ロゴス古書

 年年歳歳 花相似たり
 歳歳年年 人同じからず 

宗教経験の諸相

2011年04月12日 | 随想・日記

 「肉眼で見える星の研究」を出版した警醒社書店は、キリスト関連著書の出版社でした。

明治の末には、内村鑑三著「地人論」や、大西祝・山路愛山の本が出版されている。

 ウィリアム ジェームズ著 「全訳 宗教経験の諸相 (人間性の研究)」は大正十一年十月十五日発行です。賢治の詩「林学生」は大正十三年ですから、以下二冊の本をもあわせて見たいと思います。

(ジェームスに付いては「宮澤賢治語彙辞典」と「浜垣氏のブログ」を参照されたい)

       

 大正三年五月二十五日発行 (星文館){左側の写真右}と、大正十一年四月五日発行 (善文社) の本は、本文の内容と頁数及び西田幾多郎の「序」は同じですが、訳者の「序」が違っているだけです。善文社本は、近刊予告として「宗教的体験の極致」として第十一講以後の文を出版予定であった。ジェームズかジェームスかは、賢治が自分で書かれている「宮澤か宮沢か」と同じように、この語句が問題であるのではなく、西田の序文と第十一講後と附録として記されている内容語が如何様なのかであろう。

    参考

   比屋根安定訳は昭和三十二年と三十七年に 株式会社 誠信書店 から出版されている。こちらは索引付きである。古書店でよく見かける本である。岩波文庫より出来ればこちらをお勧めしたい。

          

 

 

   追記

宮澤賢治とウイリアム・ジエームスに付いては、鈴木健司著「宮沢賢治 幻想空間の構造」{発行所(株)蒼穹書林}が、大変詳しい。一読をお勧めしたい。

 


肉眼で見える星の研究

2011年04月01日 | 随想・日記

 

 上記の書は、草下英明氏や大沢正善氏の優れた研究があります。最近

 大沢さんの「宮沢賢治と吉田源冶郎『肉眼で見える星の研究』」を、KAGAWA GALAXY 「吉田源冶郎・幸の世界」で鳥飼慶陽氏がこの論考を高く評価しておられた。

 ところで鳥飼氏が<「箱入り初版本」が見つかる!>で

   それともうひとつ、同じ初版で奥付の発行日も「大正11年8月20日」と同じであるのに、あのテニスンの言葉と「伝説のプレイアデス」の絵が収まり、手元の初版にはそれがないことも判る。

 とありますが、わたくしのところにある二冊の初版本(大正十一年八月二十日発行 発行所 警醒社書店)には以下のように入っています。 この本は、天金の背皮金文字で上製本です。

  テニスンの詩は鈴木大拙「禅仏教に関する講演」で、西洋と東洋の理解の用例でとりあげられていた。芭蕉の俳句「よく見れば薺花咲く垣根かな」と、テニスンの「壁の割れ目に花咲けり・・・・・」をあげて、東洋の沈黙と西洋の雄弁を”言葉を化して肉体とする”技術や宗教について語られていた。

 吉田源冶郎は上記の本でテニスンの詩を三例あげている。

   上記の本は、賢治作品を読み解くには欠かせないと考られる本である。

     (小さい画像はクリックしてご覧下さい) 

 

   

 

 写真は 近世 泰西英傑傳 第二巻 (明治四十四年一月三一日発行 発行所大日本文明協會)より