「肉眼で見える星の研究」を出版した警醒社書店は、キリスト関連著書の出版社でした。
明治の末には、内村鑑三著「地人論」や、大西祝・山路愛山の本が出版されている。
ウィリアム ジェームズ著 「全訳 宗教経験の諸相 (人間性の研究)」は大正十一年十月十五日発行です。賢治の詩「林学生」は大正十三年ですから、以下二冊の本をもあわせて見たいと思います。
(ジェームスに付いては「宮澤賢治語彙辞典」と「浜垣氏のブログ」を参照されたい)
大正三年五月二十五日発行 (星文館){左側の写真右}と、大正十一年四月五日発行 (善文社) の本は、本文の内容と頁数及び西田幾多郎の「序」は同じですが、訳者の「序」が違っているだけです。善文社本は、近刊予告として「宗教的体験の極致」として第十一講以後の文を出版予定であった。ジェームズかジェームスかは、賢治が自分で書かれている「宮澤か宮沢か」と同じように、この語句が問題であるのではなく、西田の序文と第十一講後と附録として記されている内容語が如何様なのかであろう。
参考
比屋根安定訳は昭和三十二年と三十七年に 株式会社 誠信書店 から出版されている。こちらは索引付きである。古書店でよく見かける本である。岩波文庫より出来ればこちらをお勧めしたい。
追記
宮澤賢治とウイリアム・ジエームスに付いては、鈴木健司著「宮沢賢治 幻想空間の構造」{発行所(株)蒼穹書林}が、大変詳しい。一読をお勧めしたい。