此処で少しく是に触れて措こう。

 「石川は『地人論』第六巻の最末」と記したが、『地人論』は「第四巻 現代史」迄で、この第四巻の「最末」第十二章 進歩であって、訳者の序に(全六冊)と記されているように「巻」と「「冊」の間違いだろう。つぎに

 坂井氏論(三)にも採り上げられているが、「非進化論と人生」に『地人論』から第二篇とされた「地的環境論」末に少し触れたい。石川は『地人論』第二章の最末に

  諸国民の発達そのもそが、即ちこの環境の変化を附帯するのである。時間は空間を絶えず変化する。

  そして坂井論にも引用されているように「石川生曰く、・・・・・・・以下略」が記されている。

 誤解を恐れずに云うと石川はすべからく「進化」ではなく「変化」であって、「進化」が嫌いなのである。進展や発建も変化だと云う。進化学の丘や八杉竜一等の歴史と方法論には与しないのだろう。余談だがわたくしは進化論者に与したい。 

 


エリゼ・ルクリュ・地人論

2012年08月20日 | 随想・日記

       

 坂井健氏の「石川三四郎と宮沢賢治ー『非進化論と人生』と『農民芸術慨論』-が2004年に宮沢賢治研究にでている。

 「非進化論と人生 序」に「『第二篇 地的環境論』はエリゼ・ルクリユの大著『地人論』第一巻第二章の全訳で、」在ると記されている。坂井氏の詳細な論があるのでここでは蛇足を弄しない。

 写真に掲げた「地人論」は春秋社から昭和五年六月に発行されているが、賢治の蔵書「非進化論と人生」は大正14年であるから、写真の「地人論」発行よりは早い出版である。

 第二章は35~110頁の間に17図在るが原本には約三倍ほどもあると云う。アマゾンやタリム川の民俗豊な写真が多い。

 「附地人論第二巻以下總目録」が出ているが、「第四巻 現代史 第十二章 進歩」である。これを覗る限り「第六巻」は無いようだ。

 

  つづく